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三八〇ルミヲ
2021年3月3日 11:05
私は夜が来るたびに今まで出会った女達を回想するようになった。別れようと言ったら、ナイフでグサッと刺されるような、真の、燃えるような、命懸けの恋愛体験はなかったが、私にもロマンスの一つや二つはあった。もう蓋を開くことはないけれど、胸の中の宝箱に大切にしまっている森高美佳という女もいる。 東京で輸入車販売の営業マンをしていた頃、村上吉江という信用金庫勤めの女とつきあっていた。吉江は自分の靴を見な