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三八〇ルミヲ
2021年3月7日 14:28
今思えば恐怖の兆候はあった。それは、婚約時代に涼子が私のマンションに泊まった時のことだ。朝、私は先に起きていて未来の花嫁のためにベーコンエッグを作っていた。対面型キッチンのカウンター越しに見えるリビングの断熱サッシの向こうは、セントバレンタインデーが過ぎたというのに朝から猛吹雪だった。晴れていれば正面に見える大倉山シャンツェも白い嵐に呑み込まれていた。だけど最愛の婚約者と一緒に朝を迎えたせいだろ