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童話集

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こいぬのカイくん、こぐまのルディくん、野ねずみさん、リスさん、トカゲさんとそのおともだちによるお話集です。
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#創作小説

ひかりのオコジョ【前編】

ひかりのオコジョ【前編】

Ⅰ.プロローグ

こいぬのしっぽのようなすすきが、ゆらゆら揺れていました。
こぐまのルディくんはぼうっと、木陰に立ちすくんでいました。
視界の端っこを、金色のひかりが通りすぎたような気がします。
太陽は少し斜めに傾いで、濡れたような空気をぼんやり照らしていました。
待ち合わせをしていたこいぬのカイくんが、小走りでこちらに向かって来るのが見えます。

連日のように、ふたりはとある噂を耳にしていました

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ひかりのオコジョ【後編】

ひかりのオコジョ【後編】

Ⅳ.大きな時計塔

みんなが辿り着いたのは、大きな時計塔の前でした。
ひかりのオコジョは少しそわそわしていました。
「6時に着けばよかったはずだけど、」
いくら待っても時計塔の時計の針は、5時59分から動きません。
ルディくんもカイくんも、今までとは違うひかりのオコジョの様子に心配しました。
「大丈夫?」
ひかりのオコジョは何かを決心した様子でした。
「仕方ない。時計塔の中に入ろう」

真っ暗な時

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ボンネット【前編】

ボンネット【前編】

その村では、動物たちはみな、ボンネットをかぶるしきたりになっていた。
ボンネットとは、紐のついている帽子である。古くから婦人が好んでつけていた帽子だが、赤ん坊をドレスアップしたい時につけることも多い。顎の下で紐を結ぶことで帽子を固定する。
風が吹いても、帽子が飛ばされることはない。一様にボンネットと言ってもいろいろなものがある。個性の表現としてつけている動物も多かった。
よく晴れたその日、ひつじさ

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ボンネット【中編】

ボンネット【中編】

村の誰もが、またいつもの通り雨だろうと思った。
でも白い雨は夜になってもやまなかった。一日経っても、二日経っても。
とうとう白い雨は一週間降りやまなかった。
産婦人科病院では、雨粒が窓を叩く音を聞きながら、ボーダー·コリーさんは頬杖をついていた。
ひつじの赤ん坊を見守る役目を任されていたのだった。
少し考えごとをしはじめたとき、病院の黒電話が鳴る。
「はい、もしもし。産婦人科病院です」
それは、聞

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ボンネット【後編】

ボンネット【後編】

白い雨はとつぜんやんだ。
そのあたたかい風が吹いた朝、どこからともなく黒い羊の群れがやってきた。
薄く靄がかった牧草地を、もくもくの毛を踊らせて駆け巡ってくる。
それは、大量の羊毛の発注に怒った、遠くの村から来た羊たちだった。
群れの中の一頭の羊の背中の上で、ひつじの赤ん坊はすやすや眠っていた。

ひつじさんは、小高い丘の上からその光景を眺めていた。
それは、まさにひつじさんが夢で見た黒い羊だった

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