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「父さんごめんね・・」―エッセイー

天国に 行ってしまった 父さんに
どうしても 謝りたいことがあります
このnoteを 父さん 雲の上で読んで
くれるかな・・・

子供の頃、父さんは商社マンで、本当に多忙でした。
朝起きると もう出社しており
帰宅は 僕が眠った後 深夜です。
休みのはずの 日曜は 「接待ゴルフだ!」
と朝早く 出かけてしまいます
「ごめん 今日 約束してた トンボとり
ゆけなくなった・・ 今度 動物園連れてくからね」と
父さんの愛想笑いと 僕のふくれっ面

学校行事の 学芸会、授業参観日、卒業式、
入学式にも 一度も来たことがない。
卒業式の時、友達の家族は 両親二人連れで来て、
「卒業式看板」と一緒に記念写真を撮ってた

でも 僕のアルバムには、父さんと
並んだ卒業写真、入学写真は
一枚も見当たらない。 
それが悔しくて、泣いたり、すねたりすると母は
「お父さんは お仕事でいそがしいのよ」
「みんなを 食べさせるために働いていらっしゃるのよ」
「わがまま言っては ダメ!!」と
目をすこし曇らして うつむき加減にいうのが常でした。 

ある時 思い余って父に言いました
「父さんは ほとんど家にいない。
学校の行事にも 他の父さんと違って
一度も来てくれない。」
 
その時の父さんは、何とも寂しい目をして
苦笑いにちかい表情で 無言で 僕をじっと
みつめました。 
その顔は 今でも僕の 脳裏から離れません。

僕も 社会に出て、家族持ちになり、
父さんに敗けず劣らず
仕事に 忙しくしています。
ある日 中学生の 女の子が
目に涙を浮かべて 言ってきました!

「おとうさん どうしてこれまで
卒業式や入学式も 一度だって
来てくれないの」
「私 友達に 母子家庭なのっていわれた。
チョゥ~恥ずかしいよ」

自分が 子供の時に言い放った言葉が、
氷の矢となって戻ってきて、胸にささります。

僕はその時、昔 父さんが浮かべたのと同じように、
どうにも 寂しい笑顔と悲しい心で 
空を仰ぐしかできませんでした。 
昔、父さんに向って言った言葉が
どれだけ残酷だったかが、
人の親になって ようやくわかりました。 

父さんが 生きている時にいえなかった
ことがあり、ずっと心の中で
淀みになってました

改めて 天国の父さんに謝りたい。
「父さん ひどい事言ってごめんなさい。
家族のために 命をすり減らし、
必死で働いて くれたのを、
僕は 少しも 判ろうとしなかった」

2022年の作品のリライトです
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