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「キスに蘇る想い出」―ショートストーリー「あなたのキス」企画参加

あなたとの キスの 一つ一つに 
季節のにおいと 想い出が 蘇る

春の公園でブランコを 押してくれた
頬を春風がなでる。空に舞うような気分のキス
蝶々が傍でみつめてる。ブランコが 戻ってくるたびに、
あなたとの 柔らかなキス。キスが終わると
また 背中をおされて空に舞う。
あなたの 前髪が頬にふれ
私は 目を閉じて 唇をツンと 突き出し
ブランコと 幸せに 揺れた

灼熱の 海辺 砂の 一粒一粒が 
夏の思い出を 刻んで 燃える
波打ち際 横たわり 塩辛いキス。
波が やさしく 髪を梳かす
見上げると あなたの 褐色の顔がまぶしい。
茶色の瞳が 「好きだ」ビームを 放ってる。
あなたの 背後には 白く沸き立つ
夏の入道雲が ニヤニヤ顔で 二人をみてる。

母の命日 苔むす 墓標。
わたしの頬に ながれる 涙にキスしてくれる。
あなたの 涙の味も 混じるキス。
悲しみが 胸で泡のように渦巻き あなたに腕の中に 飛び込む
供えた薄紫のリンドウの花も うつむいて 泣いているようだった

雪降りしきる 駅のホーム。時計ばかり 気にするあなた
「体に 気を付けてね」と言う私の言葉は
あなたの 耳は聞いていない。
雪空のように 気もそぞろのキス。
氷の塊を 押し当てあうような接吻。
見送る 私の肩には容赦なく 雪と悲しみが積もる。
列車は 都会へと 遠ざかっていく。

あなたと やっぱり 一緒に生きていこうと
決めたのは そんな雪の日だった。

☆☆☆☆☆☆☆☆
甘野充さん企画のショートストーリー
「あなたのキス」に参加させていただきました。
2022年に掲載した作品を 改筆いたしました。
まだ 詩の要素が 抜けきっておりませんが、
お気に召してくださればうれしいです

#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門 #あなたのキス #甘野充さん #ショートショートストーリー #恋愛 #涙 #立山  剣 #忘れられない恋物語


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