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「泡に 思い出の花が咲く」詩―炭酸刺繡 盛夏編企画応募

思い切って あなたを誘った
隅田川花火大会 
人の波に まぎれないように
そっと 手を繋ぐ

ボクの胸は
打ち上げ花火の
フィナーレのように
激しく ときめく

炭酸の泡は 舞い上がり
空で 花火として咲く
泡の一粒 一粒に
あなたの トパーズ色の面影が
映って はじけ 光る

打ち上げ花火は 泡を集め
暗い空に 金糸の幻を
縫い上げて 刹那色に身を焼く

花火が うちあがるたびに
「あーぁ」とあなたの
ため息が 広がる

煌めきの 泡粒は
あなたの 唇と長い髪を
ボンヤリと
浮き上がらせる

ボクは 花火の光や音よりも
あなたの 優雅な横顔ばかりに
魅入られていた

浴衣姿の あなたは
昼間の人とは
別世界の 旅人のよう
花火が あがるたびに
あなたの瞳が ウルウルと 
揺れ動く

花火が終わると あなたは
やわらかな 笑みをうかべて
「とても 奇麗だったわね」という
うなづく ボク

ボクの 奇麗は あなたの
奇麗とは 別の意味だった

帰り道で 手を繋ぎながら 
ボクは どうしても
「好き」と言える勇気が
湧き 上がらなかった

この夏の日を ボクは
「遠い思い出箱」にいれて
これから 生きていくだろう

彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡
藤家 秋さん企画の炭酸刺繡|盛夏編に
再度 参加させていただきました。
藤家様どうぞよろしくお願いいたします。

#忘れられない恋物語 #詩
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#自分で選んでよかったこと

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