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クリスマスは誰の誕生日?

 今年も2年生の国語の学習で「かさこじぞう」をやりました。

「かさこじぞう」は、わたしたち大人にとっては言わずと知れた昔話の定番中の定番です。しかし、実は、お話を理解するためには日本の「昔の暮らし」についての「基礎知識」が相当必要なのです。


 たとえば、題名にある「かさこ」とは「傘」ではなく「笠コ」であります。  昔は雪の中を歩くのに「傘」ではなく「笠」を使っていたんだよ、という説明が必要です。

 そのほか、土間だのいろりだの、見たことも聞いたこともない子どもが大半ですので、いちいち説明するのはなかなかたいへんです。

 とりわけ毎年説明に苦労するのは「つぎはぎの手ぬぐい」です。
 じいさまが六地蔵に笠をかぶせていくのに、笠は5つしかない。しかたなくじいさまは自分の「つぎはぎの手ぬぐい」を6人目の地蔵様にかぶせるのですが、ここで、貧乏なじいさまが自分自身は「笠」を使っておらず、「つぎはぎ」の「手ぬぐい」1本を大切に使っていたことがわかります。そんな大事な手ぬぐいを、地蔵様にあげてしまうなんて・・・というところから、じいさまのやさしさが深く理解できるわけです。
 しかし、今の子どもたちには「つぎはぎ」を理解するのが難しい。最近では靴下にあいた穴すら繕う家庭は稀で、新しいタオルが買えないほどの貧しさは想像もできないのです。「つぎはぎ」なんてネットで画像とかもないですし・・・。


 「昔の暮らし」についての子どもの知識は年々乏しくなっているので、今年も指導が難しいだろうな〜と予想はしていたのですが、やはりとても難しかったです。一つ一つの具体物について説明するのは諦めて、流さざるをえませんでした。そして今年はさらに、「昔の暮らし」の具体物以前の知識についての共通理解を図るのが大変でした。

それは「年越し」についてです。

「大みそか」を知らない子がたくさんいたのです。まじでクラスの半数。

「お正月くらいはごちそうを用意して、新しい年を迎えたい(年をとりたい)」という慣習自体を知らないのです。

最近ではお正月にお餅やおせち料理を食べる家庭も減っていますから当然といえば当然なのかもしれませんが、2年生で「大晦日」も知らないってどうよ・・・。

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 年末の保護者面談で、ある保護者から「国語教科書の教材が、方言とか内容が昔すぎて難しすぎる。」という御意見をいただきました。
 たしかに、「ないた赤おに」は、さすがにもう掲載をやめたほうがいいとわたしも思います(初出1933年で、90年も前の作品です)。しかし、「かさこじぞう」くらいは、日本人の教養として扱ってもいいのではないか、と個人的には思います。義務教育段階での「国語教育」は、日本人としてのコモンセンス(「常識」「教養」)を培うことも重要だと思うからです。ただ、「かさこじぞう」が難しすぎるからといって国語の勉強がきらいになって、さらに読解力が落ちるのも困りますが・・・。


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 なお、最近の子どもの「基礎知識」が乏しいのは、「昔の暮らし」についてだけではないと感じています。

先週、クラスで「クリスマスは誰の誕生日だか知ってる?」って話をしたときに、クラスの半数の子が「サンタクロース」と答えました。残り半数の子は「わからない」と。

「え~、ちがうよぉ」とわたしが失笑すると、ある子が自信まんまんに、

「そうだよ、ちがうよ!
サンタクロースじゃなくて、テンノーの誕生日だよ!!

と大声で言ったので、わたしは一人爆笑しましたとさw

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