犬の死

この記事は、どうやったら大切な家族の一員であるペットに安全な医療を与えてあげられるかについて考えて書きました。
私は誰かを罰したいわけでも、動物医療全般に不信感を感じているわけでもありません。

途中残酷な表現もありますが、ペットと暮らす1人の人間の体験談として、誰かのヒントになったら嬉しいです。
著作権は放棄していませんが、シェアは自由です。ただしそれによって起こったいかなるトラブルも私は負いません。


実家の犬がまもなく死を迎えます。原因はガンです。

数ヶ月前までは元気でした。
1日2回、多い時は3回散歩に行く子でした。内弁慶な性格でなかなかお友達ができませんでしたが、最近やっとお気に入りのお友達ができました。
コロナ禍でそれぞれ違った時間にお散歩するようになり、会うことが難しくなりました。

動物病院にも定期的に通っていました。
何度も歯肉炎と言われて、そのたびにいつも抗生物質と消炎剤を出されました。

レントゲンなしでスケーリングをされ、それでも治らなかったので歯を何本も抜かれました。

実はその病院にはレントゲンがありませんでした。

お散歩仲間の勧めで、評判の良い動物病院に行ったら、口腔がん判明しました。

今彼の左顔半分は崩壊しています。瘻孔が出来、大きな穴が開いています。左目は壊死し、顔がパンパンに腫れ、口からは腫瘍がはみ出しています。

両親にとってはおそらく最初で最後の犬です。(保護犬です)。
とても可愛がっていて、大切に育てていました。

母は食事を手作りし、父は高齢で運転を控えているのに、交通量の多い道を通って、動物病院まで通っていました。

祖母の介護の合間の犬の散歩は、母の唯一の息抜きでした。
祖母は数年前に施設に入り、その後亡くなりました。

彼は、がん闘病中の父の生きる支えでもありました。おかげさまで父は今年の4月で5年寛解を元気に過ごしています。

紆余曲折を経た後、愛犬との時間を両親は思う存分楽めるようになったのです。

そんな時に悲劇は訪れました。

もう少し発見が早ければ、違った治療法があったのかもしれません。

ガン化する前に発見できたかもしれません。
全てたらればの話で、時間を戻すことはできません。

何度か腫瘍を除去する手術を受けましたが、進行が速く、今は痛み止めと、抗生剤の入った点滴を1週間分取りに行っています。

今となってはもうどうにもできないのです。誰にも時間を戻す事はできません。

肺や気道に転移をして呼吸が苦しくなったり、食道にまで浸潤したら、安楽死も検討に入れています。

飼い主にとってはこれ以上苦しい決断はありません。

まだ息をしている動物の命を止めるのですから、心ある獣医師やスタッフの方々にとっても、苦痛を伴う処置です。

誤診を続けた動物病院は、私が長く一緒に暮らしていた猫にも誤った治療をし、苦しい死を迎えさせました。

別の病院を選んでいれば安らかに逝かせてあげられたのに、輸液が足らず脱水症状が進み体が麻痺してしまいました。

病院が休みの日は、輸液ができません。点滴キットをもらえるなんて私は知らなかったんです。

食べることが大好きだったのに、チャオチュールすらも取れなくなりました。
嚥下機能が低下しているのに、何でも食べられる物、飲める物はあげていいと言われ、いただいたシリンジで水を飲ませてました。

人間のお年寄りなら、とろみをつけないものは飲ませないのに。

ともかく体温を上げてくださいと言われたので、カイロや湯たんぽで体を温めました。
「体温が上がってきました。よかったですね」と言われたけど、

それは熱でした。

誤嚥性肺炎です。


腎臓の悪い子、特に高齢の子には、解熱消炎剤は禁忌だと、新しいクリニックで聞きました。

前のクリニックはどんな症状でも、消炎剤と抗生剤しか出しませんでした。

10年以上も通っていたのに、
1度も一緒に診察室にも入れてもらえず、私は診察室の外で待っているだけでした。

病状の説明も不十分でした。薬の名前も教えてもらえませんでした。

もっと早く病院を変えていれば、もっと冷静になれていれば、勇気を出してクレーマー扱いされても意見を言っていればと、亡くなった子には申し訳なさでいっぱいです。

一生懸命体全体で訴えていたのに、私の腕の中で亡くなる位、信頼してくれていたのに、わかってあげられなくてごめんね。

私のことを最後まで愛して信頼してくれたのに、ふがいない飼い主でごめん。

高齢者の一部には、病院を変えるとお世話になった先生に悪いだとか、今までの病院だとなんとなく安心するだとかの理由で、それまでの病院を変えることも難しいことがあります。
私の両親も転院について聞き入れませんでした。

でも、動物は自分で判断ができません。物も言えません。

どんなに理不尽で辛い治療をされても、訴えることができないのです。

苦しくても我慢し続けるしかできないのです。

その子のために何ができるか、そして何をするのかを決めるのは飼い主で、正しい判断をサポートできるのは、家族や友人です。

地域柄難しいこともあると思いますが、

あそこの動物病院は良くない、こういうことがあったよ、こういうことを体験したよと、どうか情報をシェアしてください。

それが難しいなら、


しつこくはがきを送ってきたり、電話をしてきたら断ってください。はがきは受け取り拒否をできます。電話には出なくてもいいのです。

家族の言うことを聞かなくても、お友達や、お知り合いの言葉に心動かされる人もいます。

どうか皆さんお願いです。

獣医療にもセカンドピニオンを取り入れてください。

セカンドオピニオンについて考えてください。

人間の医者にもいろいろな人がいるように、獣医師にもいろいろな人がいます。

ましてや獣医療は完全自由診療です。お金を取ろうとすればいくらでも取れます。

知人は猫の治療で100万円支払いました。

早期発見できるものを遅らせて、重症化してから治療する歯科医がいるように、一定数そういった獣医師もいるのです。

悪意はなくても、スキル不足、勉強不足の獣医師もいるのです。

良い動物病院は、丁寧に説明をしてくれます。アニテクをなど、スタッフも多いです。

いいクリニックは、ドクターが忙しい時は、スタッフが時間をとって説明してくれます。

飼い主が希望しない治療や、過度な負担は押し付けません。

経営難の動物病院もあります。
お世話になったから、人柄がいいから可哀想、そう言う人もいます。

でも本当に可哀想なのは誰でしょうか。

物言えぬ動物を守れるのは、誰でしょうか。

経営能力の低い人間に、動物病院を開くように言ったのは私たちではありません。

獣医師になるように言ったのも私たちではありません。

決めたのは彼らです。

いい人かどうかは、獣医師としてもスキルとは必ずとも比例しません。

動物病院を変えるのは裏切りではありません。

純粋に命を救うための行為です。

苦しみを少なくして安らかに逝かせるための選択です。
そしてその選択肢を選べるのは、飼い主であるあなたです。

あなたの大切な家族が、誰よりも信頼しているあなたです。

参考記事

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