マガジンのカバー画像

フランス詩を訳してみる

45
運営しているクリエイター

2019年5月の記事一覧

ヴェルレーヌ「白い月が……」(フランス詩を訳してみる 6)

(永井荷風・渋沢孝輔の訳を参考にした。)

「憩らい」は、この詩が収録されている詩集の La Bonne Chanson というタイトルを『優しき歌』と訳した立原道造の用字を借りました。

 *

レイナルド・アーンによる歌曲(1893年)[楽譜]があります。

ヴェルレーヌ「屋根のむこうでは 空が……」(フランス詩を訳してみる 5)

前回の「月の光」に続いて、ヴェルレーヌの詩をもう一つ訳してみます。

1881年の詩集『叡智』(Sagesse) より。アルトゥール・ランボーへの発砲事件を起こした後に獄中で書かれた詩です。

Le ciel est, par-dessus le toit,
Si bleu, si calme !
Un arbre, par-dessus le toit,
Berce sa palme.

La

もっとみる

ヴェルレーヌ「月の光」(フランス詩を訳してみる 4)

ドイツの作曲家に一番愛された詩人がアイヒェンドルフだとすると、フランスの作曲家に一番愛されたのはヴェルレーヌではないでしょうか。象徴主義(サンボリスム)というとなにやら難しそうですが、日本でも上田敏訳の「秋の日の/ヸオロンの…」や堀口大學訳の「巷に雨の降るごとく」などで親しまれてきたように、難しいことは抜きにして気持ちよく口ずさめる詩を書いた詩人ともいえるかもしれません。

 *

詩の翻訳のリク

もっとみる