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第1号 早々頓挫。



プロローグ。



いよいよ2023年最後の月となった、今日は12月1日。気温は7℃、晴れ。
私たちは京都精華大学メディア表現学部、3回生。
大下ゼミに所属するねーさん(小林)とせんちょー(山口)だ。

卒業プロジェクトとして、ねーさんとせんちょーの2名は船岡山公園でコンポストを作り、堆肥を作るという計画が起こった。
そしてきたる12月6日に、卒業プロジェクト略して"卒プロ"の計画書を提出し、これをもとに卒業プロジェクトの輪郭が浮かび上がる。この卒プロの計画書は、提出に不備があれば単位をもらうことはできない。すなわち、必須なのである。

ある日の船岡山からの景色。

はじまる前のさらに原点。



さて。
時はさかのぼり、12月に入る前、僕(せんちょー)に、一本のLINE電話があった。
相手はねーさんから。
そして要件は、「卒業プロジェクト、一緒にせーへん?」という内容だった。
私たちのゼミは、卒業要件の成果物に卒業論文ではなく卒業プロジェクトや卒業制作が選択できる。しかも、他学生と共同で制作しても構わない(むしろ推奨)というルールだ。
彼女は秋頃、ゼミで”個人研究テーマ”を計画したときに、「落ち葉コンポスト」をテーマとして取り上げていた。なぜ落ち葉なのかは後で話すことにする。
個人研究テーマの内容は、スケジュールの関係で全てできなくなっていたため、卒業プロジェクトとして取り上げることで彼女自身の関心に繋げるということを考えたのだろう。
ちなみに僕は、別の卒プロテーマと迷っていたが、なるほど。
そっちの方がおもしろい。しかも、興味もある。
2回生の頃に「サーキュラーエコノミー」という授業があり、資源を循環させる経済のことや、そもそも廃棄を前提としない仕組みづくりに、とても感銘を受けた。
そこで、コンポストについての前提知識は知り得ているし、その恩恵もあって専門家への相談や参考事例のリサーチも比較的容易かもしれない。
さらに、船岡山はコンポストの「資源」の宝庫である。
床材として有用な落ち葉は、早朝のラジオ体操をされているお年寄りたちによって、ボランティアで集められている。そしてそれはゴミ袋にまとめられ、京都市の税金を使用して処分している。ましてや、船岡"山"公園というぐらい文字通り「山」な公園である。落ち葉は冬場、無尽蔵に生まれてくる。

綺麗にまとめられた落ち葉。私たちには宝の山に見える。


同様に、船岡山周辺の飲食店なんかで出る"残さ"も事業所側の料金負担で産業廃棄物として処分している。せっかくの残さも、ゴミとして処分する以外に活用方法がないだろうか。
ということで、これらをレスキューし、とその他資材を含めたコンポストが作れる。さらには公共施設の利活用、サーキュラーエコノミーの実践が期待できる。
船岡山公園に拠点を置き、公園管理と一級建築事務所をされている
STUDIO MONAKAさん。そちらの方もそういえば、"将来的にコンポストをやるから候補地が船岡山公園内にある"と以前、話していたっけ。ならば、話が早い。
決めた。
「よし、一緒にやろう。」

そうして、”卒プロ計画書”への歩みが進んだ。

迫る期限、これまでの安心が作る焦燥。


"卒プロ計画書"の期限を間近に控えた12月1日、突如の挫折
STUDIO MONAKAの方から以前聞いていた"コンポストの用地が公園内にある"というのは、”許可は降りていない”けど”用地の候補”ができているという現状だった。これは、全くMONAKAさんのミスではない。勘違いしていた僕・せんちょーの責任であり、何事も聞いただけで完全に安心し切ってはならないということが思い知らされた。
そうとなれば、他にも候補を拡大し、大宮交通公園、宝ヶ池公園、梅小路公園、最悪の場合は大学でのコンポスト作りなど・・・さまざまな想定で小林と案を出した。作戦を立てた。
正直、不安すぎて、藁にもすがる思いだった。
安心するのは時期尚早だったのかなと自分を疑う面と、
迫る"卒プロ計画書"の期限に焦燥していた面があった。

味方から、味方へ、思いよ届け。


私たちのみならず、大下ゼミは船岡山公園オープンパーク(=社会実験の名の下に京都市と諸企業で行っている月一回のイベント)に出店やワークショップ実施、とにかくその場に身を置いて、数々の「味方」を作らせていただいた。この仲良くなった方を味方と呼ぶ考え方は、ゼミの担当教員・大下先生が発案された考え方だ。
最初に手を差し伸べていただいた味方は、STUDIO MONAKAの三上さんだった。
三上さんは、建築事務所で小商いの設計などを担当されている方でありながら、そのオープンパークで私たちゼミと密接に関わっていただいている。
その三上さんへ相談を投げかけると、ひとまず、「資料を作って京都市の北部土木みどり事務所へ利用のお願いをしてみては?」と、解決への道標をいただいた。
三上さんに所々、改善点をツッコんでいただき、無事、お願い資料が完成した。
ちなみに、北部土木みどり事務所を含む京都市の職員の方にも多数味方がいたのは、これもオープンパークのおかげさま。
例えば、京都市のみどり政策推進室で、他の公園での社会実験プロジェクトをされている奥村さんなんかも、その例だ。船岡山公園で出会い、僕たちの存在を知っていただいていたこともあり京都市に話が通しやすくなった。
味方はいる、大丈夫だ。
足りないものはない。そう自分を信じて、ねーさんにも投げかけ、僕は三上さんを経由して、京都市へお願い資料を提出した。
これから、どうなるんだろう。そんな煮え切らない気持ちのまま、
卒プロ計画書を仮の情報で提出した。僕たちのコンポスト作りへのストーリーは、今日から、「発酵」し始めた。

つづく

船岡山のお地蔵様、どうかお願いいたします。

ライター:ヤマグチ コウタ
(京都精華大学メディア表現学部3回生)


協力してくださった味方:
STUDIO MONAKA 三上さん
京都市みどり政策推進室 奥村さん
京都市北部土木みどり事務所の方々

実績解除:「初めての頓挫」
     「...これからどうしよう?」
  EXP:+120p (頓挫ポイント120p)
  累計EXP:120p

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・京都市からの返答
・設置場所の視察
・モチベーションの用意


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