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2.洗濯中のベランダにて。Bob Dylan/Blowin' in the Windを今さら和訳。自宅待機日記。

コロナウイルスが影響力を及ぼす昨今。

洗濯物を干していると、ベランダに桜が舞っている様子がよく見えます。

こんなに綺麗だったかしら。

不幸なのか幸いなのか、仕事がコロナウイルスの影響で、営業停止に追い込まれてから、太陽の下でゆっくりと外の景色を眺める機会が増えました。

ベランダに濡れたシャツを順番に竿に並べ、暖かい風を感じながら、WALKMANをシャッフルで流していると、ある曲が胸に引っかかりました。

それは、Bob Dylan氏の「Blowin' in the Wind」です。邦題だと、「風に吹かれて」ですね。

Bob Dylan氏は1941年生まれのアメリカのユダヤ系のシンガーソングライターで、グラミー賞やアカデミー賞、ロックの殿堂入りをしていたり、2016年にはノーベル文学賞を受賞するなど、数々の経歴をお持ちのもはや私が紹介するまでもない大御所です。

さて、今回は何が引っかかったのか、先に歌詞を読んでいただきたいと思います。

せっかくなので、日本語訳も。

How many roads must a man walk down
Before you call him a man?
How many seas must a white dove sail
Before she sleeps in the sand?
Yes, how many times must the cannon balls fly
Before they're forever banned?
The answer, my friend, is blowin' in the wind
The answer is blowin' in the wind

 Yes, how many years can a mountain exist
Before it's washed to the sea?
Yes, how many years can some people exist
Before they're allowed to be free?
Yes, how many times can a man turn his head
Pretending he just doesn't see?
The answer, my friend, is blowin' in the wind
The answer is blowin' in the wind
 
 Yes, how many times must a man look up
Before he can see the sky?
Yes, how many ears must one man have
Before he can hear people cry?
Yes, how many deaths will it take till he knows
That too many people have died?
The answer, my friend, is blowin' in the wind
The anser is blowin' in the wind

「男は人として認めてもらう為、どれほどの道を歩いていかなくてはならないのか

白い鳩は砂浜で眠るまでに、いくつの海を越えなくてはならないのか

武器はなくなるまで、どれほど飛ばさなくてはならないのか

ああ友よ、その答えは風の中に

風の中に吹かれているのだ

山は海に覆われるまで、どれほどの時間をあり続けられるのであろうか

人々は自由を許されるために、どれほどの時間を有するのだろうか

人は後、何度と身食わぬフリをし、背を向け続けるのであろうか

ああ友よ、その答えは風の中に

風の中に吹かれているのだ

男は空を見ることができるまで、あと何度、顔をあげなくてはならないのか

人は泣いている声を聞くまでに、いったいいくつの耳を持たなければならないのか

多くの人が亡くなったと気づくまで、死はあとどれほど繰り返されるだろうか

ああ友よ、その答えは風の中に

風の中に吹かれているのだ」

...と。日本語訳はこんな感じでしょうか。

確か、Bob Dylan本人は「メロディとギターはどっかのカントリーソングから適当に取ってきた」と言っていましたが、このシンプルさがまた良いですね。

私が引っかかったのは、この歌詞に出てくる問いかけの全ての部分です。

私は、Bob Dylan氏が、この歌の中で問いかけたもの、全ての答えがいまだに風の中から出てきていないことに気がつきました。

この歌が出た当時、世界ではヒッピームーヴメントが起こったり、日本でも学生運動が盛んになったりと、人びとが何かと「自由」と「解放」を求めていた時代ではないでしょうか。

あれから、私たちはいまだに何かに悩まされ、不安になり、縛られたような気分になります。

私でいえば、今回のコロナウイルスで件で仕事を失ってから明日のことすら分からず不安になっています。

きっと同じような方も多いのではないでしょうか。

家にいて、テレビを見ていると、毎日コロナウイルスの曖昧な情報ばかりが出回り心が疲れてきます。

果たして、コロナウイルスが終わって、日常が戻ってきたところで、その先は自由なのでしょうか。

現在、給与もままならず、今後、食べていくことすら危うい世界で、自粛が終わり、外へ放り出されることが解放なのでしょうか。

こういった今の悩みを、半世紀以上前に出されたこの曲の中でBob Dylan氏が歌っているような気がして、なんだか胸がざわつきました。

洗濯物を終えてソファに座り、カーテンとベランダ越しに桜を眺めます。

よく見ると、少しずつ青葉の顔が見えました。

今日も晴れた日ですが、家の中での生活です。

この先、どうなれば正解なのか。

その為にはどうすればいいのか。

桜を連れていく、そよ風に訊いてみたいものです。


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