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傷ついた人にやさしく寄り添う映画『違国日記』

新垣結衣さん・早瀬憩さん主演の映画『違国日記』が2024年6月7日に公開

先日、一足早く試写会にご招待いただきました。
人との距離を保ってきた小説家の槙生(まきお・演:新垣結衣さん)と、両親を交通事故で亡くした姪の朝(演・早瀬憩さん)との共同生活を描いたこの映画、人の悲しみや傷に寄り添うあたたかい作品でした。
本作で表現された、悲しみや悩みとの向き合い方や乗り越え方が素敵だったので、その魅力を紹介します。

悲しみとの向き合い方は人それぞれ

両親を亡くした朝だけでなく、槙生が人と距離を取るようになった原因があったり、朝の友達にも悩みやもやもや、怒りがあったり、それぞれ人になかなか吐露しにくい悲しみや悩みを抱えています。

悲しみや悩みを周り全体に打ち明ける人、
近い人だけと分かち合う人、
周りには打ち明けず明るく振舞い、自分の心の中で消化する人、
一人で悩んで考えて、悲しみにや悩みに向き合う人、、、
心のバランスのとり方は、人それぞれ。

そのバランスのとり方や、乗り越え方を丁寧に描いているのが素敵でした。

家族との付き合い方も人それぞれ

両親を亡くし、伯母と暮らし始めた朝ですが、基本的に槙生に何も求めません。
卒業式にも入学式にも出てくれなくて良いと言うし、朝から槙生に何かを求めることはなかったように思います。

けれど、朝はしっかりしている訳でも、自立している訳でもない。
朝に遠慮している訳でもありません。

大切な人を亡くした悲しみや喪失感は計り知れませんが、
べったり寄り添ってほしい人もいれば、
放っておいてほしい人もいる。
その上で、槙生の朝との向き合い方は素晴らしかったと感じます。

大事なのは、人は根本的に分かり合えないものだとわかっておくこと

私はとても槙生の考え方が好きだったのですが、彼女が朝に言った言葉で印象的だったものがいくつかあります。

その一つが、
自分の感情は自分だけのもので、
人とは分かり合えない。分からなくていい。
ということ。

これは字面だけだと突き放したような言葉に見えますが、
実は相手の気持ちを考えた最大限の言葉。
人と完全には分かり合えないものだとわかっているからこそ、
歩み寄ったり、理解ができる。という考え方がとても素敵だと思いました。

映画館で優しい雰囲気に包まれてほしい

槙生や朝、周りの人の日常に触れることで、
子どもの心を思い出せたり、子どもの心に寄り添えたり、
他人にイライラしてしまう自分をちょっと浄化してくれる気がする映画です。

じっくり観て、あたたかな部屋の雰囲気や風景に癒されて、自分自身と向き合ってみては?

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