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弁護士の僕ならこうやって借金を整理します-4(破産に対する誤解)

【 自己紹介 】

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

【 今日のトピック:債務整理 】

さて、今日も引き続き借金について書いていきます。

昨日書いた物語の中の僕は、本当に大変な状況に追い込まれていました。

ぜひ、昨日のブログお読みになった上で、今日のブログをご覧いただきたいのですが、昨日のブログだけ読むと、僕はにっちもさっちもいかなそうですよね?

なんか、どうしようもなさそうです。

だって、最終的に、毎月の返済が給料を超えちゃっているからです。

そこまで追い込まれた僕が、借金を「整理」なんてできるのでしょうか?

そもそも、「借金」すると、返済期限までに、契約で決められた金額を返済する法的な義務を負います。

これが「借金」です。

「借金」は、将来的に借りた金額以上に多く返さなきゃいけない不幸よりも目先の預金残高を優先するからこそ借りるわけですが、この「将来の不幸」は、「法的な義務」です。

将来的に、借りた金額以上にお金を返さなきゃいけない「法的な義務」を負担するけれども、目先の預金残高を優先して、借金をするわけです。

じゃあ、借金を「整理」なんてできないような気がします。

「整理」という言葉を借金の文脈で用いると、「金額を減らす」とか「1つにまとめる」なんて意味合いが出てくる感じがしますが、そもそも、借金の返済は「法的な義務」なので、「減らす」とか「まとめる」なんてできないのが原則です。

例えば、交通事故の加害者は、被害者に対して、「法的な義務」として、損害賠償の責任を負っていて、その結果、被害者の受けた損害をお金に換算して支払わなければいけませんが、この「法的な義務」が、減らされたり、「まとめ」られたりしたら、被害者はたまったもんじゃありませんよね。

「法的な義務」って、簡単に減らせないんです。だからこそ、「法的な義務」なんです。

借金の「法的な義務」は、毎月決められた金額を返済することですが、この「毎月の返済額」には、もちろん、利息が含まれています。

利息はなかなかにコワいシロモノで、元本が残っている限り、うじ虫のようにいつまでも湧いて出てきます。

つまり、利息も元本も含めて丸々完済するまで、借金はいつまでも増え続けます。元本が残っている限り、日にちが経つだけで、利息がつくからです。

借金は、こういった、「元本が残っている限りいつまでも利息が増える」というお金を返済する、という約束なのです。この「約束」の結果、借金返済は「法的な義務」となり、原則として、減らしたり、まとめたりすることはできなくなります。

さて、ここまでかなり怖い言葉を連ねてきました。こんなに不安や心配を煽っても仕方ないかもしれませんが、これが、法律の原則です。

とはいえ「借金整理」とか「借金チャラ」なんてこと、聞いたことありませんか?

実は、ここまで書いたこととは裏腹に、借金を「整理(減らしたり、まとめたり)」、「チャラ」にする方法が、用意されています。

さて、じゃあ、昨日書いた物語の主人公としての僕は、いったいどんな方法で借金を「整理」したり「チャラ」にしたりするでしょうか。

これを考えるときに大切になってくるのは、まず、現状、僕の借金がいくら残っているのかです。

僕は、↓の借金を背負っていることにしましょう。

・住宅ローン:残り2000万円

・自動車ローン:残り200万円

・教育ローン:残り65万円

・アコム:50万円

・クレジットカード1枚目:100万円

・クレジットカード2枚目:100万円

・クレジットカード3枚目:100万円

結局、合計2615万円の借金を、全部で7社に対して負担しています。

僕だったら、これだけの負債があるのなら、間違いなく破産します。

破産すると、自宅は売却され、賃貸物件を見つけなきゃいけなくなりますが、僕は、住むための物件であれば、賃貸でいいと考えているので、「不動産を残したい」なんて微塵も思いません。

しかし、そうすると、そもそも僕はマイホームなんて買わないことになってしまうので、この設定の中の僕は、マイホームにこだわりが強いことにします。

借金の返済が追いつかないけれど、マイホームは維持したい・・・。

そんなことを思っているとします。本当の僕は、一切こんなこと思いませんが、そう思う人は、僕の経験上、それなりにいらっしゃいます。

でも、マイホームを維持しながら借金を整理するなんて、そんな方法あるのでしょうか。

その説明の前に、弁護士としての僕が、この設定上の僕にオススメする「破産」について説明します。

「破産」とは、財産を全てお金に変えて、それを配る手続きです。

「配る」相手は「債権者(さいけんしゃ)」です。「債権者」という用語は難しいですが、僕に住宅ローンを組んでいる銀行や、アコム、完済できていないリボがあるクレジットカード会社が「債権者」に含まれます。

要は、「僕に払ってもらわなきゃいけないお金があるのに、それを払ってもらっていない会社や人」を「債権者」と呼ぶのです。

破産すると、僕の財産は全部売却されて、お金に変えられ、そのお金が債権者たち(今回の設定では7社)に配られてしまいます。

「破産」は、その字面がめちゃくちゃこわそうなので、思考停止で「破産はダメ!」「破産こわい!」と思われているフシがありますが、確かに、やっていることはこわいと思います。

でも、破産のミソは、「財産全部」が「財産全部」じゃない、ということです。

実は、破産しても、生活に必要な財産は売却されず、そのまま使い続けていいんです。

例えば、テレビや冷蔵庫、洗濯機など、今となってはどこの家庭でも持っているような家財道具は、破産によってお金に変えられちゃうことはありません。

あの、一応説明しておきますが、財産を売ってお金に変えた後のお金は、僕自身で使えません。「破産管財人」という、僕に代わって破産を進める弁護士が裁判所から選任されるのですが、売った後のお金は、その弁護士の管理下に置かれてしまい、元々は僕の財産だったにもかかわらず、僕は一切手出しできなくなってしまいます。

売却によって入金されたお金に僕は一切手出しできないまま、そのお金は債権者に配られたり、管財人の弁護士の報酬としてその弁護士の懐に入れられたりします。

これが「破産」なんですが、とはいえ、先ほど説明したように、普通にどこの家庭にもあるような家財道具は、管財人が売却することはありません。

破産すると、マイホームは売却されてしまいますが、中身の家財道具まで奪われることはありません。中身は、次に住む賃貸物件に移して、そのまま使い続ければいいんです。

それと、自動車も、売却されないことが多いです。

僕が今働いている地域では、新車登録から7年が経過した、新車価格300万円以下の自動車は、自動的に価値がゼロとなって、売却の対象となりません。

仮にこの要件を満たさず、売却の対象となるにしても、自動車の価値と同じだけのお金を破産管財人に差し出すことで、売却を回避できることもあります。

例えば、30万円の価値がある自動車を普段使っているので売却してほしくない場合、30万円を差し出せば、自動車を売却したのと同じことですから、自動車は売却せずに、破産した本人にあげる、という処理にすることも多いです。

それと、現金も99万円まで持っていていいです。

債権者に配られる財産には、当然、「現金」も含まれますが、その現金のうち、99万円までは、債権者に配られずに済みます。

だから、99万円までの現金は、手元に持っておいて、生活費に使っていいんです。

こんな感じで、破産した後も、生活に必要な財産は結構残ります。

なぜなら、破産した後も、普通に暮らしていいからです。破産=死亡宣告ではありません。

破産は、経済的にやり直す仕組みです。「やり直し」なので、その後の生活ができなくなったら、破産した目的を達成できません。

だから、破産した後も、普通に暮らしていいです。

そして、破産すると、ほとんどの場合、最後に「免責」といって、借金をチャラにするという裁判所からの決定がもらえます。この「免責」によって、法的に借金がゼロになり、それ以降、借金に苦しまずに生活できるようになります。

こんな風に、「破産」は、法律上認められた「やり直し」の手段なのです。

僕だったら、破産して、借金をチャラにして、人生をやり直したいと思うからこそ、破産を選びます。

明日は、破産を選ばなかった場合に、僕がどんな方法で借金に立ち向かうかについてお話していこうと思います。

くれぐれも、今回の設定で、僕がいちばんオススメするのは破産なので、その点ご了承ください。

それではまた明日!・・・↓

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