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子ども(未成年)が逮捕された場合に弁護士の僕ならどうするか-17(調査官調査)

【 自己紹介 】

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

【 今日のトピック:少年事件 】

今日も、昨日に引き続き少年事件について書いていきます。

昨日は弁護士視点で言い訳がましいことを書いてしまいました。

結局、「時間は限られている」という当たり前のことを言いたかっただけなのですが、長々とすみませんでした(汗)。

さて、逮捕された(設定の中の)僕の息子は、家庭裁判所に送致されるタイミングで釈放されました。

「釈放」とは、「家庭裁判所から自宅までは自分で帰ってね」という意味なんですが、家庭裁判所には父親である僕が送迎に行っているので、息子が文字通り「1人で」自宅に帰ることはありません。

というか、息子が1人で家庭裁判所から自宅まで帰らされる心配がないからこそ、裁判官は釈放を決定したんだと思います。

家庭裁判所から1人で帰らなきゃいけなくなるようだと、それはつまり、釈放の可能性があるにもかかわらず、両親や親族などが送迎に来ないわけで、そういった家庭環境も、釈放の可能性を下げてしまいます。

だから、両親や親族などが家庭裁判所から自宅まで自動車に乗せて帰ったり、公共交通機関なら自宅まで付き添って帰るのが普通だと思います。

さて、釈放されたらそれで終わりじゃありません。少年事件は、最後の「審判」まで続きます。

釈放から審判までの期間は約1か月間が空きますが、その間何もしないわけではなく、家庭裁判所の「調査」を受けます。

家庭裁判所の「調査」とは、家庭裁判所の職員である「調査官」が、少年本人や両親と面談したりして、これまでの生育環境や家庭環境を調査し、その上で、事件を起こした原因を調査官なりに明らかにして、裁判官に報告する手続です。

この「調査」のために、少年本人や両親は、裁判所に呼び出されることになります。

もちろん、いきなり「○月×日〇〇時に来てください」と命令されるのではなく、事前に日程は調整できます。

ただ、調査官は裁判所の職員なので、実施されるのは平日の昼間です。

しかし、学校や仕事を理由に日程を変更することは難しいと思います。なぜなら、それだと、平日の昼間は全部都合が悪いことになってしまうからです。

どうしても外せない仕事の予定があるとか、そういった例外的な理由がない限り、原則として裁判所から指示された日程に応じるべきだと僕は思います。

日程に応じられるかどうかも、調査のチェックポイントの1つです。仕事を理由に日程が全然調整できないようだと、家庭環境にマイナス評価が与えられてしまい、少年院の確率が上がります。

この「調査」には、弁護人(付添人)の弁護士も同席することができます。僕だったら、必ず同席してもらいます。

弁護士は、家庭裁判所に送致されるまで(警察署で逮捕・勾留されている段階)は、「弁護人」と呼ばれます。

家庭裁判所に送致された後は「付添人」と呼ばれます。

名前は変わりますが、少年の味方として、最終的な処分を軽くするために活動することは一緒です。

「調査」では、少年本人と両親の一挙手一投足が評価の対象となります。

調査官は、調査した結果を踏まえ、調査結果報告書を作成するのですが、その報告書は驚くほど詳細で、的確です。

調査官は、弁護士と違って、家庭裁判所で実施する調査のときしか少年本人・両親と話しません。弁護士は、打合せなどで結構頻繁に少年本人や両親と接していて、少年本人や両親の人となりを少しずつ把握できますが、調査官はそうはいきません。

限られた時間で調査を尽くす必要があるのですが、その調査の精度はかなり高いと僕自身は思っています。

そういった、いわば「プロの目線」で観察されてしまうのが、家庭裁判所での「調査」なので、自分以外に弁護士が味方として同席してもらえたほうが心強いのです。

僕自身も弁護士とはいえ、自分自身のことになると、途端に自分が見えなくなります。

弁護士が、仕事として同席してくれると、なにか口を滑らせたときにすぐさまフォローしてくれたり、言うべき事柄をそれとなく誘導してくれたり、とてもありがたい役割を果たしてくれると思います。

「調査」では、基本的には少年本人と両親が調査官からの質問に答える形で進みます。弁護士が何か率先して話すことはありません。

だから、発言は基本的に自分の責任になるんですが、緊張してすぐに言葉が出てこなかったり、ど忘れしたりした場合に、弁護士がササッとフォローしてくれると助かります。

調査官による調査は、最終的な処分を裁判官が決める上で、最重要ポイントです。この調査結果がどのように裁判官に報告されるかで、おおよそ8割方、結論は決まります。

最終的な審判は、残りの2割を補充するだけだと僕は思っています。

8割方決まってしまうのであれば、きちんと準備しておかなきゃいけません。

調査は、調査官からの質問に答える形で進むので、事前に内容を予測するのは難しいですが、少なくとも、事件を起こした原因や、今後の対策については、少年本人・両親・弁護士との間で意見の食い違いがないよう、しっかりと考えを共有しておかなきゃいけません。

今回の設定では、事件を起こした原因は、

・息子の交友関係

・人生に楽しみがない

という2つでした。そして、この原因を踏まえ、今後は、

・高校に戻ってしっかりと勉強する

という方針を息子と固めていました。

そうすると、

・高校との話し合いでは、高校に戻れると結論が出たのか

・戻る条件として何か条件は提示されたのか

・交友関係を再構築する方法は何を考えているのか

・人生の楽しみや将来の目標はなにか

こんなことを事前に検討して、息子・両親・弁護士とで考えを共有しておく必要があります。

さて、調査は無事に終えることができたとして、次回は、「審判」について書いていこうと思います。

それではまた明日!・・・↓

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