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子育てに疲れたら-15(子どもは親元で育つ)

【 自己紹介 】

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

【 今日のトピック:子育て支援 】

今日も引き続き、子育て支援について書いていこうと思います。

さて、昨日は、児相(「児童相談所」の略)の独断でいつまでも子どもを閉じ込めておけるわけではないことを説明しました(当たり前ですが)。

家庭裁判所の承認がないと、子どもを保護する期間は延長できません。

というか、そもそも、家庭裁判所が顔を出すのは例外的な場面で、基本的に、親も子どもも、子どもが家から離れることに納得しています。

だから、「児相が無理矢理子どもを奪っていく」というのは、実態と少し違うと思います。

いざというときに、児相が無理矢理子どもを奪うことはできるようになっていますが、何でもかんでも児相が子どもを奪っていくわけではありません。

児相には明確なスローガンがあって、「全ては子どものために」です。

そして、やっぱり、一般的に言えば、子どもにとってのベストは両親と暮らすことで、児相もまずはここを考えます。

子育てにはいろんな考えがあると思いますし、どれの考えが正しいのかを決めるのは非常に難しいと思います。

僕としては、「両親と暮らすことが子どもにとってはベスト」という考えも、考え方の1つでしかなく、時代や場所を超えて普遍的だとは全く思っていません。

『サピエンス全史』や、橘玲さんの著作を読むと、人類の始まりや人類の進化の過程について非常にわかりやすく勉強できるんですが、それを読んでいると、どうやら旧石器時代の人類は、必ずしも子どもの世話をその実親のみに任せていたわけではなさそうです。

厳しい旧石器時代の中でも、脈々と人類が子孫を後世につなぐことができたのは、コミュニティとして命を繋いできたからです。

コミュニティを形成し、その中で子どもを作り、コミュニティ全体で子どもを守り、育ててきました。

スーパーもコンビニも保育園もないサバンナのど真ん中に、両親と子どもだけで放り出されて生き残れるはずありません。

子どもを抱えながら自然環境の中で食料を確保するのは至難の業でしょうし、子どもを抱えていては、親が自分の命を守ることすらままなりません。

他の生物と比べて、身体的に非常に弱い僕ら人類は、コミュニティなしでは生き残れません。

だから、「さみしい」とか「嬉しい」という感情も身につきました。孤独を「さみしい」と思い、なおかつ、誰かと一緒にいると「嬉しい」と思うからこそ、僕らはコミュニティを形成し、コミュニティ全体の存続を図ることができ、それが生存戦略上役立ったのです。

「さみしい」や「嬉しい」という、コミュニティの存続(その結果としての子孫繁栄)に必要なシステムは、僕らの感情にまで落とし込まれているくらい、生き残るために必要だったようです。

さてさて、人類の歴史についての話が続きましたが、こういった旧石器時代であれば、「子どもは両親と一緒に住むべき」という考えはあり得なかったでしょう。

子どもはコミュニティ全体で守らなければなりませんでした。子育ての負担を実親のみに押し付けていては子どもを守ることができず、その結果、コミュニティ全体が途絶え、子孫を後世に残せなくなってしまいます。

こういった旧石器時代の常識は、農耕革命以降、ガラッと変わりました。人類が定住するようになったのです。

農耕革命によって、狩猟採集しなくても食料を確保することができるようになると同時に、自分が食べる以上の食料が存在するようになりました。

これによって、コミュニティを維持する理由が少し減ったのですが、とはいえ、農耕には人手が必要なので、ある程度大所帯のコミュニティが必要な状態は続きました。

そして、産業革命以降、いよいよコミュニティの必要性が小さくなりました。というのも、機械化によって食料生産の効率性が進み、なんと、食料生産に携わらなくても、お金を稼ぐだけで食料にありつけるようになりました。

「コミュニティ」に頼らなくても、食料を確保し、生きていけるようになったわけです。

僕は今ひとり暮らしをしていますが、産業革命以前の状態では、たった1人で暮らしていても食料を確保できませんから、ひとり暮らしは不可能でした。

しかし、今は「ひとり暮らし」が可能です。それはつまり、人類が、生まれてはじめて、食料を確保するためのコミュニティが完全に不要となったことを意味します。

(ま、正確に言えば、お金を稼ぐには必ず仕事相手が必要なので、コミュニティからは全く解放されていないですけど笑)。

日々の生活にコミュニティが不要となり、そのせいで、コミュニティのマイナス側面(人間関係がめんどくさい、土地に縛り付けられる)ばかりが強調され、家族の単位は、両親と子ども(いわゆる「核家族」)またはひとり暮らしにまで縮小されました。

コミュニティが膨らめば膨らむほど、人間関係は錯綜し、めんどくさくなります。

とはいえ、かつては、生き残るためにコミュニティが必要だったので、こういった錯綜した人間関係も皆受け入れていたんですが、生き残るために必要ないのであれば、そこから抜け出して自由になりたいものです(僕もイヤイヤ加入するコミュニティは嫌いですし)

その結果、コミュニティは、最小の「ひとり暮らし」にまで解体され、大きくても核家族(夫婦のみ、または子ども+夫婦)となったわけです。

こういった歴史の流れの中で、今の時代は、「子どもにとっては親元で暮らしたほうがいい」という価値観が形成されていて、その価値観に従って、児相は動いています。

本来、家族のあり方はそれぞれの家庭で異なり、尊重されるべきであって、歴史を見ても、いろんな家族の形があったはずです。

旧石器時代

農耕革命

産業革命

という順番で、家族の形は変わってきたはずです。

あくまで、今の時代にあって、その中で、(一応)一般的な価値観として、「子どもは親元で育つべき」という思想があるだけです。

ただ、ここまで冷徹に書いておいてアレなんですが、子どもに大人が必要なのは間違いありません。

生まれるときから、子どもは大人の支えが必要です。分娩は赤ちゃんも頑張りますが、何よりも母親が頑張っていますよね笑。

そして、赤ちゃんが自分ひとりだけで育つわけもありません。

じゃあ、大人なら誰でもいいのかというと、どうもそうじゃないようです。

ここからは僕の推測でしかないんですが、いくら、「コミュニティで育てる」といっても、やっぱり、現実に分娩した母親がいるわけですから、旧石器時代から、その母親は、子どもとの特別な関係があったはずです。

だから、子どもは、ある特定の大人(特に母親)との愛着関係を必要としているような気がします。

(人類の女性には発情期がなく、いつでもセックスができます。そのせいで、生まれてきた子どもの父親が誰かわからなくなっています。意図的に父性をわからなくているようにも思えます。しかし、分娩は必要なので、母親が誰かは明らかです。そうすると、旧石器時代でも、実母は誰なのかということは重視することができました)

赤ちゃんは、ある特定の大人(=親)とのみ人間関係を築けばいいいいのではなく、やっぱり、親以外との人間関係も必要なんだとは思いますが、現代社会では、コミュニティが核家族にまで解体されてしまっているので、親以外の特定の大人と愛着関係を形成するのは難しいです。

そうなると、結局、現代社会を前提にすると、「子どもは親元で育つべき」という価値観が正しいことになるんだと思います。

どうも、実親は実子を「かわいい」と思うようにプログラムされているようですし(もちろん、血の繋がりがなくても本物の愛情が成立するとも思います)、そうすると、実子は、実親を「特定の大人」として、愛着関係を築いたほうがいような気がします。

こう考えると、「子は親元で育つべき」という考えは、現代社会ではベストなんだと思います。

そうすると、児相としては、「子は親元で育つべき」という正義を念頭に置いて、動くことになります。

この正義が、児相の動き方にどう影響するのかは、明日書こうと思います。

それではまた明日!・・・↓

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