#484 借金とブラックリスト:いつまで「ブラックリスト」に掲載され続けるの?
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【 今日のトピック:借金とブラックリスト 】
「ブラックリスト」って,聞いたことある方も多いと思います。
「ブラックリスト」って,いろんな業界でまことしやかに言われていると思います。「ブラックリスト」のWikipediaを引用しておきますので,ご参照ください↓
さて,Wikipediaを読めば,いろんな業界に「ブラックリスト」が存在することがよくわかると思いますが,ブラックリストは,弁護士の業界にも存在します。
「債務整理を弁護士に依頼するとブラックリストに載る」
「破産するとブラックリストに載る」
なんて言われるときの「ブラックリスト」について,今日はお話していきます。
えーっと,そもそも「ブラックリスト」って,かなりアヤシイ響きですよね。
「ブラックリスト」に自分の名前が「載る」と,それだけで,めちゃくちゃ悪いことをしでかしてしまったように感じられます。
サラ金などの金融機関は,本当に,うまくイメージ戦略を行っていると思います(笑)。
「破産したらブラックリストに載ります」
「債務整理を弁護士に依頼したらブラックリストに載ります」
こんな風にお金を貸している相手に言って,破産や弁護士への依頼を断念させるのは,サラ金業者がよくやる手法です。
「ブラックリストに載る」なんて,なんだか怖そうですもんね。
でも,正直に言えば,「ブラックリスト」に載っても,大したことありません。クレジットカードを作ったり,アコムやアイフルなどのサラ金業者から借金できなくなるだけです。
というか,そもそも「ブラックリスト」なんてありません(笑)
借金の分野で,「ブラックリスト」が何を指しているかというと,信用情報機関に登録されている情報です。
日本には,3つほど,「信用情報機関」があるんですが,「信用情報機関」とは,その名の通り,「信用情報」を管理している「機関」です。
主な信用情報機関は,↓の3つです。
「信用情報」とは,借入額や,どの業者のクレジットカードを作っていて,どれくらい利用額があるか,という情報を意味します。
・この人は,どの金融機関からどれくらいの借金をしているのか
・どこの会社のクレジットカードを作っていて,その限度額はどれくらいで,その限度額のうちどれくらい使っているのか
こんなことを管理しているのが,信用情報機関です。
そして,いちばん大切なのが,「毎月きちんと返済しているか」も管理している,ということです。
あの,当たり前ですが,アコムやアイフルなどのサラ金業者,そして,クレジットカードを提供している楽天やオリコなどは,利用者が毎月きちんと返済できているかどうか,データで漏れなく管理しています。
各業者が,貸している相手の返済状況を管理しているのは,当たり前ですし,イメージしやすいと思います。
ただ,アコムやアイフルなどのサラ金業者,そして,楽天やオリコなどのクレジットカード会社は,返済状況を,↑の信用情報機関に逐一報告しています。
その結果,信用情報機関は,サラ金業者やクレジットカード会社から提供された情報をまとめて管理することができるようになっています。
だから,例えば,僕(古田博大)が,アコムから借金しているとしましょう。僕がアコムからの借金の返済を滞納すると,「古田博大がアコムからの借金の返済を滞納した」という情報が,アコムを通じて信用情報機関に登録されます。
その結果,信用情報機関に登録している他のサラ金業者(アイフルなど)やクレジットカード会社(楽天やオリコ)にも,「古田博大がアコムからの借金の返済を滞納した」という情報が筒抜けになってしまうのです。
そうすると,例えば,僕が,お金が足りないので,アコムからの借金に加えて,アイフルからも借金しようとしても,アイフルは,古田博大がアコムへの返済を滞納していることを,信用情報機関に問い合わせれば知ることができるので,その問い合わせ結果を踏まえて,古田博大にはお金を貸さない,と判断するのです。
これが,「信用情報機関」の仕組みです。
借金の返済状況を,各サラ金業者やクレジットカード業者を通じて,まとめて管理しておくことで,各サラ金業者やクレジットカード会社に対し,過去に取引がない相手の返済状況を教えてあげる。
これが,信用情報機関の役割です。
で,サラ金業者から借金したり,クレジットカードを作る場合,事前に「審査」を受けるじゃないですか。
「審査」を通って初めて,借金もできますし,クレジットカードも作らせてくれます。
この「審査」って,何しているかというと,信用情報機関に問い合わせているんです。
・他の業者から借金していないか
・借金している場合は,どれくらいの金額を借りているか
・その返済は順調なのか
こういったことを,信用情報機関に問い合わせて,問題がなければ,「審査」が下りて,借金したり,クレジットカードを作ったりできるようになります。
さて,ここで「ブラックリスト」が登場します。
この「ブラックリスト」とは,ほぼすべてのサラ金業者やクレジットカード会社が,「審査」を通さない信用情報のことです。
例えば,「100万円貸してくれ」とアコムに申込みがあった場合,アコムは,その人に100万円貸していいかどうか,信用情報機関に問い合わせます。
そして,信用情報機関に問い合わせた結果,例えば,その人が,別のサラ金業者であるアイフルから50万円借りていて,かつ,楽天で上限額100万円のクレジットカードを作っていたとしましょう。
↑の調査結果(信用情報)が,信用情報機関から報告された場合,「100万円貸してほしい」という申込みに応えるかどうかは,アコム次第です。
アコムに限らず,あらゆるサラ金業者やクレジットカード会社は,独自の「審査基準」を設定していて,その「審査基準」をクリアした人にしか,お金を貸したり,クレジットカードを作ってあげたりしません。
だから,↑の場合に,アコムがお金を貸してあげるかどうかは,アコムの「審査基準」次第です。
審査基準を満たしていれば,アコムはお金を貸すでしょうし,審査基準を満たしていなければ,お金を貸しません。
(なお,「審査基準」は,信用情報機関に登録されている情報だけでなく,その人の収入や預金額なども考慮されるので,信用情報機関に登録されている情報がすべてではありません)
ただ,「一発アウト」の情報があります。
「この情報が信用情報機関に登録されていたら,一発アウトで,どのサラ金業者もお金貸さないし,クレジットカードも作らせてくれないよね」というやつがあるんです。
それが,「破産」や「弁護士に依頼した債務整理」なのです。
弁護士に依頼して債務整理したり,破産したりすると,その情報も信用情報機関に登録されます。
というのも,弁護士に依頼して債務整理する場合,弁護士から,アコムやアイフルなどのサラ金業者に対し,「受任通知」といって,弁護士から通知を送ります。
そりゃ,弁護士が交渉の窓口になるんですから,「今後借金については弁護士を窓口にしてくださいね」と通知を送らざるを得ないのですが,この「受任通知」が,↑に書いたような「一発アウト」の情報なのです。
借金の返済を滞納した結果,弁護士に依頼してまで債務整理しなければならなくなるというのは,よっぽどのことですよね。
(まあ,僕としては,「よっぽど」だとはいえ,なるべく早く相談してほしいなと思います。弁護士費用すら払えなくなると,弁護士もどうしようもないので)
だから,弁護士から「受任通知」が届いた,ということは,「弁護士に依頼してまで債務整理しなきゃいけないほど,無計画に借りてしまったんだ」ということを表していて,「そんな人にはこれから貸せないよね」と,ほぼすべてのサラ金業者・クレジットカード会社が考えるのです。
だから,弁護士に依頼して債務整理をした後は,サラ金業者から借金できないし,クレジットカードも作れなくなるのです。
ほぼすべてのサラ金業者・クレジットカード会社が,「受任通知=一発アウト」という審査基準を設定しているからです。
破産も同じです。
破産する場合も,破産に先立って,弁護士がサラ金業者・クレジットカード会社に「受任通知」を送るんですが,これで「一発アウト」です。
なおかつ,破産したことは,「官報」という,国が発行する新聞に載って,誰でも見ることができるようになります。
(ただ,銀行やサラ金業者の他に,官報を隅々まで読んでいる人に僕は出会ったことありません。ちなみに,直近1か月分であれば,インターネット上でも見ることができます↓)
(誰でも見ることができますが,破産したことが官報に掲載されるのは1回だけですし(免責も含めたら2回),何月号に載るかも事前にわからないので,ピンポイントで誰かを探し当てるのは至難の業です。最近,「破産者マップ」といって,官報に基づいて,破産した人の名前と住所を地図上に公開し,誰でも無料で見られるようなシステムを構築した人がいたんですが,プライバシー侵害を理由にサイトは閉鎖されました)
破産の話に戻りますが,「官報」に,破産した情報が載るので,それに基づいて,信用情報機関も,誰が破産したのか確認して,データを更新します。
そうすると,信用情報機関に破産したことのデータが載ることになりますが,「破産した」という情報も,各サラ金業者・クレジットカード会社が,「一発アウト」と扱っているので,破産した後は,借金もできないし,クレジットカードも作れなくなってしまうのです。
結局,「ブラックリスト」って,サラ金業者やクレジットカード会社が,信用情報機関に登録されている「破産した」とか「弁護士を使って債務整理した」という情報を「一発アウト」にしているという「現象」のことなんです。
破産した人や,弁護士を通じて債務整理した人のみを抜き出してリスト化した「ブラックリスト」なんてものがあるわけではありません。
信用情報機関には,破産した人・弁護士を通じて債務整理した人を,他の人と特に区別することなくデータ化して管理しています。
破産した人や弁護士に依頼して債務整理した人が「ブラックリストに載る」から,借金したりクレジットカードを作れなくなったりするわけではありません。
破産したり弁護士に依頼して債務整理したりすると,その情報が信用情報機関に登録されるんですが,こういった情報が登録されていると,ほぼすべてのサラ金業者・クレジットカード会社が「一発アウト」にしているから(「一発アウト」にするという審査基準を設定しているから),借金したりクレジットカードを作ったりできなくなるんです。
この現象を,「ブラックリストに載る」と表現したほうが,ニュアンス的に伝わりやすいので,「ブラックリスト」という用語が出来上がったのです。
じゃあ,こういった「ブラックリスト」という「現象」がいつまで続くか,ということですが,これも,サラ金業者やクレジットカードによって違います。
「ブラックリスト」は「リスト」ではなく「現象」だと書きましたが,それは,各サラ金業者・クレジットカード会社が,破産や債務整理を「一発アウト」にしているからでした。
この「一発アウト」の状態を,いつ解除するのかは,各サラ金業者・クレジットカード会社で違います。
例えば,楽天は「破産」を重く捉えて,破産した後はなかなかクレジットカード作らせてくれないけれども,オリコは破産した後でも,しばらく経てばクレジットカードを作らせてくれる,なんてことも十分に考えられます。
ちなみに,一般的には,
・破産の場合:破産から7年
・弁護士を通じた債務整理:完済から5年
と言われています。↑に書いただけの期間,「一発アウト」の状態が続く,ということです。
でも,本当にそうなのか,疑問です。
僕も,つい最近,「個人再生」といって,裁判所が関与する債務整理を行った人が,平成29年に完済した後,それから2年しか経っていない平成31年に,アコムでクレジットカードを作った,という事案に遭遇しました。
「完済から5年はブラックリストに載る」のであれば,アコムはクレジットカード作らせてくれないはずなんですが,クレジットカード作れています。
「ブラックリスト」も,結局,各サラ金業者・クレジットカード会社の「審査基準」次第だ,ということがよく現れていると思います。
だから,「ブラックリスト」って言っても,何か一律の基準があるわけでもなく,その登録情報を,各金融業者が,どれくらい重み付けして考えるか,ということが一番の問題なんです。
「ブラックリストにいつまで載り続けるか」がサラ金業者・クレジットカード会社ごとに違うわけですが,これって,同じ人でも,クレジットカードを作らせてくれる(審査に通る)金融機関と,作らせてくれない(審査に通らない)金融機関があるのと同じです。
審査に通る・通らないが出てくるのは,クレジットカード会社ごとに審査基準が違うからですが,それと全く同じように,過去に弁護士を通じて債務整理したり,破産したりしたという情報を,どれくらい重たく評価するのは,金融機関ごとに違うのです。
先ほどの例だと,個人再生を完済してから2年でクレジットカードが作れていますが,サラ金業者も,経営状態があまり芳しくないので,積極的にクレジットカードを作らせているのかもしれません。
クレジットカードで買い物してくれれば,決済手数料がサラ金業者の収入になるので。
それと,キャッシングとショッピングで審査基準が違うのかもしれません。
だから,キャッシングの審査は通らないけれども,クレジットカードであれば,審査が通るとか,そういった違いもあるかもしれません。(↑のアコムのクレジットカードでも,キャッシングはできなかったようです)
あと,↑の例では,大企業にお勤めの方で,収入が安定していたので,それも考慮されたんだと思います。
【 まとめ 】
破産したり,弁護士に債務整理を依頼した人だけをリスト化した「ブラックリスト」なんてものは存在しません。
存在するのは,信用情報機関に登録されている情報だけです。
登録情報は,データ化されているので,「消える」ことはありません。
ただ,各サラ金業者・クレジットカード会社ごとに,「破産から7年経過したらクレジットカード作らせていい」とか「任意整理から完済して3年経過したらお金を貸していい」など,審査基準を設定していて,破産したり債務整理した後でも,審査基準を満たすサラ金業者やクレジットカード会社に申し込めば,借金したりクレジットカード作ったりできるようになります。
ただ,借金やクレジットカードのリボ払いは,めちゃくちゃに高利なので,借金できるようになったからといって手を出していい,ということにはなりませんよと最後に念押ししておきます。
それではまた明日!・・・↓
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