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#461 経験より勉強が大切:経験は生きてれば積めます

【 自己紹介 】

※いつも読んでくださっている方は【今日のトピック】まで読み飛ばしてください。

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このブログでは,現在弁護士5年目の僕が,弁護士業に必要不可欠な経験と実績を密度高く蓄積するため,日々の業務で積んだ研鑽を毎日文章化して振り返っています。

日々の業務経験がトピックになっているとはいえ,法律のプロではない方々にわかりやすく伝わるよう,心がけています。スラスラと読み進められるよう,わかりやすくシンプルな内容でお届けしております。肩の力を抜いてご覧くださると嬉しいです。

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが,アクセスしてくださり,ありがとうございます。本当に励みになっています。

【 今日のトピック:経験より勉強 】

経験が重視される風潮って,ありますよね。

弁護士の業界もまさにそうです。経験年数を売りにしている弁護士は多いですし,実際に,弁護士の経験を重視して依頼する方も多いです。

でも,例えば,「弁護士経験30年」の弁護士いるとして,その経験年数を重視するのであれば,弁護士というのは,30年の経験を積んでおじいちゃんにならないと,適切な弁護士活動ができない,ということなのでしょうか。

そもそも,経験年数が,弁護士の出来・不出来を左右するものなのでしょうか。

僕もかつては,「経験」を重視していました。司法試験に合格するまで,勉強ばかりしていたので,早く弁護士になって,「経験」を積みたい,と仕事に従事することを切望していました。

でも,僕は,加藤新太郎先生(元裁判官)の本↓を読んで,目を覚ましました。

この本には,僕がどれだけ経験を積んでも出てこない発想が書かれていました。

今でも強く心に残っているのは,「裁判官が尋問で聞きたいのは,ふくらみのある事実全体」という部分です。

例えば,貸したお金が返済してもらえないから,訴訟を提起して返済を求めたという場合,どうしても,今までの僕は,「お金を貸したかどうか」に着目するばかりで,狭い視野しか持てていませんでした。

しかし,裁判所は,「お金を確かに貸しました」という尋問を聞きたいのではなく,その周辺の事情を聞きたいのです。

お金を貸したのであれば,そのお金は,どうやって工面したのか,お金を現金で渡したのであれば,その現金は預金から引き出して用意したのか,金庫に保管してあった現金を持って行ったのか,持っていく交通手段は何を使ったのか,現金を渡す場所はどこだったのか,その場所はどうやって決めたのか。

こういった,周辺事情を,裁判所は重視しているのです。なぜなら,「貸した」のであれば,こういったことも,当然ながら「貸した」という事実に付随して起きているはずで,だから,本当に「貸した」のであれば,このことを,正確には覚えてはいなくても,筋の通ったエピソードとして話すことができるからです。

本当に「貸した」のであれば,筋の通ったエピソードとして話すことができるはずなのに,話の辻褄が合わなかったりすれば,それは「本当は貸していないのでは?」という疑いが出てきます。

逆に,本当に「貸した」のであれば,きちんと,↑に書いたような周辺事情も尋問で表現しないと,裁判所は,供述が不十分で,「貸した」という認定をしてくれないかもしれません。

今の僕は,こういった尋問に対する深い理解を手に入れていますが,この理解は,おそらく,僕がどれだけ経験を積んでも出てこない発想です。

↑の本を読んで勉強しなければ,一生たどり着けませんでした。本を読んだおかげで,尋問の大きな指針を手に入れることができました。

この件ではっきりと自覚したんですが,勉強は,経験をショートカットできて,めちゃくちゃに効率がいいです。

経験だけだと時間がかかることでも,勉強すれば,その時間を大幅にカットできます。

経験しか学べないことなんて,本当に少ないと思います。それよりも,経験に頼るばかりで勉強をおろそかにした結果,少し勉強すれば手に入る知識すらインプットしないまま,ズルズルと経験ばかり蓄積してしまうのが一番怖いです。

経験なんて,生きてりゃ積めます。

日々過ぎさる時間こそ,自分の人生の経験にほかならないからです。

経験は,その定義上,自分の人生の時間以上に積むことはできません。

でも,勉強は違います。

他の人が汗水たらして会得した知見を,読むだけで手に入れることができるんです。

しかも,汗水たらして会得した知見を,文章にしてくれていることもポイントです。

というのも,文章にしている作業そのものが,経験をブラッシュアップしているからです。頭の中の考えを,文章として吐き出す作業こそ,自分の経験をより豊かにしてくれます。

汗水たらして会得した知見を,整理して文章にしてくれて,それを,読者は読むだけで手に入れることができる。こんな効率が良くてありがたいものはありません。

経験なんて,重視しなくていいです。弁護士を30年続けていれば,「弁護士30年」の経験なんて手に入りますし,逆に言えば,弁護士を30年続けなければ,「弁護士30年」という経験は手に入らないのです。

経験なんて,そんなもんです。

毎日少しずつでも勉強して,少しずつでも知識・知見を蓄積していれば,その蓄積が,これから先の経験も豊かにしてくれるのです。

知見・知識を前提に経験するのと,知見・知識も何もなく経験するのとでは,経験値が段違いです。

経験を重視する人は,「知見・知識を前提に積んだ経験」を過小評価する傾向があるような気がします。

本当に経験を重視するのであれば,「経験」の定義上,限られた時間でしか経験は積めないんですから,その経験によって得られる経験値を極限にまで上げなきゃいけないはずです。

そうなると,事前に知識を入れとかなきゃいけません。

「とはいえ,インプットばかりだと,アウトプットする時間がなくなるよー」なんて言われるかもしれませんが,大丈夫です。

普通に生きて仕事していれば,「アウトプット」なんて,いくらでも舞い込んできます。仕事こそ,アウトプットだからです。

何かしらの価値を生み出して,その価値にお客さんがお金を払ってくれるのが「仕事」ですから,仕事していれば,アウトプットなんていくらでもできます。

にもかかわらず,「アウトプットの時間」とか,「経験」を重視して,その時間を確保しようとするのは,何もしなくても海に波は立つのに,さらに海に波を立たせようとしているようなものです。

何もしなくても,海に波は立ちます。だから,更に波を立たせようとしなくていいのです。

確保するべきは,勉強する時間です。仕事していると,本当に勉強する時間がとれません。

仕事がひと段落したときに読む本を決めておくとか,常に本を持ち歩いて,移動時間には,カバンに忍ばせた本を読むとか,そういった感じで,少しずつ勉強することが大切です。

仕事していたら,一気に勉強が進むことはありえません。

仕事をして,日々の生活費を稼がなきゃいけないわけで,そんな中,勉強に割ける時間なんて,本当に少しだけです。

ただ,仕事をしているばかりだと,積み重なるのは,単なる「経験」だけです。

何の知識もないまま,ただ漫然とその場を乗り越えてきただけの,経験値少なめな「経験」が積み重なるだけです。

その「経験」に価値はありません。経験値が少ないからです。

何も行動を起こさず,ただただ知識をインプットしていても,意味がない。僕のような弁護士であれば,ただただ目の前の事件を処理しても,蓄積される経験値は少ないままです。

経験値を引き上げるには,日々,少しずつでもいいから,勉強を進めることが大切です。

もちろん,仕事がら,各案件ごとにいろいろと調査するので,仕事に勉強が含まれてはいるのですが,それだけだと,付け焼き刃ですべてが終わっていきます。

仕事とは関係のない勉強を,少しずつでも続けていれば,いずれ,点と点がつながって,大きな財産を自分にもたらしてくれます。

【 まとめ 】

かくいう僕は,単に,勉強が好きなので,必ず,仕事とは関係ない本をカバンに忍ばせています。

本を読むことは,それ自体が楽しいですし,目から鱗の記載に直面すれば,その喜びは計り知れません。

今忍ばせているのは,↓の本です。

めちゃくちゃ分厚いのですが,とても勉強になっておもしろいです。

これまで知らなかった視点で民法について解説されており,目から鱗がたくさん落ちました。

これからも,少しずつ少しずつ勉強を続けていこうと思います。

いつの日か,大きく花が開くことを期待してはいますが,まあ,勉強自体が楽しいので,そんなに多くは期待しないようにします。

それではまた明日!・・・↓

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