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里親の親権行使

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このブログでは、2019年7月にうつ病を発症し、それをきっかけに同年12月からブログを始めて、それ以降、600日以上毎日ブログ更新してきた、しがないサラリーマン弁護士である僕が、日々考えていることを綴っています。

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法律に関する記事は既にたくさん書いていますので、興味のある方は、こちらにテーマ別で整理していますので、興味のあるテーマを選んでご覧ください。

【 今日のトピック:里親の親権 】


今日、児童福祉法を見ていたら、新しい発見がありましたので、少し自分のためにまとめてみようと思います。

タイトルのとおり、里親の親権についてです。

児童相談所で働き始めて早くも3ヶ月が経過しました。児童相談所という行政機関は、児童福祉法という法律に突き動かされています。

「突き動かされている」というか、児童福祉法の「支配下にある」といってもいいでしょう。

まあ、児童福祉法に限らず、行政機関は、「法律に基づく行政の原理」といって、法律の支配下で動く仕組みになっています。

そもそも行政は、僕らの権利を制限したり、不利益を与えたりします。

例えば、行政は、免許取消処分を下すことで、適法に公道で自動車を運転する法的地位を剥奪することができますが、どうして剥奪できるかというと、剥奪する権限が法律に書かれているからです。

こんな感じで、行政は、あらゆる活動に法律上の根拠があって、その法律は、国民が選挙で選んだ国会議員が賛成多数で可決しています。

だから、行政の権限行使が正当化されます。

・行政の活動はすべて法律に根拠がある
・法律は国会議員が賛成多数で可決している
・国会議員は国民が選挙で選んでいる

これが、行政の活動(行政の処分に国民が従わなきゃいけないこと)を正当化できる理由です。

で、行政機関の1つである児童相談所も、当然ながら法律に従って活動していて、その「法律」のうち、メインで適用されているのが「児童福祉法」です。

児童福祉法には、いろんなことが書かれているのですが、今日見つけたのは、里親の親権について書かれた条文(児童福祉法47条)です。

この条文には、主に、施設入所や里親委託の措置となった子どもの親権についてどうするか、ということが書かれています。

児童相談所は、虐待を受けた子どもを、親から引き離す役割も果たしています。

虐待を受けたら必ず親子を分離するわけではありませんが(親子分離は、子どもにとって非常に大きなダメージを与えますし、そのダメージは、一過性ではなく、将来にわたって大きく根深く、子どもに影響を与え続けます)、必要な場合に躊躇せず親子分離を実現するのも、児童相談所の大切な大切な役割です。

親子分離したら、それで児童相談所の役割が終わるわけではありません。

子どもにとって親の存在が非常に大きいことは、わざわざ僕が言うまでもありませんが、法的にも、とても大きな存在として位置づけられています。

その1つが、親権です。

「親権」について説明を尽くすには、そりゃもう、本が1冊書けるくらいなんですが、今日お話するのは、親権のうち、「財産管理権」です。

「財産管理権」というのは、子どもの財産を管理できるという文字通りの意味だけでなく、子どもの代理人になることも含まれます。

例えば、子どもの預金口座に、祖父から100万円が振込で贈与された場合に、その預金口座から、子どもの代わりに預金を引き出すことができるのは、「子どもの財産管理」という側面と見ることもできますが、それだけでなく、「子どもの代理人として引き出した」という風に見ることもできます。

施設に入所したり、里親に委託した後も、子どもの親権は、実親に残されたままです。

しかし、子どもの身の回りのことは、親権者に逐一させるのは面倒なので(というか、実親に身の回りの世話をさせないほうがベターだと判断したから親子分離を実現しているのですから、親子分離したあとも、実親が身の回りの世話をしなきゃいけないのは、なんか矛盾しています)、身の回りの世話については、実親ではなく、施設長や里親が親権者に代わって行うことができます。

つまり、親権のうち、身の回りの世話(=監護権)の部分については、実親から施設長や里親に移ります。

しかし、財産管理権は、施設長や里親には移りません。実親に残されたままです。

だから、施設長や里親が、子ども本人の預金口座から、子どもの代わりに預金を引き出すことはできません。

ただ、親権者がいない場合(親権者が亡くなってしまっていたり、ほかにも、行方不明だったり、刑務所に収容中だったり)は、財産管理権を実親に残そうにも、そもそも実親がいません。

実親たる親権者がいない場合は、未成年後見人を家庭裁判所に選任してもらいますが、選任にも時間がかかります。

正式に未成年後見人が選任されるまでの間に、子どもの財産を誰も管理できないのもよくないので、未成年後見人が選任されるまでの間、暫定的に財産管理できる人を決めておく必要があって、これも児童福祉法47条に書かれています。

どう書かれているかというと、親権者がいない場合、財産管理権も含めた親権全体が

・施設入所→施設長
・里親委託→児童相談所長

という風に区別されて書かれています。

施設入所している場合は、施設長が親権者になるのですが、里親委託の場合は、里親ではなく、児童相談所長が親権者となるのです。

「へー、そうなんだ」くらいでしょうが、こういった、施設と里親で親権の所在を区別していることで、少し困ったことが起きてしまいます。

ここから先は、また明日書こうと思います。

それではまた明日!・・・↓

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