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#345 慰謝料の基準って難しいよなぁ

どうも,こんにちは。

古田博大(ふるたひろまさ)です。

このブログを初めてご覧になる方は,はじめまして。

いつもご覧くださっている皆様,いつもアクセスありがとうございます。

僕は,1990年生まれで現在30歳。2017年1月から弁護士として働き始め,ちょうど2年半が経過した2019年7月10日にうつ病を発症し,それから今日までずっと休職しています。

うつ病発症からしばらくは,眠ったり食べたりすることもままならず,生きることそのものが苦しい時期が続きましたが,長い時間をかけて少しずつ回復することができました。今は,週2日の休みをはさんで毎日出勤練習(慣らし勤務)を繰り返しながら,復職への準備を進めています。

うつ病をきっかけに「自分も何か行動したい!」と思い,2019年12月から,この毎日ブログを始めました。とはいえ,このブログでは,うつ病に関することだけでなく,日々考えたことを自由気ままに書いています。

書きたいことがたくさんあって,文章が長くなってしまうことも多いですが,ブログの負担が大きくなりすぎてうつ病に悪い影響を与えないよう,書き始めてから1時間程度でアップロードすることにしています(#ほぼ毎日時間オーバーしていることはナイショです

「書きたいがたくさんある」と「1時間でアップする」は両立が難しく,そのため,文章がつながっていなかったり,文章自体がわかりにくかったりと,弊害も多々あるんですが,どうしても「毎日ブログ」を続けたいので,毎日綱渡り状態ですが,アクセスしてくださる皆様のおかげで,今日までなんとか続けることができています(;^_^A

僕のうつ病の経過については↓でまとめています。

それでは,今日も書いてきます!

今日は弁護士らしく,交通事故の慰謝料についてお話したいと思います。

「慰謝料」なんて書くと,とてもおどろおどろしいですが,僕ら弁護士にとっては,正直なところ日常です。

交通事故で被害者がケガを負った場合は,必ず,「慰謝料をいくらにするか」問題が発生します。

でも,「慰謝料をいくらにするか」というのは,「慰謝料」の本質を踏まえると,ものすごい難題です。

「慰謝料」というのは,「精神的苦痛を慰め,いたわるために必要な費用」を意味します。つまり,精神的苦痛をお金に換算したものが「慰謝料」の金額ということになります。

でも,「精神的苦痛」なんて,誰かが測定できるシロモノじゃありません。「精神的苦痛」は,被害者の内面(精神面)に生じた損害ですから,それを被害者以外の誰かが,何かしらの客観的基準に従って測定なんてできません。

なおかつ,人それぞれ感じ方は違います。だから,ある交通事故が起きたとして,その交通事故でケガを負わされた被害者が,どれくらいの精神的苦痛を受けたのかは,厳密に言えば人それぞれ違うわけで,そうなるといよいよ「測定」は不可能になってきます。

ただ,「精神的苦痛をお金に換算して被害者が受け取るべき」,ということにはほとんどの人が同意すると思います。しかし,「精神的苦痛は測定できない!」と厳密さを求めてしまうと,結局,精神的苦痛をお金に換算することができず,「精神的苦痛をお金に換算して受け取るべき」という多くの人が同意する目的を達成できないことになってしまいます。

だから,現実の裁判では,「精神的苦痛をお金に換算する」という目的を達成するため,基準を設けています。その基準に沿って,慰謝料の金額を決めています。そうすると,正直なところ,精神的苦痛をお金に換算するための,厳密な意味での「測定」を諦めてしまっています。

これは仕方ないことだと思います。先ほど説明したとおり,「精神的苦痛」は人間の内面ですから,それを誰か他の人に測定してもらうことを要求するのは現実的じゃないからです。

じゃあ,その「基準」とは何か,という話が次に出てきます。

この「基準」は,たぶん,交通事故に慣れていない方は理解するのが難しいと思います。というか,「交通事故に慣れている人」なんて,弁護士や保険会社にお勤めの方くらいです。普通は,「交通事故」なんて一生に一度遭遇するかどうかです。一度も交通事故に遭遇せず一生を終える人がほとんどです。

※ちなみに,宝くじの1等に当選する確率は交通事故に遭う確率よりも低いです。

この「基準」を理解しにくくしてしまっているのが,「基準」がいくつもあるように「見える」からです。

↑のページを見ると,交通事故の慰謝料について基準が載っていますが,その基準が「3つも」書かれています。

※そもそも,交通事故で請求できるのは,慰謝料のほかに治療費や休業損害,逸失利益などいくつも項目があって,この「項目の多さ」がわかりにくさを助長しているんですが,ここでは「慰謝料の複雑さ」だけを取り上げることにします。

僕も,「交通事故 慰謝料」で検索して初めて知りましたが,交通事故の慰謝料についてググってみると,こんな風にわかりにくく解説されているんですね。これじゃあ,全然内容が頭に入りません。

僕だって,こんな風に解説されていたら,頭に入らなかったでしょう。

そもそも,↑のページを見ると,慰謝料の3つの基準として,「自賠責基準」,「任意保険基準」,「弁護士基準」が書かれています。

「基準」と言っているのに,それが3つもあるんじゃあ,「基準」の意味がありませんよね(笑)。基準が3つもあったら,その3つのうちどれを使うべきかの「基準」がさらに必要になってしまいます(笑)。

僕としては,「基準が3つある」と理解しないほうがいいです。基準は1つだけです。

それは,↑で言えば,「弁護士基準」だけです。この基準だけを考えればいい。

「弁護士基準」は「裁判基準」なんて呼ばれたりもします。要は,裁判を提起した際に,裁判官が見ている基準がこれなので,「裁判基準」とも呼ばわれたりするんです。

この基準は,「赤い本」と俗に呼ばれている本に書いてある基準で,弁護士も裁判官も,この基準しか見ていません。

だから,「慰謝料がいくらになるか?」の基準は,「弁護士基準(裁判基準)」です。ここに書かれている基準に従って,慰謝料の金額が決められることになります。

「弁護士基準(裁判基準)」をざっくり説明すれば,入院と通院日数(=治療期間)によって,慰謝料の金額を算定する方法です。つまり,「精神的苦痛」は治療期間で決定できる,という風に裁判所は考えているわけです。

交通事故の場合の「精神的苦痛」は,第1に,ケガを負った際の痛みです。「痛い!」という感情は,とても苦しくつらいですよね。本来は,その「痛い!」という感情を「測定」しなきゃいけないわけですが,その「測定」は無理なので,「痛いほど治療期間が長くなるはずだ!」という前提にたって,治療期間の多い・少ないによって,精神的苦痛を「疑似的に測定」しています。

それと,交通事故によって治療を余儀なくされると,自由な時間が奪われます。入院となれば,病院に拘束されますし,通院の場合も,通院の手間がかかり,その分,自分で自由に使える時間が減ることになります。

こういった,「時間を奪われる」という損害に対し,直接的に賠償するのは,「休業損害」や「逸失利益」という項目ですが,「慰謝料」としても考慮されます。だからこそ,治療期間が長くなるにつれ,奪われる時間も増えますから,慰謝料の金額も増えていくんです。

「慰謝料」の金額を,治療期間を基準に算定する根拠は,①治療期間が長いほど「痛い!」という感情が大きいはずだ,②治療期間が長いほど奪われる時間が増えて精神的苦痛が大きくなる,という2点にあると僕は考えています。

それじゃあ,実際に【弁護士基準(裁判基準)」】を見ていきましょう。さっきのページのリンクをもう一度貼りますが,

このページの【弁護士基準】を見ると,表のマス目に数字がズラーッと並んでいます。一番上の段が入院日数を表し,いちばん左の列が通院日数を表しています。この表によると,事故のケガが,入院1か月,通院6か月を経て完治した場合,その慰謝料は149万円ということになります。

【弁護士基準】は,「軽傷(上の表)」と「重傷(下の表)」で分かれていますが,この区別も間違っていて,原則として「下の表」が用いられます。医学的な所見が見られないほど軽微なケガ(医学的に原因が発見できないけど首に痛みが残っている=むち打ちなど)の場合に限って,「上の表」が使われます。

だから,↑の「149万円」は,下の表を使って算出しています。

覚えておくのは,この「弁護士基準(裁判基準)」だけでいいです。繰り返しになりますが,弁護士も裁判官も,この基準しか見ていないからです。

ここで話をやめてもいいんですが(#ここから先は興味のある人だけでいいです),「じゃあ,どうして【自賠責基準】や【任意保険基準】なんてものが存在し,↑のホームページでも記載されているのだろう?」という疑問が浮かんできます。

「自賠責」というのは,自動車・バイクの名義人(と使用者)に加入が義務付けられているものです。自賠責に加入していない自動車・バイクを走らせることは禁止されています。

だから,道路を走っている自動車・バイクは,少なくとも自賠責には加入していて,交通事故にあった被害者は,自賠責の保険会社から損害を補てんしてもらうことができます。

ただ,自賠責の保険会社が補てんする金額は,法律で決まっています。この,「法律で決められた,自賠責の保険会社が補てんする金額」こそ,「自賠責基準」です。

「自賠責基準」は,「少なくとも自賠責の保険会社がこの金額までは補てんしてくれるから安心だよね」という基準でしかなく,自賠責基準を超える金額を交通事故の加害者に請求できなくなる,というものではありません。

先ほど書いたように,弁護士と裁判官は「弁護士基準(裁判基準)」しか見ていません。だから,自賠責の基準を超えた部分,つまり,自賠責の保険会社が補てんしてくれなかった分は,堂々と加害者に請求すればいいんです。

だから,「自賠責基準」は覚えておかなくていいんですね。「自賠責基準までは保険会社が補てんしてくれるから安心だよね」という意味でしかないからです。

そして,「任意保険基準」というのは,もっと知らなくていいです(笑)。

そもそも,先ほど書いたように,交通事故の被害者は,自賠責保険で補てんされない分を,加害者に対して請求することができます。そして,「任意保険」とは,この「自賠責保険で補てんされない分」を加害者本人が支払わなくて済むように加入するものなんです。

で,「自賠責保険で補てんされない分」というのは,「弁護士基準(裁判基準)」で算出された金額から,「自賠責基準」の金額を差し引いたものです。

この,「弁護士基準(裁判基準)」と「自賠責基準」の差引額を保険会社に支払ってもらうのが「任意保険」の役割で,その役割を果たしてもらうために,自賠責の保険料とは別に,毎月任意保険会社にも保険料を支払っているわけです。

だから,被害者の側から見ると,加害者が「任意保険」に加入していれば,「弁護士基準(裁判基準)」の金額を保険会社が加害者に代わって支払ってくれるので安心だな,ということです。

ただ,「任意保険」の保険会社が,「任意保険基準」なんてものを持ち出してくることがあるんです。言ってしまえば,「任意保険基準」は,保険会社のイジワルです。

仮に裁判となれば,任意保険の保険会社は,「弁護士基準(裁判基準)」の金額を払います。でも,被害者が裁判を提起することには時間も費用もかかることを悪用して,「早いうちに示談してくれたら,これだけの金額は払ってあげますよ。でも,もっとたくさん欲しいなら時間とお金をかけて裁判してくださいね」と被害者に言いつけてくるんです。

こう言われた被害者は,本来はもっとたくさん請求できるのに,渋々「任意保険基準」の金額を受け入れてしまうわけです(あるいは,「本来はもっとたくさん請求できること」も知らされないまま,「任意保険基準」の金額しか請求できないと勘違いして,その「任意保険基準」の金額に納得してしまうケースもあります)

だから,「任意保険基準」なんて覚えなくていいんです。これは,保険会社が勝手に打ち出している基準で,「本来請求できる金額」=「弁護士基準(裁判基準)」を大幅に下回っています。

しかも,今は「弁護士費用特約」といって,被害者が弁護士に依頼して訴訟を提起する場合の弁護士費用を,被害者本人が加入している保険会社が代わりに支払ってくれる特約がずいぶん普及しています。

この弁護士費用特約を使い,「無料で」弁護士に依頼すれば,ほぼ100%,加害者側の任意保険会社は,「弁護士基準(裁判基準)」に応じてきます。

仮に応じてこないとしても,裁判を提起すれば,裁判官は「弁護士基準(裁判基準)」以外知らないので(笑),間違いなく,「弁護士基準(裁判基準)」に沿った判断が下り,その判断に沿って,任意保険会社が支払ってきます。

こう考えると,「任意保険基準」なんてのは,保険会社が,被害者の無知を悪用し,なるべく支払いを減らそうとしているようにも受け取れてしまいます。

確かに,「迅速な支払い」は大事でしょうが,だからといって,本来受けとれるべき金額を減らすべきではないと思います。

最初から,「弁護士基準(裁判基準)」に沿って,金額を決めたうえで,迅速に支払うことが,今の時代には求められています。

ケチな保険会社は信用を失い結果的に淘汰されてしまいます。信用がインターネットとスマートフォンで瞬時に可視化される時代です。ケチケチするよりもむしろ,気前が良いほうが生き残れる時代ですから,保険会社が「任意保険基準」をバカ正直に主張するべきではないと思います。

【今日のうつ病】(うつ病経過まとめ:こちら

まだまだ僕のうつ病は治っていないので,毎日うつ病の経過を記録しています。

今日までに経過した期間↓

・うつ病発症(2019年7月10日~):490日(1年4か月と1日)

・実家療養後の1人暮らし(2019年9月27日~):411日(1年1か月と14日)

・午前中の散歩(2019年11月7日~):370日(1年と4日)

・毎日ブログ(2019年12月3日~):344日(11か月と8日)

・出勤練習(2020年3月30日~):226日(7か月と12日)

今日で,出勤練習を始めて7か月と12日です。新型コロナウイルスの影響で,4月13日~5月11日までの約1か月間,一時中断されていましたが,それを差し引いても,約6か月間勤練習を積み重ねてきました。

今日は出勤しました。午前9時~午後6時まで滞在しました。

今日の「SleepCycle」を見ると(睡眠記録アプリ「SleepCycle」についてはこちら),昨晩は午後10時53分~朝7時30分までの睡眠が記録されています。少し寝つきが悪かったですが,ほどなくして寝つきました。また,夜中に電車の音で目が覚めましたが,耳栓を装着したらすぐに寝つけました。SleepCycle独自の睡眠品質も88%/100%と良好ですが,寝つきの悪さと中途覚醒が少し気になります。

(なお,僕のうつ病は,主な症状が不眠(①寝つきが悪い②中途覚醒③朝早く目が覚めてしまい二度寝もできない)で,この不眠症状の有無が,その日の調子の良し悪しや,回復の進み具合を左右します。そのため,毎日の睡眠時間や睡眠の質について,睡眠記録アプリ「SleepCycle」に記録されているデータをもとに逐一書き出すことにしています。)

寝つきの悪さと中途覚醒があるので,疲労が少しあるようです。今日もゆっくり休養をとりたいと思います。明日は復職に向けてボスとの話し合いが予定されているので,安眠は期待できませんが,あまり気にしないようにします。

今日もブログ書けてよかった!

それではまた明日!・・・↓

昨日のブログ↓

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※うつ病への負担を考慮し、「書き始めてから1時間くらいでアップする」という制限時間を設けています。


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