#333 NHKの受信料

どうも,こんにちは。

古田博大(ふるたひろまさ)です。

このブログを初めてご覧になる方は,はじめまして。

いつもご覧くださっている皆様,いつもアクセスありがとうございます。

僕は,1990年生まれで現在30歳。2017年1月から弁護士として働き始め,ちょうど2年半が経過した2019年7月10日にうつ病を発症し,それから今日までずっと休職しています。

うつ病発症からしばらくは,眠ったり食べたりすることもままならず,生きることそのものが苦しい時期が続きましたが,長い時間をかけて少しずつ回復することができました。今は,週2日の休みをはさんで毎日出勤練習(慣らし勤務)を繰り返しながら,復職への準備を進めています。

うつ病をきっかけに「自分も何か行動したい!」と思い,2019年12月から,この毎日ブログを始めました。とはいえ,このブログでは,うつ病に関することだけでなく,日々考えたことを自由気ままに書いています。

書きたいことがたくさんあって,文章が長くなってしまうことも多いですが,ブログの負担が大きくなりすぎてうつ病に悪い影響を与えないよう,書き始めてから1時間程度でアップロードすることにしています(#ほぼ毎日時間オーバーしていることはナイショです)

「書きたいがたくさんある」と「1時間でアップする」は両立が難しく,そのため,文章がつながっていなかったり,文章自体がわかりにくかったりと,弊害も多々あるんですが,どうしても「毎日ブログ」を続けたいので,毎日綱渡り状態ですが,アクセスしてくださる皆様のおかげで,今日までなんとか続けることができています(;^_^A

僕のうつ病の経過については↓でまとめています。

それでは,今日も書いてきます!

今日はNHKの受信料の話です。

昨今,某政党がNHKをぶっ壊そうとしていますが,「受信料は払わなきゃいけないのか」という疑問について,裁判例をもとに解説したいと思います。

まず,NHKの受信料支払義務の法的根拠についてお話ししましょう。

「NHKの受信料を支払う法的根拠は何ですか?」とNHKの職員に聞くと,おそらく「放送法の64条1項」という条文が出てきます↓

ただ,↑にも書かれていますが,放送法64条1項には,「受信料を支払わなければならない」とは書いてありません。そうではなくって,「受信についての契約をしなければならない」と書いてあります。

だから,法律上の義務となっているのは,受信料の支払いではなく,「契約を結ぶこと」です。

ただ,契約を結んでしまえば,当然ながら,その契約によって受信料の支払義務が発生するわけですから,「契約を結ぶ義務」があるということは,結局,受信料支払義務が発生してしまうことになります。

でも,よくよく考えれば,受信料支払義務が発生する直接の根拠は,「契約を結ぶこと」なんです。だから,「契約を結ぶ」までは,受信料支払義務は発生しません。厳密に言えば。

この理屈は最高裁でも採用されていて,最高裁のお墨付きをもらった「理論」としてまかり通っています。

つまり,最高裁でも「契約を結ぶまでは受信料の支払義務は発生しない」と明確に述べられているので,「僕はNHKと契約を結んでいないから受信料を支払わなくていい!」という主張は,全くもって正しいです。

ただ,「契約を結ぶまでは受信料を支払わなくていいなら,契約結ぶのをずっと拒否すればいいじゃん!」という理屈は通りません。

「契約」というのは,当たり前ですが,契約当事者両方が納得しないと結べません。契約当事者両方が契約内容を納得し,その納得の証しとして署名押印すると,その契約内容で「契約を結んだ」ことになります。

だから,契約を結ぶのも拒否するのも,本来は契約当事者それぞれの自由です。契約を結んでもいいし,契約を拒否してもいい。このことは,「契約自由の原則」や「私的自治の原則」とも呼ばれ,法学部生が民法の授業で最初に習う,大大大原則です。

しかし,↑に書いた通り,放送法には「契約を結ばなければならない」と書いてあります。つまり,本来であれば自由に決められるはずの「契約するかどうか」という決断が,NHKとの受信契約の場合は,「契約しない」という選択肢が法律上禁止され,「契約する」のが法律上強制されているのです。

だから,↑の放送法64条1項は,「契約するかどうかを自由に決められる」という大原則(=契約自由の原則,私的自治の原則)を真っ向から否定しています。これが憲法違反だと最高裁でも争われましたが,否定されました。その結果,NHKとの契約を結ぶ義務があることを最高裁も認めることになりました。

「契約を結ぶこと」が「法律上強制されている」なんて,感覚的に少し変な感じもしますが,ただ,法律上契約することが強制されているのであれば,契約を拒否し続ける相手に対し,強制的に契約を結ばせる手段が必要になります。

契約を強制的に結ばせる手段なんてあるのか?という疑問が浮かんできますが,実はあります。「意思表示を命じる判決」なんてものがあるんですね。

そもそも,「契約」というのは,「申込みの意思表示」に対して「承諾の意思表示」を示すことで「契約を結んだ」ことになります。普段聞きなれない「申込みの意思表示」とか「承諾の意思表示」なんてワードが出てきましたが,ちょっと説明します。

例えば,NHKが視聴者と契約を結ぼうとする場合,「この契約書にサインと印鑑をお願いします」といった感じで,NHKが用意した提携のフォーマット書式に署名を印鑑を求めてきます。これが「申込みの意思表示」です。「申込み」というのは,「契約の申込み」のことです。「この契約書のフォーマットに書いてある通りに契約を結びませんか?結ぶ場合は最後の欄に署名と印鑑をお願いします。」というのが,「申込みの意思表示」です。

「意思表示」という概念は,これまた難しいんですが,その言葉通り,「契約しましょう」という「意思」を契約をしようと思う相手に「表示」すること,くらいに思っておてください。

で,その「申込みの意思表示」に対して,「そのフォーマットの通り契約するので,署名押印します。」というのが「承諾の意思表示」です。「申込みの意思表示」で示された契約内容を,そのままマルッと受け入れると相手に伝えることが「承諾の意思表示」です。

通常は,「申込みの意思表示」で示された契約書フォーマットに署名押印することが,そのまま「承諾の意思表示」になります。

先ほど書いたように,普通であれば,「承諾の意思表示」をするかどうか(=契約書のフォーマットに署名押印するかどうか)は,自由に決めることができます。署名押印しなくてもいいし,してもいい。それが,「契約自由の原則」「私的自治の原則」という,民法の大大大原則でした。

ただ,NHKの契約の場合,「承諾の意思表示」をしないという選択肢は法律上禁止されているのでした。「承諾の意思表示」が法律上強制されているんです。

とはいえ,「承諾の意思表示しなきゃいけないんだぞぉ!」と,NHKの職員が無理矢理契約書のフォーマットに署名押印させたら,それは犯罪です。あくまで,署名押印するには,本人の納得が必要で,いくら法律上「承諾の意思表示」が強制されているとはいえ,嫌がる相手の腕をつかんで署名押印させることはできません。嫌がる相手の腕をつかむことは「暴行罪」に該当するでしょうし,無理矢理署名させたら「強要罪」も成立するでしょう。署名押印した結果,相手はNHK受診料の支払義務を負うことになりますから,恐喝罪や強盗罪が成立する可能性もあります。

だから,無理やり署名押印させることはできないわけです。

じゃあ,どうやって,法律上強制されている「承諾の意思表示」を実現すればいいのでしょうか。署名押印は拒否され続けてしまい,署名押印によって「承諾の意思表示」をしてもらうことが不可能な場合に,それでも「承諾の意思表示」をしてもらう方法があるのでしょうか。

それが,先ほど書いた,「意思表示を命じる判決」というやつです。

「意思表示を命じる判決」というのも聞きなれませんが,よくあるのは,土地や建物の名義変更を求めたい場合(例えば,代金を払ったのに名義を変えてくれないなど)です。

土地や建物の名義を変更する場合,「共同申請」といって,現在の名義人と,新しい名義人の2人で法務局に対して名義変更を申請します(実際は,1人の司法書士が両方から申請書類を預かって申請しますが)。ただ,これだと,現在の名義人が名義変更を申請してくれないと,いつまでも名義が変更できないことになってしまいます。

現在の名義人が名義変更を申請してくれない場合に,その申請の代わりに「名義変更を申請せよ」という判決を得ることがあって,この「名義変更を申請せよ」という判決も,「意思表示を命じる判決」の一例です。

この「名義変更を申請せよ」という判決があれば,現在の名義人が名義変更を法務局に申請してくれなくても,法務局に判決書を持っていけば名義変更が完了します。「名義変更を申請せよ」という「意思表示を命じる判決」が,現在の名義人が本来やってくれる「名義変更の申請」の代わりになるんですね。

こんな感じで,「意思表示を命じる判決」というのは土地や建物の事件でたびたび出てくるんですが,これと同じように,「承諾の意思表示」を命じる判決を出してもらうことで,NHKとの契約を強制的に結ぶことができるんです。

「承諾の意思表示」を命じる判決があれば,契約書に署名押印がなくても,その判決自体によって「契約を結んだ」ことになります。

そうすると,結んだことになった「契約」によって,受信料の支払義務が発生し,受信料をNHKに対して支払わなければならなくなります。

そして,その「契約」には,「テレビを設置した月から受信料を払ってください」と書いてあるので,契約した月から受信料を支払えばいいんじゃなくって,テレビを設置した月に遡って受信料を支払わなきゃいけなくなります。

今日のところはここまでにします。ポイントとしては,

①放送法には受信料の支払義務は書かれていない

②放送法にはNHKと契約しなければならないと書かれている

③受信料の支払義務は契約するまで発生しない

④「意思表示を命じる判決」によって無理やり契約を結んだことにできる

⑤契約を結んだ月からではなくテレビを設置した月から受信料を支払う必要がある

もう少し書きたいことがあるので,また明日続きを書きます。

【今日のうつ病】(うつ病経過まとめ:こちら

まだまだ僕のうつ病は治っていないので,毎日うつ病の経過を記録しています。

今日までに経過した期間↓

・うつ病発症(2019年7月10日~):478日(1年3か月と20日)

・実家療養後の1人暮らし(2019年9月27日~):399日(1年1か月と3日)

・午前中の散歩(2019年11月7日~):358日(11か月と23日)

・毎日ブログ(2019年12月3日~):332日(10か月と27日)

・出勤練習(2020年3月30日~):214日(ちょうど7か月)

今日で,出勤練習を始めてちょうど7か月になります。新型コロナウイルスの影響で,4月13日~5月11日までの約1か月間,一時中断されていましたが,それを差し引いても,約6か月間勤練習を積み重ねてきました。

今日は出勤しました。午前9時~午後6時(定時)まで滞在する予定です。

今日の「SleepCycle」を見ると(睡眠記録アプリ「SleepCycle」についてはこちら),昨晩は午後11時21分に布団に入りました。一昨日の晩に引き続き,昨晩の寝つきはよかったです。SleepCycle独自の睡眠品質も,90%/100%と久しぶりの90点台です。

(なお,僕のうつ病は,主な症状が不眠(①寝つきが悪い②中途覚醒③朝早く目が覚めてしまい二度寝もできない)で,この不眠症状の有無が,その日の調子の良し悪しや,回復の進み具合を左右します。そのため,毎日の睡眠時間や睡眠の質について,睡眠記録アプリ「SleepCycle」に記録されているデータをもとに逐一書き出すことにしています。)

↓でも書きましたが,僕のうつ病は,疲労の蓄積が直接の原因なので,とにかく,疲労の蓄積量を減らし,回復量を増やすことが大事です。

うつ病の状態が悪いと,疲労を自分で回復する能力が欠落してしまうので,本当に迷惑この上ないんですが,最近やっと,自分で自分の疲労を回復する能力が持ち直してきました。

そのおかげで,一昨日に引き続き昨日も,自分のちからで疲労を回復することができたようです。

今日もブログ書けてよかった!

それではまた明日!・・・↓

昨日のブログ↓

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※うつ病への負担を考慮し、「書き始めてから1時間くらいでアップする」という制限時間を設けています。


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