見出し画像

小麦アレルギーの子が入園する幼稚園を探したときの話---そこに素敵な先生がいました

こんにちは、lucky megu です

小麦アレルギーの娘がいます
今日は13年前、彼女が3才のころのお話です

娘が通う幼稚園を探していた時の忘れられない出来事を綴ります 

誤食事故

娘が2才の夏、スパゲティによる誤食事故を起しました
私のミスで、小麦のスパゲティを 娘の皿にのせてしまったのです
結果、彼女は 生死の境をさまよいました
とても怖かった この事件については また改めて お話ししたいと思います

このエピソードにより、以降エピペンを持つことになりました
「命を守るためのエピペン」ですが「注射薬を持っている」というパンチの効いた個性は、これから始まる集団生活の中で大きな壁となりました


集団生活への準備

誤食事故 以来、ごくわずかな小麦であっても 近づけないよう気を付けて生活していました
当然、家庭にも小麦を持ち込まないことにして、絶対に間違いが起こらないよう 細心の注意を払って暮らしていました

お友達のお宅へ遊びに行ったり、また自宅へお呼びすることも ほぼ無くなりました

そんな状況でも3年後には「小学校入学」が決まっています

小学生になると まず心配なのが 給食の時間
食べられないだけではなく、周囲の小麦が自分の食事に
混入しないよう 自分で注意しながら 行動することが必要になります
それから 特別授業 で食べ物を扱う場合にどう注意すればいいか
さらに 文化祭 や お楽しみ会 でふるまわれる 小麦系の模擬店もあるし
遠足 や 修学旅行 でも 小麦を含んだ食事が提供されます

集団生活を送るうえで 注意しなければならないこと、
人とは違った動きをしなくてはいけないこと、
それらを覚えるためには、繰り返しの経験と訓練が必要だと考え、

来年4才になったら まずは幼稚園へ入れよう、そこで人との関わりを学ばせてもらおう と決めました

入園可能な幼稚園を探す

---1件目の幼稚園---
タイミング良く、近所の幼稚園の先生2人が訪ねて来ました
「是非うちの幼稚園へ来てください」と

突然の訪問に 多少驚きましたが 
来年からお世話になる 幼稚園を探していることを お話ししました
さらに、重度の食物アレルギーであること、エピペンを持っていることを話すと 先生お2人の答えは驚くことに
「全然大丈夫ですよ!うちの幼稚園へ是非いらしてください!」でした

「いえ、一度持ち帰っていただいて、そちらの園長先生のお考えを伺ったうえで話を進めたいのですが」と私

それに対して
笑顔いっぱいに「全然大丈夫ですよ」を繰り返す2人
「そうそう」「うんうん」とうなずくばかりの先生方を見ているうちに
なんだか不安になってしまい、結局その幼稚園の見学はやめました
---2件目の幼稚園---
その数日後、近所にある もう一つの幼稚園に電話連絡をして相談に伺いました
門が閉まっていたので 外から眺めていると、園庭に停めてある 可愛らしい送迎バスの運転席で、運転手のおじさんが たばこを吸っているのが見えました
休憩時間に喫煙するのは普通のことかもしれませんが、喘息持ちのアレルギーっ子にとって、たばこの煙は心配の種でしたから 一瞬にして不安な気持ちになりました
私たちに気付いたおじさんは門を開けてくれて、教頭先生を呼んできてくださいましたが、その間もずっとたばこから煙が出ていました

教頭先生は丁寧に私の話を聞いてくださりましたが
「エピペンを持っている子は預かった事がない」と驚いていました
「園にも食物アレルギーのお子さんはいるけど、そこまでひどいと預かれません」と
それから 園の決まりとして、保育中に保護者が園舎に入ることはできないとのことでした
私の希望は、娘が「できること」「できないこと」を1日を通して、先生と一緒に確認させて欲しかったのです
私も園舎に入って、娘と私と先生の3者で「慣らし」の期間が欲しかったのです

自分でも臆病すぎると思いました

それでも 万が一の事故が起こらないよう、園に迷惑をかけるようなことがないよう、十分に情報を伝えたかった
新しい環境に飛び込むのなら、周りのみんなに知ってもらうことが 絶対に必要だと考えていましたから
たばこの煙に注意しなければならないことも
---3件目の幼稚園---
数日後 今度は自宅から車で30分ほどの場所にある 幼稚園へ見学に行きました
なかなかのマンモス幼稚園で、保育園も併設しているとのことでした
主任の先生が相談に乗ってくださいましたが、園児の数が多く
「ハンデ(エピペン持ち)のある子に 手をかける余裕がない」とのことでした

この流れから、4才での幼稚園入園をあきらめました
1年かけて ゆっくり探そうと決めました

---4件目の幼稚園---
1年後、知り合いの幼稚園教諭から教えてもらった ある幼稚園の入園説明会へ参加しました
その説明会の終了後、職員室に戻ろうとしていた若い先生に声を掛けました
「入園希望なのですが、娘は重度の食物アレルギーを持っています。
今日でなくて構いませんので、お時間をいただきたいのですが」
すると
「わかりました、詳しいお話を聞かせてください」とその足で職員室へ通してくださいました
周りの先生方が 説明会の片づけでバタバタする中、その先生は 私の話を最優先に 長い時間 向き合ってくれました
きっと忙しいはずなのに・・・
丁寧にメモをとる姿に、もしかしたら受け入れできない理由を探しているのかもしれない、と思ったり

今回は娘の病歴をまとめた文書を持参していたので、その説明をしてから
・娘の体質について職員全員に周知をお願いしたいこと
・一定期間、母親が保育室で見守る「慣らし」を希望すること
・食べ物の絡む 園の行事については事前に打ち合わせしたいこと など

ひと通り 伝えたいことを話しました
断られるのが怖くて 間髪を容れず 一気にしゃべりました
心の中で「どう?嫌でしょ?面倒でしょ?無理でしょ?」と入園拒否を切り出されるのを想定しながら

先生は質問してくることもなく「はい、そうですか」と 私の話を聞きながら メモをとることだけをしていました

話し始めて30分くらい経ったころ「言いたいことは全部言った」という顔の私を見て、やっと口をひらいた 先生から出た言葉




「お母さん、今までおひとりで大変でしたね。これからは私たちにお手伝いさせてください」





戦闘モードで張り詰めていた気持ちが ふわっと軽くなって、その次に 胸に こみ上げてくる 熱いものが 声を震わせ、涙をこらえながら「よろしくお願いします」と言って 職員室を見渡すと、ほかの先生方が みんな笑顔でこちらを見ていました
 

たとえば 先生のこの言葉が マニュアル通りの偽善だったとしてもいい
どんな子が来ても そう答えなさい と指導されているとしてもいい


私たち親子が救われた言葉です

thumbnail_無題49 (1)

これが、娘がお世話になった幼稚園の 素敵な先生方に救っていただいた 忘れられない出来事です
13年経った今も あの日の先生方の笑顔に感謝しています


この記事が参加している募集

忘れられない先生

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?