半自動筆記に依る夜想曲(14)-1『痴愚』-1
私は、私のしている竜騎兵の扮装が馬鹿げている事この上無い事に気付いた。
其れは、凡そ如の様な理由があったにせよ、慙愧に耐えられず、暫し其の場に立ち尽くすには十全たるものだった。
出来る事ならば、此の世に産まれた其の日から、全てをやり直したかった。少なくとも、此の三年間と云うものは、然うした気概に基づいて何事にも取り組んでいた心算だった。
しかし乍ら、目に見える様な成果を上げて居ない事が、次の言葉と共に私を追い立てる。
『結果の出ない努力に意味は無い』
失意に膝を折って居る私の瞼の底に、己の心の果ての映像が浮かび上がって来る。闇の澱の様な地平の向こうから、酷いにやけ笑いをした絶望がにじり寄って来るのが解る。奴等を打ち払う為の弾薬などとうに尽きた。
『私は如何すれば良い?』
<続>
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