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②−2【対談企画】見えない価値を証明するために

 こんばんは。『クローズアップNPO法人 〜現場の声から〜』の時間です。

初めてコモンビートを知る人が団体に対して持つイメージで最も多いのは、「なんか楽しそう」という言葉。
でも、ただ楽しいだけじゃないんです。
企画の現場にいつだってある“楽しんで学んでもらうための仕掛け“は、NPO法人として「社会貢献活動」を実現させる一つの手段でもあります。
では一体、その仕掛けは誰がどう作っているのか、企画がどう社会貢献に繋がっていくのか。
コモンビートを運営するメンバーの皆さんに伺います。

今回のシリーズからは、理事長である安達亮(以下、りょうさん)さんと現在国際交流チームの短期インターンメンバーである髙橋真二郎さん(以下、しんじろー)の対談が始まります。

取材担当:広報インターン ジュン


⒈証明することの重要性

1−1 可視化をする

【しんじろー】見えない価値をどうやって証明していくかというのはNPOとしても永遠のテーマかなと思うんですけど、そこについてどう考えてるのかを改めて伺いたいです。

【りょう】見えない価値を可視化するのはすごく難しいことだと思っていて。価値創造をする団体の人たちの性質として、可視化すると、その価値がちょっと陳腐になるというか、人間の可能性みたいなものを数字にしちゃったらまずいなって世界観を持っていたりする。それはそれで良いと思う反面、組織の経営とか、この組織をより社会に対して役立たせていきたい自分としては、数字で表したくない言葉を表さない限り伝わらないと思っているから(可視化するのは)必要だっていうふうに思っています。

なので、コモンビートも自分たちなりにどこの数字が上がっていくと社会へのインパクトが高まっていくのかとか、どこが目に見えない価値なのかを捉えたときに、それが数字的に可視化できるのはすごく大事だなと思っています。
なので、うちの研究室がやってくれてるような数字を取るっていうことをこれからやってデータを溜めていって、そこから自分たちなりに分析して、その結果「やっぱそうだよね」っていう自覚と、それを認識したことによって自信が持てるようになったら、「やっぱ(社会や人を)変えられてるじゃん」っていうふうに伝えていけるようになる。だから、そういう方向に行っていければいいなと思ってます。
どのように証明していくかといったら、数字を取って研究するデータにする、みたいなことですね。

1−2 支援の説得力になる

【りょう】例えば、コモンビートを支援したいと思っている企業の社長さんがいたとしても、基本的にその人はミュージカルへ参加しない。参加したいわけじゃなくて、支援したいからね。
「コモンビートさんはなんか社会に良いことやってそうだけど、どういうインパクトを起こしてるの」と質問されたときに「やってみればわかるんbです」とは言えないよね。それじゃさすがに向こうも納得しない。

活動に参加してない人もコモンビートの価値を感じられるようになることがすごく大事だと思う。そのためには、あえて見えないものをちょっと可視化させるのもすごく必要だなと思っているかな。
コモンビートだけではやれないことを大きな社会で起こしていくためには、周りの支援者の存在は必要で、そこを巻き込むためには可視化することも必要になるよね。

⒉関わり方も多様

1−2 研究として関わる

【しんじろー】ありがとうございます。(話を聞いていて)二つの異なる存在がいて、まずはやってみる人と、やらないけど関心がある人という二ついると。その後者に向けて、納得は100%ないかもしれないけど、説明する言葉だったりデータを取っていく姿勢があるんだなっていう発見とともに、ある意味研究者としての役割がそこにあるかなとか。
僕みたいな外部の研究者がそういうアプローチの仕方でNPOを盛り上げていくっていうのもあるし、そういう観点からしてまた多様な関わり方ができて面白い組織だなっていうのは思いました。

【りょう】価値創造型NPOは「証明できないなら自分たちで証明するしかない」っていうことで研究部門を持っていたりする。うちのアドバイザーになっていただいている日本の幸福学の第一人者である慶應義塾大学の前野先生は、幸福について研究されています。
それこそ幸せは無形財産(形のないもの)だと思うから、それを先生の研究によるロジックで可視化してるわけです。

だから、コモンビートが生み出しているものをコモンビートのロジックでも可視化することができるかもしれないから、研究室が解き明かしてくれるといいなって思う。うちは幸福度と多様性適応力と社会参画、という3つの視点で数字を取ろうとしてるんだけど、それが高まると社会に対してどういう影響があるのかというところを実証していければ、「コモンビートってミュージカルの団体だよね」から「コモンビートってめちゃくちゃインパクトを出してるね」という言葉に変わってくる。

2−2 人生単位で関わる

【りょう】もうひとつのパターンとして、
10代から20代で参加した人が、結婚や子育てなどによってライフスタイル、ライフステージが変わるとミュージカルに参加できなくなり、支援者にまわるということがあるよね。年齢が上がれば上がるほど社会的なこととか、世の中の仕組みを理解していったりするから、関わり方として参加ではなく、支援するとか協賛するとかに選択肢が変わっていくんだよね。

そうするとコモンビートが約20年やっている中でそういう世代が膨らみ始めているから、その世代がやりたいことを実現すれば効果的だなと。
団体が長く続けば行くほど、自分のライフステージとともにコモンビートとの付き合い方が徐々に変化していくので、そうやって生まれてきたものをしっかり設計していくと、さらなる関係を生み出せそうだなって話を聞いて思いました。

【しんじろー】一生続くのはすごいなあと思って。どんどん年代が重ねていくほど幅広くなってくっていう未来が見えてきたので。

【りょう】例えば、25歳ぐらいでコモンビートへ参加してめちゃくちゃ価値を感じてくれた学校の先生とかも、20年以上経つと校長先生とかになっていたりする。その校長先生の一声でコモンビートの活動を学校現場に取り入れてもらうことも可能だったりするよね(今はハードルが高くてできていないけど)

【しんじろー】そういう循環がますます面白くなってきそうっていう感想です。ありがとうございます。

ーー私から補足として。コモンビート内の年齢層が上がっていくことでポジティブな効果もこれから生まれるという一方で、一般的なNPO法人では内部の人間の高齢化による後継者不足が現在問題視されているという情報もあります。


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