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「貸して、いいよ」と自分と相手の境界線なく言葉にしてしまうお子さんの理解と、その教材研究の話

ツイッターで「「こういう教材があったらいいな」っていうのがあれば教えてほしい」という呟きをしたところ、このような悩みをもつ親御さんがいました

お子さんが言葉のやり取りの中で、「貸して、いいよ」までセットにして使ってしまうという光景は、発達支援の世界で働いていた私もよく目にしていました

今回はそのお子さんのことをどのように分析し、どのように関わっていたか、どのような教材があると良いのかなぁというのも含めて、記述していきたいと思います

「貸して、いいよ」となる原理

なぜお子さんが「貸して、いいよ」と合わせて使ってしまうのか

私の経験上、

お子さんの特性の中でも、ASDのお子さんに多く見られる

・自他の境界の曖昧さ

・言葉を文字通りに理解する

といった特性が大きく関係していると考えています

上記の特性のもと「本人の経験がそのまま言葉として学習されてしまう」という行動様式は

しっかり丁寧に大人が対応をしないと、こちらの「してほしい学習」とかけ離れるものになります

大人一人でお子さんに「かして」と「いいよ」を伝えると、どうしてもその言葉はつながっているように誤認してしまいがちです。それはしょうがないのです。

ただ、大切なのは、この間違った言葉、やり取りの方法を覚えたお子さんの思いとして

「こうすれば上手くいく」という気持ちをしっかり持って行動していること

を大人は念頭に置く必要があります。学びに必要な「熱意」や「意欲」を彼らは持っているのです

どのような関わり、方法で適切な言葉の学習につなげていたか

私が児童発達支援センターで行っていた関わりを記述していきたいと思います。まずは大人と子どもとの関わりで経験を積むことが大切でした

基本的大人2人 お子さん1人の体制です

①お子さんの好きな玩具で遊ぶ大人

②お子さんの後ろについて言葉を伝える、適した行動を伝える大人

③お子さん

①の人がお子さんの好きな玩具で遊び、お子さんの「貸して」という気持ちに繋げます

②の人はお子さんの行動に付き添いながら、本人が貸してほしい行動を起こした際に、適切な言葉(ここでいう「かして」)という言葉を乗せてあげます

お子さんが「かして」という行動につながったら、①の人は「いいよ」「まだよ」「まってて」という言葉を③に伝えます。まずは「いいよ」と本人が成功体験を積めた以降に、他の言葉で応用を入れていくのが良いと思います

応用の「まだよ」「まってて」に対して、③のお子さんがどのような行動をとるかを②の人が導く役割をします。他の遊びに促したり、一緒に遊ぶことで、本人の「借りられなかった」際の行動を伝えます。それが、本人の負の感情を昇華するプロセスにもつながります。①の人はタイミングをみて「いいよ」と玩具を渡すことで、「待つと玩具を貸してくれる」という学習につなげます

というのが、基本の流れです


大切にしていたこと・意識して気を付けなければならないこととして、

・「かしてっていうんだよ」と伝えるんじゃなく、「かして」のみ言葉で乗せてあげるのです。そうでないと「貸してっていうんだよ」がそのまま学習されてしまう可能性があります

・お子さんの学習スタイルとして、
「行動したことがそのまま本人の学びになる」ことを前提にしているのでここでお子さんが無理やりとってしまったり、叩いておもちゃをとる経験をしてしまうと、以降もその行動が続いてしまう可能性があります。なので②の人がお子さんに、適さない行動を止めるつつ、つなげたい行動につなげる役割が大切なのです

・必ずお子さんの体調や精神状態が安定している時に行います。不意に起こったやり取りでは大人も上手く動けませんし、お子さんの精神状態が不安定な時に行うと、このやり取り事態を避けるようになってしまいます

・「貸して」と「いいよ」のやりとりばかり進めば、「まだよ」等の枠組みを理解しないままの学習になってしまうので、様々な想定を事前に経験させてあげること

・必ず成功体験を積む経験をさせてあげることで、行動が習慣化し、応用につながります

が挙げられます


ここに教材を絡めるのであれば

ここに教材を絡めるのであれば、何が必要か と妄想してみると

・「貸して」 「いいよ」 「まだよ」 「まってて」という枠組みを
視覚化すること(言葉と絵カードとセットで伝えることで枠組みを把握してもらう)

・②の人が代替え案を言葉でイメージの共有が難しいことを考え、別の遊びを視覚化して伝えられるようにしておく

が実用的なのではないかと考えています

例えば

絵カードを使うのであれば、上記の①②③のやり取りの中で、このカードを言葉に載せつつ渡しながら枠組みを伝えるやり方も考えられます

絵カードの絵はマカトンや手話などを取り入れたものが多いです。ただ、どれがいいかはちょっと判断難しいんですよね

最終的にはジェスチャーと言葉で伝わるような形になると思います

このイラストなどは、必要最低限の情報に絞った絵や、簡単に書けるようなイラストがいいです そのほうが咄嗟に必要な時に準備できたり、お子さん「これじゃなければ駄目」というこだわりにつながりにくいからです。手書きくらいがちょうどいいのです

日本語で場面で同じ意味で使われる言葉が多いんですよね
いいよ どうぞ はいどうぞ もっていっていいよ かしてあげる などなど

意図だけ伝えるなら、言葉もカードに書かないほうがいい場合もあるかもしれません

難しいのは自分の絵で意図がお子さんに伝わっているのかを見極めることですが…(´・ω・`) 経験上、結構伝わる印象です

また、お子さんに他の遊びを提案するために他の遊びを視覚化するイメージですが

こういう形でお子さんの好きな遊びの写真をとって、代替え案を分かりやすく伝える方法もしていました。メニューみたいなイメージでしょうか…

お子さんによっては写真や絵が多すぎると混乱してしまう子もいたので数を減らしたりなどの工夫もしていました

絵カードなどの視覚化したものはラミネートしておくのが吉です
自分の思いに反してしまうカードはお子さんが破いてしまうことも多く、
そこでやり取りが終わると、「破ったらいいんだ」という間違った解釈につながってしまうからです


まとめ


今回はこのくらいにしますね(´・ω・`)絵カードはちょっと作り次第HPに載せていきたいと思います。

ただ、身近な支援者や学校で何を使っているをリサーチして、自分で書いてみることも大切です。今後、家族以外の人が関わるのに応用が利きますし、その伝えようと試行錯誤する様子もお子さんは見ていたりします

なので私がつくる絵は参考程度になれば幸いです

しかし、ここまでやっても私たちの予想に反して

「こうくるか」

と上回ってくるのがお子さんです
こうやって文章化しましたが、もっと伝えたいことや事例はたくさんあります。歯がゆいですが、何か質問があればぜひ(´・ω・`)

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以上になります

これからも少しづつ投稿していけたらと思っています。
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