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短編小説【二月のサンタクロース】


おじさん

「ん?何?」

「…。」

「えっ?サンタクロースさんですかって?」

「…。」

「そうだけど。
今ね、おじさん冬眠中なの。
悪いけど、そういうことだから。じゃあ。」

「…。」

「ちょ、ちょっとあなた。
すみませんけど
起こすの止めてもらえませんか。
今2月だから。
おじさん12月まで寝てなきゃならないから。
おやすみなさい。」

「…。」

「zzz…。」

「…。」

「zzz……」

「ちょっと、なんなのあなた!
本当に止めてもらえない!
間近で私の顔凝視するの。
もうね、鼻息かかって全然眠れない!」

「…。」

「え?クリスマスプレゼントの予約?
あー悪いけど、そういうのは受け付けてないから。クリスマスイブに願い事書いて、
靴下でもぶら下げておいてよ。」

「…。」

「えっ?いつも頼んだものと微妙に違う?」

「はぁ~。あのね、そういうのはあるあるだよ。
サッカーボール頼んだら、
サッカーボールのぬいぐるみだったとか。
大トトロのぬいぐるみ頼んだら、
小トトロだったとか。
本物のトトロ頼んだら
みかんのトロ箱だったとか。
でもねぇ、そこでみんな学ぶんだよ。
サンタさんにも事情ってもんがあるんだなって。
じゃあおやすみなさい。」

おじさん


「…。」

「痛い!ちょっと何するの!
帽子引っ張るの止めて!
分かった、起きるから!」

「…。」

「ヒィヒィ、ゼェゼェ。
2月なのに汗かいちゃったじゃない。グスン。
あのねぇ、今年は暖冬だから、
おじさんずっと寝付けなくて、
やっと、やっと寝付けたところなの。
これ以上睡眠時間減ると、
今年のクリスマスは起きれないから。
もう、今回だけ特別。
欲しい物早く言ってちょうだい。」

「…。」

「え?
何が欲しいか分からない?
僕が求めているものは何なのだろう
本当に欲しい物がなんなのか
今の僕には分からない?」

「…。」

「だから!言ってるじゃない!
クリスマスイブに頼んでって!
そんなもんだよ。
みんな。欲しい物なんてあれこれ変わるんだから。
じゃあおじさん寝るからね!
もう起こさないでよ。
あーいたたた。腰痛い…。」

「…。」

「zzz。」

「…。」

「zzz。」

「……。」

「待ちなよ。
ちょっと早いけどこれあげるよ。」

「??」

「『尾崎豊』のCD。
ベタだけどさ。(照れ)
これ聴いて、クリスマスまでに
本当に欲しい物見つけなよ。
メリークリスマス アンド グッナイ…。」

「………グッナイ。」

グッナイ

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