三橋大介

自作短編、読んだ本、見た映画など

三橋大介

自作短編、読んだ本、見た映画など

最近の記事

キセキ

 お久しぶりです、語りたい本や映画めっちゃあるけど、今日はちょっとある曲について。グリーンのキセキ、です。  誰でも知ってる曲の一つですが、これ確かドラマ「ルーキーズ」の主題歌じゃなかったかな?佐藤隆一のやつですね。巨人の坂本勇人の登場曲としても有名ですね(僕はけっこうな阪神ファンです、お間違えなく)。  おおかた察しがついた通り、この曲って結構野球と関連づけられることが多いんですね、ていうかMVでも少年野球のシーンが出てくるので、関連というか、もう野球そのものって僕的に

    • 4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて

       お久しぶりです(そうでもないかな?)、今日は村上春樹の短編集『カンガルー日和』の中から、表題の短編(長いので略)について。  僕とこの作品との出会いは、本当に偶然で、ただふらっと入った本屋でふらっと取った本の目次を見てこれだと思い、読んでみたという具合だ。そして僕はこの短編の題名を見て一瞬で、この話はきっと僕の気に入るだろうな、と思った。後から思えば、それは作中の”僕”が100パーセントの女の子に出会ったのと丁度同じようなことだ。それが”本”か、それとも”人”かという違い

      • 六号室 チェーホフの偉大さ

         ”偉大さ”とは、何も全知全能であるとか、誰にも真似できないことを成し遂げたとか、そういうことを指しているのではない。少なくとも、私の中では。  では私の中で偉大さとは何を表すか、それは自分とは全く種類を別にする他者を知ろうとする試みのできること、または実際に知ってその他者の気持ちを汲み取ることができること、である。  チェーホフの六号室を読んだ際、私が彼に見出した偉大さとは、まさにこの点にあり、彼は知性と大衆性、鈍さと鋭さ、生と死、両極にある二つの概念をきっちりと理解し

        • ステップを踏み続ける

           村上春樹の前期三部作、いわゆる鼠三部作の続編(完結編)であるこの「ダンス・ダンス・ダンス」は、上下二巻となっており、「羊をめぐる冒険」に比べてもだいぶ厚い。今回は僕がこのシリーズを読むに至った経緯、そして考えたことなどをつらつらと書きます。  まず僕は、強烈にこの本の題名が好きだ。強烈に惹かれて、強烈に魅了されている。「ダンス・ダンス・ダンス」。なぜだろう、とりわけ理由もないのに。きっと言語化できる類の感情ではないのだろう。世の中にはそういうものがしばしば存在する。  

          ちらっと見える希望

          今回は音楽の詩について。 安室奈美恵のこの曲は誰もが知っているであろう。スペルミスをしそうだから曲名はあえて書かない。 もちろん彼女の凄さはいうまでもないが、僕が言いたいのは、小室哲哉の方。 「遠かった怖かったでも 時に素晴らしい夜もあった。」 僕は最近、こういうちらっと見える、人生の捨てたもんじゃないところを感じられる作品が大好きだ。村上春樹の、「風の歌を聴け」の冒頭、「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」という文章の後半部分のよう

          ちらっと見える希望

          あなたの目の中に不安の色が見たかった

           僕がこの本を知ったのは、かのドキュメンタリードラマ「三島由紀夫vs東大全共闘」にて、三島が言及したことに端を発する。そこで三島は表題の通りの言葉を用いてこの本を引用し、東大生に向かって何か語りかけていた。(語りかけていた内容は忘れた。話は変わるが、忘れるって時に最高であり、最悪である。忘れたいものを忘れることができることはどちらであるかいうまでもない。それを議題にしたいのではない。問題は後者だ。映画、本、美しい思い出、どんなに感激しようと、涙を流そうと、それらに影響され奮い

          あなたの目の中に不安の色が見たかった