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詩「砂糖菓子の祈り」

わたしのこころは
どうして砂糖菓子のように
もろく 甘く 繊細なのだろう

ほんのすこし 
風に吹かれただけで
ほろほろと崩れてしまう

一滴にうたれれば
穴があき 音もなく
溶けて消えていってしまう

神さまはどうして
わたしをこんなふうに
おつくりになったのだろう

わたしはどこを向いていればいいのだろう

愛がこわい
愛する者を手放す恐怖に
夜もねむれず おびえている

不確かな未来に
悪しき想像をふくらませて
すがる思いで祈っている

神さま 神さま
愛する者の行く末を
あなたが祝福されますように
永久までもまもられますように

不確かなことがあまりにも多い
この世界で
なにも約束されていない未来を憂い
愛する者たちの明日さえも
巣立つ前のひな鳥のように
わたしの手の平に安全にとどめてはおけない

ただひとつ確かなことは
今この瞬間だけは
誰もが手にすることができる
確かなものであるということ

だから愛を惜しまない
愛することをおそれない

愛はまなざし
愛はぬくもり
愛はひとひらの言の葉
愛は記憶

数多の砂のなかに輝く
宝石のかけらのように
何気ない日常のなかで
ふと思い出されるときに
わたしたちを温め 励まし 
力づけてくれる

愛する記憶と
愛される記憶は
先行く者と残される者
どちらにとっても
道標となり
灯台の明かりや北極星のように
暗闇を照らし導いてくれる

今この瞬間から
愛をばかげた理想のようにはせず
変えられる未来として
信じたいのです

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