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ストーリー「豪雨の予感」

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水害被害ストーリー「豪雨の予感」の連載を始めました。実際の水害被害インタビューを通して分かってきた教訓やエピソードを織り交ぜた物語です。できるだけ実在する名称を使用して、水害被害…
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#大阪城公園

「豪雨の予感」第11話(大雨洪水警報と警戒レベル2の発令)

「豪雨の予感」第11話(大雨洪水警報と警戒レベル2の発令)

線状降水帯の豪雨はおさまる気配はない。朝にもかかわらず外は薄暗く、上空では時折稲妻が光っている。雨のしぶきで視界が霞み30mほど先の浄水場でさえかすかにしか見えないほどである。

健斗が出かけてから15分ほど経ったのだろうか、時計は8時半になろうとしている。

“ツーン”
お天気アプリのポップアップ通知が鳴った。

『大阪市城東区で発令されている警報や注意報』
大雨・洪水警報・氾濫注意情報
寝屋川

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「豪雨の予感」第10話(第二寝屋川の支流と寝屋川・大川への流れ)

「豪雨の予感」第10話(第二寝屋川の支流と寝屋川・大川への流れ)

第二寝屋川は大阪府を流れる淀川水系の一級河川で、生駒山系に降った雨は八尾市で恩智川、東大阪市で玉串川と楠根川に注ぎこみ第二寝屋川に合流、大阪市城東区で長瀬川と平野川が合流する。みおの自宅はちょうど平野川と合流するあたりにあり、コンクリートで頑丈に護岸補強された20メートルほどになる両岸と川底をゆっくりと西に向かって流れる。そこから第二寝屋川は大阪環状線の下をくぐり大阪ビジネスパークの南をかすめた後

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「豪雨の予感」第9話(線状降水帯の豪雨と一抹の不安)

「豪雨の予感」第9話(線状降水帯の豪雨と一抹の不安)

悠さんの朝の天気予報では、大阪市内でも線状降水帯が発生するようなことを言っていた。

「これが線状降水帯の雨?」

みおは急に怖くなって確かめたくなった。ポケットからスマホを取り出し、天気予報アプリを開いた。アプリをタップして雨雲レーダーが10分おきに見れる画面にする。関西地方の地図が画面いっぱいに表示される。全てブルーになっている、つまり雨が降っているという意味である。さらに大阪市内は一層濃いブ

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「豪雨の予感」第8話(健斗の優しさと須磨での思い出)

「豪雨の予感」第8話(健斗の優しさと須磨での思い出)

健斗が学校に向かう時間になると大粒の雨が降り出してきた。玄関のドアの向こう側で雨が葉っぱに打ち付ける音がバラバラと聞こえてくる。

「悠さんの言ってた通りになってきた」

みおは独り言をいったつもりだったが、声になっていた。健斗が返事をしてくれた。

「そうやな、お母さんは仕事いける?こんなに降ってると会社に着くまでにびしょ濡れになるね」

健斗はいつもみおを気遣ってくれる。弟のたけしもそうだった

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