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【感想未満】『ミツバチのささやき』観た(再見)

ビクトル・エリセの久々の長編『Close your eyes』が今年のカンヌでお披露目したのにあわせてか、あるいはたまたまか。
今年の午前十時の映画祭のラインナップが発表されたときから『ミツバチのささやき』の上映を楽しみにしてました。関係者の皆さまブッキングありがとうございます!!!!!

初めて観たのは大学1年、大学図書館のAVルームの一角でのこと。でも、暗いシーンになると液晶画面に自分がぼやーっと反射して画が全然みえないし、何が映ってるのかわからないからウトウトしてしまった。だから劇場でかかるときは絶対に逃さないと心に決めていたのである。

母親が駅へ行く長回しや姉妹で寝る前にきゃっきゃ遊んでるようなところ、脱走兵の隠れ家を引きでうつしたショットなど、覚えてる箇所はたくさんあった。でもデジタル素材とはいえスクリーンで観てようやくわかったところも多かったし、観るまで忘れてたところもあった。あの蜂の巣のような窓の綺麗さ、閉塞感も前よりちゃんと感じ取れた気がする。シーンをひとつ例に挙げるなら駅に着いた母親と兵士たちの視線のやりとりは妙にあだっぽく、それを観客として“目撃”してしまう気まずさは、今回新鮮なものとして感じた。
また、みんなでお茶するシーンでお姉ちゃんのイザベラが笑って咳き込んでるのをバックに、父親とアナが視線のやり取りをするところ。あの咳がもたらす効果はばかにならない。あのかわいらしい咳が緊張感あふれるアナと父親の視線のやり取りの間続くことで穏やかな日常から2人が切り離され、アナのきらきらした無邪気な目が底知れぬものにも見えるし、アナはアナで父親に知られたこと脱走兵に何かあったであろうことに動揺したのがありありと伝わってくる。

画がちゃんと理解できないと前後も理解できないし、何より演出の意図が理解できないものだなあ。心地よくて途中やっぱりウトウトしてしまったけど。何回観たら全部通しで起きていられるのやら。この作品なら何度でも観られるけれども。

未見の作品をどんどん観るのも悪くないが、ときどき好きな作品を改めて観るのも大事なことだ。最近はそんな機会が多いのだが、不思議と気持ちが落ち着く。
新しい映画をどんどん観なければいけないなんてことは決してなく、むしろ消費を促すという面では非常に資本主義的だ。流行を追いすぎず好きな映画を何度も観る、これはこれで立派な映画の見かたじゃないかな。

初めてこの作品を観る人は、なるべくこの機会に!行けない場合はなるべくプロジェクターとかで観るのをおすすめ。液晶画面でも十分見えるかもしれないけど。


↓このフォントなんていうのか知りたい。昭和っぽくて好き。

https://lp.p.pia.jp/event/movie/695/index.html

↓同時期に(グループBの劇場では)『エクソシスト』を上映してると知って笑った。“何か”に触れてしまう少女2本立て。

今日はこのへんで!日差しが眩しいけどちょっと涼しくなったので、体調を崩さぬように。
それではごきげんよう。

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