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許すということ

私は10代、20代と、父方の祖父母が許せませんでした。
昔、母にきつく接したり、きつい言い方をしたり、優しくしなかったこと。
嫁いできた嫁を大事に出来なかった二人が許せなかった。
小さい頃から、全部見てきました。
母が苦しかった時期も泣いていた時期も全部、
知っています。
私の大好きな母を大事に出来なかった二人を許さないと思ってきました。

でも、私が30代になった頃、祖母は病院が入っている施設へ本人の希望で入りました。
ある時、子供を連れて会いに行きました。
そうしたら、とっても嬉しそうな顔でニコニコ笑って、子供の事を愛おしそうに見ながら、良く来てくれたねって、涙を流したんです。
その時でした。
(もういいじゃないか、許しても)
と私の心の声がしました。

その頃の祖母は、もうだいぶ丸くなっていました。
母に対しても、もうトゲトゲした接し方はしなかったし、母を名前で呼び捨てにしていましたが、
その頃には、●●さんと母の名前をさん付けで呼ぶようになっていました。

許そうと思ったのは、母に対して、柔らかく接するようになったというのもありますが、
自分の命より大切な子供に対して、
とても愛おしそうに大切な存在として接してくれたところを見て、もう許そうと思えたんです。
高齢になった祖母に対しての情も生まれていたのかもしれません。

許すということには、一生許せないことと、許せることの二つがあると思います。
ずっと許さないと思ってきた感情は、
一つのことがきっかけで、許そうに変わることが出来ました。
祖母は数年前に102歳で亡くなりました。
今は、許すことが出来て良かったと思っています。

私も若い時、二人に対して冷たく接した時期がありました。
そのことを今は悔いています。

だから、私は実家に帰って、お仏壇の二人の写真を眺める度に、あの時はごめんなさいと心の中で思いながら、手を合わせるのかもしれません。

今だったら、空の上にいる祖父母に笑顔で手を振ることが出来るなって思っています。

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