【ショートショート】笑う裏に隠された友情
この作品はフィクションです。
実際の団体や人物は関係ありません。
鈴木は新しい職場で孤立感を感じていた。
昼休み、一人で弁当を広げ、窓の外をぼんやりと眺めていた。
オフィスの喧騒から少し離れた場所で、彼は深いため息をつく。
すると、田中が現れた。
「鈴木君、一緒にランチしない?」
その明るい笑顔に、鈴木は戸惑いながらも頷いた。
田中の軽妙な冗談に、鈴木は次第に心を開いていった。
二人は親友になり、鈴木も職場に馴染み始めた。
やっと見つけた仲間だった。
しかし、ある日、鈴木は偶然、田中が自分を笑いものにしている会話を耳にしてしまう。
ショックで言葉を失い、その場を立ち去った鈴木は、悩んだ末に田中を問い詰めた。
「なんでそんなこと言ったんだよ?」
田中は肩をすくめて笑った。
「ただの冗談さ。そんなに気にするなよ」
鈴木は内心苦笑した。
実は彼も、田中のことを陰で笑っていたのだ。
鈴木は顔を上げ、微笑んだ。
「面白いな、実は俺も君のことを笑ってたんだよ」
田中は一瞬驚いたが、すぐに笑い出した。
「お互い様だな、鈴木君」
二人の笑い声がオフィスに響いた。
その日から、二人はさらに深い友情を築くことになった。
不思議な絆が、似た者同士の心を繋いだのだ。
だがその友情も、笑いながらいつ裏切ろうかとお互いにタイミングを計っていることが、自然にわかるようになっていた。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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