【ショートショート】青い毒の真実
この作品はフィクションです。
実際の団体や人物は関係ありません。
健太は毎日の講義とアルバイトに飽き飽きしていた。
ある日、友人の隆がニヤリと笑いながら青い薬を差し出してきた。
「これ、試してみろよ。人生にもっと毒をって書いてあるんだぜ」
半信半疑で薬を飲んだ瞬間、健太の世界は一変した。
街の景色が鮮やかに輝き、通行人がみんな楽しそうに見える。
心が踊るような高揚感に包まれ、健太はその瞬間に浸った。
しかし、薬の効果が切れると、現実の味気なさが一層増して感じられた。
「もっと薬が必要だよ!」と健太は必死に隆に懇願した。
隆は肩をすくめて微笑みながら言った。
「あれ、ただのビタミン剤なんだよ」
健太は愕然とした。
「本当に必要だったのは薬じゃなくて、心の解毒剤だったんだよ」と隆は続けた。
健太は自分の心がすべてを変えていたことに気づき、笑いながら立ち上がった。
問題は薬ではなく、自分の見方だったのだ。
「現実の毒も自分の心で解毒できるってことか」と自分に言い聞かせた。
その時、隆が一言付け加えた。
「でも、お前みたいに素直な奴には、高く売れるから助かるわ」
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