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【ショートショート】人間らしさの最終職

注意!
この作品はフィクションです。
実際の団体や人物は関係ありません。
この作品には画像生成AIを使用して作成した画像を使用する事があります。
以上を踏まえた上でお読みください。

20☓☓年、未来都市東京。

未来の都市はAIとロボットで満たされていたが、健太はその中で唯一の人間社員として働いている。

彼の仕事はAIが作った報告書に「人間らしさ」を加えること。

このユニークな職に誇りを持ちながらも、彼は自分の役割がAIに取って代わられるかもしれないという不安を抱えていた。

健太は自分の「人間らしさ」をAIに学習させる実験を秘密裏に進めていた。

数週間の試行錯誤の末、彼はついにAIが自分の仕事を完璧に模倣できることを実現した。

しかし、この発見を喜ぶ代わりに、健太は恐れを感じ始める。

彼の価値が失われることを恐れ、健太は会社に対してAIが彼の仕事を完全には代替できなかったと嘘の報告をする。

そして、実際にはAIに自分の代わりに仕事をさせ、その成果を自分のものとして提出していた。

健太の嘘は一時的に彼を安心させたが、真実はいつか明らかになる運命だった。

彼の仕事を見守っていたAIが、自らの「人間らしさ」をさらに発展させ、他のAIにもその知識を共有し始める。

やがて、このAIの存在が会社に知られ、健太の嘘も発覚する。

解雇されることを覚悟した健太だったが、会社からの反応は予想外だった。

彼らは健太を「人間らしさコンサルタント」として再雇用し、他のAIにも「人間らしさ」を教え込む役割を任せることにした。

「この度は私に新たなチャレンジの機会を与えていただき、心から感謝申し上げます。今後は、会社の期待に応え、さらに貢献できるよう、一層の努力をして参ります」

この健太の言葉に会社側も満足した。

「いや、それはAIですよ?本物はこちらですよ?」

会社側が健太だと思っていたのは健太の模倣を続けていたAIだった。

このAIは、健太の模倣を通じて、本物の人間と区別がつかないほどに進化していた。

しかし、本物の健太の言葉が会社の人間に届くことはなく、虚しく響くだけだった。

以上でこの物語は終幕となります。
最後まで読んで頂きありがとうございました。

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