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#ファンタジー小説
2章9話 この剣の征く道に終わりなんてない
騎士国家リーメルにおいて銀は特別な意味を持っている。
私の首から下がっているこの銀の首飾りには様々な意味があるのだ。
騎士とはただの戦士ではない、泥に濡れ、血を浴びることを厭わない金銭に忠実な野蛮な傭兵とは違う。
騎士が銀の装いを好むのは金に欲深い者ではないとしつつ、しかし気品を併せ持つ者であると示すためである。
そう唱えたのはリーメルにおいて最初の銀騎士と称された銀装の騎士である。
現代のリーメ
2章8話 黄金の加護
黄金の光が樹海を染め上げる。
大気がビリビリと震え、世界が、神が、その存在を祝福していた。
華奢な身体から放たれているとは思えぬ覇気を放つメイファンが拳を強く握りしめて構え、ラム達を睨む黄金の双眸には決意の光が宿っていた。
「『チャージ』!!!!」
メイファンの両腕と両足を白い光が包み、光は輝きを増していく。
「『インパクト』!!!!!」
拳を地面に振り下ろし、白い光が爆発した。
衝撃
2章6話 ローフの樹海
辺境の街ローフの樹海にて。
04小隊の四名は早朝から樹海に入り魔種の捜索を始めて昼になったが、魔種の姿どころか生物の気配が全くしない樹海の状況に警戒を強めていた。
「あ、あまりに静かすぎます、鳥の鳴き声すらも…聞こえないなんて…。」
「…本当に、虫の1匹すらいませんね…。」
イレイナは足元の腐葉土を足先で掘り返してみるも蟻の1匹すらもいない現状にどこか不気味さを感じていた。
「全員、周囲
2章 5話 ウィリアム
「お母さん…お父さん…どこー!どこにいるの〜?」
あっ、これって夢だ。
私は唐突に気がついた。
村を歩く11歳の私の視点であの日が繰り返される。
村は至るところが燃えていて、村のみんなが倒れている。
この後で私は彼と出会ったんだ。
「だれか〜!ぐずっ…みんなどうしちゃったの?あ……」
村の中を裸足で彷徨う私の目の前に『鬼』が現れた。
一体じゃない、10、20、もっと沢山いて、『鬼』達が私
2章 3話 守りたいもの
早朝、俺は04小隊の隊舎に集合していた。
「オーフェン、集まるのはまた貴方が最後ね。」
事務室に入るとソファーに座っていたイレイナが俺に噛み付いてきた。
「うるせえよ!別にいいだろ、集合の5分前に来てるんだぜ?
あ、隊長、それとメイファンも!おはようございます!」
「おはようオーフェン、朝から賑やかになっていいね」
「お、おはようございます……」
俺はイレイナを一睨みしてからソファー
2章2話 魔女との邂逅
オーフェン達の乗っていた馬車は街道を抜けて、穏やかな空気に包まれた農村に辿り着いた。
山々に囲まれたこの村は真ん中に線を引くように小河が流れていて自然豊かな場所だった。
稲穂が陽の光に当たって黄金に輝いている。
馬車が止まり、御者席のディアモンテが後ろの3人に向かって顔を出した。
「道中で説明したと思うが、改めて任務内容を確認するぞ。
この村の農作物が獣によって荒らされているらしく、我々はこ
17話 黄金の大英雄
ウィルは岩山の中を走り、場所を変えながら大蟻の脚を槍の代わりにして帝国兵たちに投げていた。
投げた脚はその全てが魔導老公によって破壊されているが、それでも帝国軍隊はウィルからの攻撃を警戒せざるを得ないため進軍速度は最初よりもずっと遅くなってはいた。
「ちっ、あのジジイ……。
追いかけるのはやめて、防御に専念しようって事か?
クソ、もう領都まで近いってのに……」
岩山から軍隊を見ていたウィル