サル日記 その1・葉っぱの奥で眠るのは
サニーレタスの葉がでかい。
外側のだだっ広い葉が、個包装のビニールからビロンとはみ出し、ずっしり重い。内側も、さぞかし密に詰まっているのだろう、と思う。
別に地方の畑での話ではない。
スーパーの商品のことだ。
レジを打つ店員さんもカゴから取り上げながら思わず「あらぁ!大きいですね」と声をかけてきた。
「これからは葉モノ野菜が安くなりますからね!」
たとえ令和の都会でも、ほぼ毎日スーパーに通っていると、季節のめぐりをなかなか豊かに感じられるものだ。
5月に入った今、葉モノ野菜が元気だ。
ナスやピーマン、きゅうりが大量配置され、ついにズッキーニもお見えした。
苺のスペースが縮小され、キウイが優勢になった。
先月は、「川原おばあちゃん」のYouTubeをみてタケノコの煮物にも挑戦してみた。
しばらくしたら、青梅やブルーベリーが並ぶだろう。
コロナ禍になってから梅酒造りを始めたが、今年もその季節がやってきたんだなぁ…一年って早いなぁ。
相次ぐ食品値上げのニュースにゲンナリする今日この頃だが、旬のモノに触れると、気分も少し明るくなる。
行き帰りの道も、ツツジが咲き乱れ、アジサイの花芽が膨らんでいる。そこに絵に描いたように、たくさんの蝶が飛びかう。美しく眩しい季節。
そんなウキウキ気分の一方で、かねてから私には、葉モノ野菜に関するモヤモヤがある。
それは、結構な割合で
洗ってなくない?
と思うケースに遭遇すること。
レシピサイトや動画、料理番組などで、時々目にするのだ。
確かに、葉モノ野菜は洗おうとするとそれを「バラす」ことになるので、扱いにくくなる。だから塊の状態でまず刻んで、それから洗う、というのはわかる。
でも、外側の汚れや傷ついた部分だけを除いたらもうそれ以上、まして内側なんて、洗わない。
キャンプめしや簡単レシピなんかで時々目にする「キャベツのくり抜きなんちゃら」なんてまさにそう。
何言っちゃってんの?内側だよ、キレイでしょ。
しかもバラさないことで、少しでも可食部を多く残せるじゃない!
ってことなのか…?
でもさ、葉モノ野菜って、
『内側に虫が棲みつく』
よね?
実際、サニーレタスやロメインレタスを洗おうとして葉をバラしていくと、かなり内側でも根元近くに小さな虫を発見することがある。キャベツや白菜を刻んだ後の洗い水にプカリと浮かんでくるモノがいる…
自然のものだから、当然だ。
むしろ命を感じる。
でもなぁ…それを食べたくはないんだよね。
買い物の帰り、歩道の植え込みに飛び交う蝶々を眺め、そういやこの子たちも、孵化する前は青虫や毛虫だったんだなと思う。
こんなにたくさん、どこにいたんだろう…
緑鮮やかな、この季節が好きだ。
心踊ると同時に、あらゆるモノが蠢く微かな振動を、ジワジワと肌に感じる。
初夏がすぐそこだ。
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