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「静かな退職」の秘訣②、年末は出社しろ!

 今年もいよいよ年末に近づいてきた。年末年始に休暇を取るのか問題はサラリーマンにとっては重要な問題だ。

 旧態依然とした職場では、年末年始はここぞとばかりに出社しなければならないという暗黙のマナーがあるようだ。自分勝手に休みを取るなんて許さないぞということらしい。確かにこの行動は理論的には理に適っている。いわゆるシグナリングというやつである。みんなが休みたい時にあえて出社する人間は仕事のやる気がある誠実な人間だということだ。なんとも馬鹿げているが、ゲーム理論的には合理的であるため、みんながこぞって出社する。ここで休む人間は自分のレジャーを職場の責任よりも優先する奴だということになる。不誠実な人間のあぶり出しに役に立つだろう。会社に限らず、緊密なコミュニティは大抵が自分の誠実さを示すためだけの謎ルールが誕生しがちであり、それらは個人のQOLを大きく下げる。

 最近は日本もだいぶホワイトな風土になってきたようだ。最近の会社は年末年始を休んでも特に問題とはされない場所が増えてきた。年始の挨拶に管理職以上は駆り出されたりもするが、一般社員には関係のない話だ。昔は上司が出勤するのに部下が出勤しないのはありえないというこれまた謎ルールがあったようだが、今は問題にはならないようだ。

 こうなると、年末年始に出社するのかは個人の選択の問題となる。「静かな退職」を目指す皆さんにとって、果たして年末年始は休むべきか出勤するべきか。

 もしZ世代の会社にコミットしたい人間なら年末は休んだほうがいい。なぜならみんなが休むからだ。コミュニティに積極的に参加するには他者との協調が大事であり、皆と同じタイミングで休みを取れば目的に資する。皆が働いている時に休みを取れば職場で目立ってしまうし、コミュニケーションの頻度も減るだろう。

 しかし、「静かな退職」を目指す皆さんはこれとは逆の行動を取るべきだ。年末年始こそ出勤するべきなのである。理由は有給休暇を温存するためである。年末は休んでいる人間が多いし、残っている人間も残務整理が大半で、あまりピリピリした雰囲気ではない。これはサボるには絶好のタイミングだ。年末のだらけた雰囲気の場合は勤務中に何時間トイレに行っても目立つことがないだろう。監視の目も現象するため、ネットサーフィンをやってもまずバレることはない。同じ社内ニート仲間がいれば雑談で時間を潰すことも容易だろう。年始はこれほどボーナスチャンスではないが、やはり周囲は休みモードであり、監視の目は緩い。比較的サボりやすい時期だ。

 ここで余った有給休暇は6月や11月下旬〜12月上旬といった「祝日砂漠」の時に使うのがオススメだ。祝日砂漠は連日の出勤で人間らしいエネルギーを奪われている時期だ。3月や4月は移動でバタバタする時期なので有給は使いにくい。6月や11月はこの点で有給休暇を使うにはベストな時期であり、計画的に配置すれば週休2.5日制を作り上げることも可能となる。

 現代は選択と集中の時代だ。人は専門を持つべきだし、専門に資源を集中するからこそ他の道もひらけてくる。この構図は働き方も同様だ。あなたが仕事でやりたいことがあり、全力投球で勝負したいというのなら、ぜひ頑張るべきだ。しかし、そういった人だけではない。やりたくない仕事で人生を奪われている実感を持っている被用者も沢山いるだろう。その場合は「静かな退職」にエネルギーを振って最適化していくのも手だ。興味のない仕事に中途半端に拘束されるのは恐らく最悪の人生だと思う。もしかしたら一般人が「静かな退職」をすれば、仕事人間にとっても余計なライバルが減って進みやすくなるかもしれない。人生は賢く生きたもの勝ちであり、今一度自分が大切にしたい根源的価値を見つめ直して欲しい。

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