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つづ井さんに学ぶ、大人になってもバカでいていいという事

先日「腐女子のつづ井さん」が実写化されるというニュースを聞き、「セクシー田中さん」の二の舞いにならない事を祈りつつも、そういえばあんまりちゃんと読んだ事なかったなと思いたち、初めてしっかりと読んでみた。

こ…これは、またべらぼうに面白いではないか。あの鉛筆書きのようならふ〜なタッチのゆるい絵柄で、個性的な大人の女性たちがおもいっきり「バカでいる事」を楽しんでいる。世に出るものとして多少設定等変えているとは思うが、ほとんど著者自身の日々の出来事を「絵日記」にしただけ、というノンフィクション作品である事も私のツボだった。

タイトルは「腐女子」のつづ井さんとなっているし、確かに腐女子ではあるのだが、そこの部分に特化している話だけが掲載されているわけではない。友人たちは皆オタクではあるが「色んなオタク」がいる。三次元(彼女たちいわく2.8次元)のアイドルオタクだったり、アメコミヒーロー系が好きだったり、同じジャンルだけにずっと長年ハマり続けていたり、ほとんど詳細情報が得られない劇団員の40代くらいの男性にハマっていたり、本当にバラバラである。そして何より皆ノリが尋常じゃなく良くて、とてつもなくバカバカしい事を真剣にやり続けているのが愛おしい。

つづ井さんはすぐに「○○選手権」や「○○バトル」を始めるのだが、ラインでお誘いした瞬間に皆「ぜってー負けねえ」「やるわ」等と一瞬の迷いなくすぐに返って来るのが面白い笑。
特に「恋人がいるふり選手権」などは最高だった。それぞれ架空の恋人を見立て、その彼からもらったという体のプレゼントを持参する。皆ディティールに凝りに凝りまくっており、あまりの仕込みの凄さと伏線回収に「恐怖」を感じさせるレベルのプレゼンをした方もいた笑。
またコロナ禍で会えない時はリモートで夏祭りを開いたり、誕生日会を開いたり(仮装、出し物、なんでもあり)、好きなスポーツ系アニメのマネージャーになったつもりで真剣にマスコット作成をしたり、推しの劇団員さんの情報があまりに得られないはがゆさから自分で推しのエピソードを捏造してしまったり笑。
とんでもないエピソードが多々あるため書ききれないが、とにかく「成人女性」が思いっきりバカになってはじけているのが最&高だったのである。

フェイクドキュメンタリーなんかもそうだが、「大人が大真面目にふざける」「真剣に遊ぶ」っていいよなと思う。子どもが遊ぶのとはまた一味違う、けれどもやっている事はとんでもなくバカで楽しい。これができるバイタリティがある事、そして何より一緒にやってくれる仲間がいるというのは本当に素敵な事である。

私は大阪にある某文学バーにかれこれ8年ほど通っており(最近はめっきり頻度は減ったけど…)、30代前半はそこで出会った仲間たちと第二の青春とも呼べる楽しい日々をすごしていた。ユニークな様々なイベントに参加したり、常連さんたちでお花見やバーベキューに行ったりもした。
そしてなにより、以前の自分では考えられなかったが、そこで出会った友人とタッグを組み小規模であるが「出会いの会」を開き、いわゆるオーガナイザーのような事もした。話題に困った時用に紙に「好きな本は?」「行きたい国は?」などの話題を書いたボックスを用意したり、試行錯誤して皆さんに楽しんでもらえるよう色々工夫した。その様は学生時代の「文化祭の為の準備」に似たものがあり、久しぶりにワクワクしたのを覚えている。そしてそのかいがあって、なんとそこで出会ったお二人がお付き合い→そして結婚というはこびになった事もある。(そのご夫婦とはもう交流は全くないが、これは本当に嬉しかった!)
また、私は出演こそしなかったが、その文学バーのマスター(芥川賞作家なのである)の知り合いである映画監督さんにて、当時の常連さんだけで撮った超絶面白い短編映画もある。(ちなみにうちの夫も出演しており、「大学を五浪したモテない情けない男」を演じていた笑)
今でもたまーに見返すが、これぞまさに「大の大人がめちゃくちゃ真剣にふざけている」集大成のような物で、本当に面白い。(そして皆、びっくりするくらいに演技が上手い…)
今は皆結婚や転勤等で生活リズムが変わり、当時の常連さんたちと会う事もかなり少なくなってしまったが、今も仲の良い一部の友人たち、またそこで出来た新しい友人を交えて今も朝活読書会等をしており、毎月の楽しみイベントになっている。

つづ井さんほどぶっとんだ事はできないが、遊び心を忘れるような大人にはなりたくないなと常々思っている。できる範囲で面白い事にチャンレンジできる大人でいたい。そして良い意味で「バカ」でい続けたいと思う。


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