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韓国佛教#03. 白蓮寺〜可愛らしい仏様が出迎えてくれる眺めのいいお寺~

 今回はソウル市西大門区の白蓮山にある韓国佛教太古宗白蓮寺(백련사)をご紹介します。

※京畿道加平郡上面連下里にある白蓮寺とは異なります。

  白蓮寺へは地下鉄3号線(オレンジ色の線)の弘済駅からマウルバス(市内バスよりも狭い地域を循環する小型バス)でアクセスできます。

 過去にご紹介しました少林寺奉元寺に比べると小さくて可愛らしい仏様が素敵な笑顔で出迎えてくれる、景色の良いお寺です。


韓国佛教太古宗 白蓮寺(백련사)

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 ソウル市西大門区の白蓮山に位置する韓国仏教太古宗の白蓮寺は新羅時代の景徳6年(西暦747年)に眞表律師によって開創された、韓国最初で最大の浄土道場(※1)です。

 阿弥陀経にある「誰でも阿弥陀仏を唱えれば、極楽浄土へ往生できる」という言葉をもとに、仏陀の浄土思想をこの地に広げるために眞表律師が創建しました。

 設立当初の名称は「浄土寺」で、「ここは仏様のいる厳正な地である」という意味が含まれています。

 その後、朝鮮王朝時代の定宗元年(西暦1399年)に無学王師の指示により涵虛和尙が増設されました。さらに、世祖(※2)の長女である懿淑公主が婿である夏城府院君鄭顯組の願刹(※3)とすることを決め、寺刹の名称も白蓮寺へと改称しました。

 宣祖25年(1592年)には壬辰倭乱の戦火で建物が消失するも、大衆が寺刹の復興に着手し、3年後の顕宗3年(1662年)には大法殿を再建、英祖50年(1774年)には洛昌君李樘を増設し、寺刹の拡大に寄与しました。

 その後も改修を繰り返し、1965年以降は白蓮寺の僧侶が協力して梵鐘を造り上げ、現在の姿に至ります。

 昔から「浄土寺へ行かなければ極楽へは行けない」と言われ、一般大衆の信仰対象とされてきました。また同時に、国難に陥る度に国の太平聖代を祈る護国祈願の願刹としても保全されました

(以上、白蓮寺ホームページの沿革より翻訳)

※1)ここでの「道場」は柔道や空手などの武芸を身に付ける場所ではなく、仏道の修行を行う場を意味します。道場は本来「仏教用語でお釈迦さまが悟り(道)を開いた場所のこと、つまり聖地ブッダガヤの菩提樹の下」という意味だったそうです(『道場とは?~身近な仏教用語~』)。
※2)世祖は李氏朝鮮第7代国王
※3)願刹とは祈祷のための建物


◆お寺までの道

 弘済駅から出ている10番のマウルバスに乗り終点の白蓮寺を目指します。お寺は小高い山の上あるのですが、そこまでの道のりがなかなかの急坂で、バスに乗るとその斜め具合から少しばかり恐怖を覚えます。例えるならば、ジェットコースターの最初に上まで登っていくあの感覚に近い気がします。小さめのジェットコースター。好きではありませんが、これはこれでおもしろい経験です。

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 白蓮寺のバス停から少し歩くと、大きな門が見えてきます。ここがお寺の入り口になります。

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 門を潜ってから少し歩くと、小さくてかわいいお坊さんに囲まれた布袋様のような像が迎えてくれました。見ているこちらの頬まで緩んでしまうような素敵な笑みをされています。

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 本殿へ行くには、さらに歩きます。

 ここのお寺は不思議な(?)造りをしていて、門を潜った後も住宅が続きます。僧侶の方の家だけでなく普通の住宅もあり、どこまでが白蓮寺の境内なのか見分けがつきません。

 ただ、門を潜ったときからほんわりとお香の薫りがしていて、確かにお寺に来たのだと感じました。


白蓮寺境内

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 白蓮寺の境内には無量壽殿、極楽殿、薬師殿、圓通殿、冥府殿、七星閣、獨聖閣、鐘閣、解脱樓・法鼓閣があります。

 気持ちのいいほどに美しく整ったお寺で、澄んだ秋風が吹いていたせいもあってか、とても清々しい空間でした。


◆無量壽殿(極楽殿)

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 境内で最も大きな建物である無量壽殿(極楽殿)には、阿弥陀仏、観世音菩薩、地蔵菩薩の3体の仏様が祀られています。

 3体ともそこまで大きくはなく、とても朗らかなお顔をされていました。個人的な印象ですが、特に中心に鎮座する阿弥陀仏の表情がとても可愛らしかったのを覚えています。ふっくらとした柔らかいお顔に、お香の薫りとも相まって、穏やかな雰囲気をぽわぁ〜んと醸し出していました。

 また、こんな言い方をすると失礼だとは思うのですが、向かって左にいる仏様の表情はなんだか滑稽で、見ているとケラケラと笑えてきました。

 ーーなぜだろう。


 仏様の写真は以下の公式サイトでご覧いただけます。


  が、しかし! サイトに載っている写真は、実際に見た表情と全く違うのです。私が見たときは、3体とも、もっと深い情のこもった表情をしていました。また、真ん中にいる阿弥陀仏の頬は写真よりも肉付きが良かった気がしますし、何よりも、写真で見ると3体とも同じような顔をしていますが、実際はもっとそれぞれ個性があったのです。

 「まさか、仏様が変わったわけじゃないよね?」とも思いましたが、後日行って確かめると、やはり同じ仏さまでした。

 ーー謎だ。


◆解脱樓・法鼓閣

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◆鐘閣

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◆極楽殿

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◆薬師殿

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圓通殿

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◆解脱樓・法鼓閣からの眺め

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 山の上だけあって、お寺から見える景色も抜群です。


◆◆◆


 韓国において最初で最大の浄土道場である白蓮寺は、可愛らしい仏様と清々しい風が特徴の美しいお寺でした。


 ではでは😊

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