1.「혜화동(혹은 쌍문동)」「恵化洞(または双門洞)」
※「恵化洞」と「雙門洞」はソウルにある地域の名前です。
「じゃあ見ればいいじゃないか」って?
ええ、その言い分も分かります。昔のドラマではありますが、Netflixでも見られるという話ですから。ただ、私は単に、音楽が聴きたかっただけなのです。
ドラマの内容を想像するのも、MVの映像で流れていたからです。つまりこの曲を感じたいから想像するのであって、ドラマの内容はそれほど重要ではないのです。言い換えると、ドラマのためにこの曲があるのではなくて、この曲のために、このドラマがあるといったところでしょうか。
ーーなんてカッコつけたようなことを言ってみましたが、実際のところ、いつか見よう、見よう、と思っているうちに機会を逃し、気がついた時には見るのが面倒くさくなったというのが正直なところです。
ほら、そのまま書いても面白さに欠けると思いましてね。それでこういう言い方をしてみたまでです、はい。
それにですよ、私がここで言いたいのは、ドラマを見ていなくても、ひいては1988年のソウルを知らなくても、この曲を聴いて「懐かしさ」を感じるのは同じだということなんです。
ドラマの映像は、当時のダサさを宛がうことで、曲が創造する懐かしさをより印象的に演出させているのだと思います。だってほら、なんか、ダサいでしょ。でも、その中には確かに物語があって、想いがあって、何と言いましょうか、不思議な気持ちになるのです。
懐かしいという感情は、この身体で経験したことに対してしか生まれないのだと思っていましたが、どうやら違うようですね。
しかしそれと同時に、その懐かしさは、数十年生きてきたからこそ分かるものだとも思うのです。ということはですよ、直接的なものではなくても、やはりある程度の経験と時間は必要なようですね。
◆혜화동(혹은 쌍문동)- 박보람
恵化洞(または双門洞)-パク・ボラム
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2.『応答せよ1988(응답하라1988)』
『応答せよ1988(응답하라1988)』は、韓国で放送された大ヒットドラマです。
2012年に放送された1作目の『応答せよ1997』を皮切りに、2013年の『応答せよ1994』、そして、2015年の『応答せよ1988』と続いたシリーズで、3作すべてが大ヒットしました。
放送されていた当時は、よく話題に上っていました。私の中国人の友人はこのドラマに触発され、2011年に出会った友人どうしでチャットグループを作ることになった際に、グループ名を『応答せよ2011(응답하라2011)』としたほどです。
一度も見たことのない私にも思い出をくれた、不思議な縁のドラマです。
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3.걱정말아요 그대(心配しないで、君)
最初は「恵化洞(または双門洞)」ではなく、この曲を聴いていました。
「걱정말아요 그대(心配しないで、君)」
この曲も『応答せよ1988』のOSTでした。そして、やはり懐かしさを爆発させている名曲です。
ーー何年か前のこと。
どうも家にいるのが落ち着かず、コンピュータ片手に家の近くのカフェに行って作業をしていたことがありました。
その時のカフェで、この曲が流れていました。
カフェのBGMが全く気にならないほどに、頭の中が騒がしかったあの日、なぜか、この歌詞だけが、はっきりと聞こえてきたのです。
やらなければならないことはあるけれど、家に居るのは息苦しいから出てきたわけで・・・。でも、結局は、何かに追われている気持ちは変わらず、どうにかしたいと思いつつも、どうにもならない気持ちを抱え、足元と手先は冷え切っていました。
春はまだまだ遠い、そんな日でした。
「ああ、そうか・・・」
この曲を知って久しかったものの、ここまで歌詞の意味を感じたことはありませんでした。
そんな、思い出の曲。
今でも、たまに、こうして聴いています。
◆걱정말아요 그대(心配しないで、君)