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#160 東洋医学の五臓の豆知識 肺編

私は鍼灸師の資格保有しており、
施術も行っておりますが、
以前よりも東洋医学への注目度が
上がってきているかなと思います。

テレビなどのメディアで取り上げられたり、
漢方薬や鍼、お灸に対して
理解のあるお医者さんが
増えてきていることも
一因ではないかと思います。

コロナ禍を経まして、
世間一般の健康に対する関心は
より一層高まったのではないかと感じます。

健康に関しましては
様々な考え方が存在しますが、
東洋医学における健康とは、
季節やストレス及び生活環境に対しまして
自己治癒力でバランスが取れている、
保たれている状態をいい、
このバランスが崩れた状態を
「未病」といいます。

今回は、東洋医学の人体の考え方の中から
五臓の肝・心・脾・肺・腎を順々に
綴っていきたいと思います。

なお、鍼灸師の勉強で使用しておりました
東洋医学概論の教科書を
参考にしております。

【肺】

①肺は、呼吸を通じて、
天の陽気を体内に取り入れています。

天の陽気と脾胃の働きによって
飲食物から得た地の陰気が合わさって、
宗気・衛気・営気・津液・血となります。

営気と血は脈中を行き渡り、
衛気と津液は肺の働きにより
全身に散布されます。
(衛気は全身がバリアに
覆われているイメージです。)

これらに臍下に集まります元気が加わり、
混然一体となりまして、
気を体内のすみずみまで
行きわたらせております。

心が血を、肺が気を、心肺あいまって
気血を全身にめぐらせることにより、
すべての臓腑・器官・組織の
生理活動が営まれております。

肺の働きが正常でありますと、
呼吸は深くゆったりと正しく行われ、
全身の気が充実し、
発声も艶があり力強くあります。

正常でなくなりますと、
呼吸の異常(痰が出やすくなる、
呼吸・声が弱くなる、息切れしてしまう)や
発声の異常(か細い、枯れ声など)が
起こってしまいます。

②肺は、陽性の気(宗気・衛気)、
とくに衛気と津液を巡らせることによって、皮毛(皮膚と産毛)に潤いを与え、
これらを養っております。

肺の働きが正常でありますと、
皮膚は潤いを保持するとともに
環境の変化にすばやく対応して
収縮・弛緩を行うことができます。

正常でなくなってしまいますと、
皮膚の乾燥や湿疹、浮腫などが
現れてしまいます。

③肺は、鼻を通して天の陽気(精気)を
体内に取り入れ、古くなった気(濁気)を
排出しています(吐故納新)。

肺は、鼻を通して臭いをかぎ分けています。

涕(はなみず)が適度に流れることにより、鼻の中を潤して清潔を保ち、
異物を体内に入れないようにしています。

肺の働きが正常でなくなりますと、
涕(はなみず)の分泌異常が起こり、
鼻が詰まったり乾いたりしてしまい、
臭いもわからなくなってしまいます。

肺は、さわやかに呼吸をするための
大切な器官であり、肺が皮膚や粘膜など
体の表面に運ぶ気は、
風邪や各種感染症からも
身体を守ってくれます。

肺の働きは呼吸だけでなく、
免疫力を保つ上でも
大事な役割を担っております。

強い悲しみや憂いは肺を傷つける、
とされています。

肺を傷めると気が弱くなり、
元気がなくなってしまいます。

風邪をひきやすかったり、
喘息・咳・鼻の異常、肌が弱い方は
肺が弱い可能性があります。

肺は、外界からのバリアや
フィルターの機能を持っていますが、
過度な冷暖房や加湿などにより、
室内外の温度や湿度の差が
大きい環境におりますと
肺のバリアやフィルターの機能は
壊れやすくなってしまいます。

肺の不調を防ぐためには
自然界の変化を感じ、
湿度が多いときは通気性の良い服を着たり、
冷房が効きすぎているところでは
上着を羽織るなどして、
変化に対応する身体の力を身につけられると
良いのではないか思います。