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#155 成長期に要注意な野球肘②

現在、メジャーリーグには大谷翔平選手や
ダルビッシュ有選手など
多くの選手が活躍しており、野球は日本でも人気のスポーツのひとつであります。

お子さんたちが野球をしていく中で、
とても注意しなければならないケガに
野球肘がございます。

野球肘とは、
野球の投球による肘部の障害をいい、
特に肘の内側の痛みを野球肘と
総称しておりますが、
テニスやゴルフなどのスポーツでも発生する肘の痛みを伴う運動障害のことをいいます。

また、小学生や中学生などの
成長期にたくさんボールを
投げすぎることによって起こる
肘の障害をリトルリーガー肘ともいいます。

野球肘は、大人にも起こる
肘の障害でもありますが、
成長期に発生する野球肘は、
肘が伸びにくくなったり、
曲がりにくくなったりと、
日常生活にも支障をきたす
恐れがありますので、
注意が必要になります。

成長期の子供たちの多くは、
痛いところがあっても、
それを親御さん、監督、コーチ、
顧問の先生に伝えてしまうと、
練習を休まないといけない、
試合に出させてもらえない、レギュラー、
スタメンから外されてしまうのではないか、
などの不安を日々抱えており、
野球肘の発見、対応が
遅れてしまったがために、
肘が曲がりにくくなってしまう場合や、
伸びにくくなってしまう危険性を
孕んでおります。

野球肘の原因の原因には
以下のようなことが考えられます。

① 練習のしすぎ、オーバーワーク
② 柔軟性の低下
③ 投球フォームの乱れ

野球肘には、以下のような
3つのパターンに分類されます。

①肘の内側が痛くなるパターン
②肘の外側が痛くなるパターン
③肘の後ろ側が痛くなるパターン

今回は②肘の外側が痛くなるパターン
について綴っていきたいと思います。

②肘の外側が痛くなるパターン
外側型は比較的少ないと
言われておりますが、
後期コッキング期から加速期にかけて、
肩関節最大外旋位に伴い、
肘に強い外反ストレスがかかってしまい、
そのことにより、上腕骨小頭と
橈骨頭の間に過度な
圧迫力と剪断力が大きくなってしまい、
上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎が
生じる可能性があります。

外側型の場合は、内側型と共に発生することが多かったりします。

外側型の症状としましては、
肘にかかる外反ストレスによる強い圧迫力、剪断力が加えられた結果、
上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎が
起きてしまいます。

肘の外側の痛みを訴える前にすでに
肘の内側の痛みを感じていることが多く、
初期では、投球動作時の外側部の痛みは
みられなかったりしますが、
関節ねずみ(関節内遊離体)が
存在している場合、
関節の間に関節内遊離体が
挟まってしまいますと、
急激な痛みとともに肘が動かせなくなり
ロッキングの症状を呈することになります。

将来的に、関節内遊離体が関節軟骨を
傷つけてしまいますと、
変形性肘関節症になってしまう
おそれがありますので、
注意が必要となります。

外側型の症状では、離断性骨軟骨炎で
関節ねずみによりロッキングの症状が
出てしまっている場合は、
手術の適応となり、投球禁止期間は
半年から場合によっては
1年以上かかってしまいます。

野球肘に対する予防対策としましては、
早期発見、早期治療が
大切になってきますが、
まず野球肘とならないためには、
過剰投球にならないように、
チームの監督、コーチ、顧問の先生、
ひいては親御さんを含めた練習量の管理や
投球フォームの見直しなどが
必要になってきます。

球数制限に関しましては、全力投球数は、
小学生では1日50球程度、週200球、
中学生では1日70球程度、週350球、
高校生では1日100球以内、週500球を超えないことが提案されております。

ただ、この考え方は、練習・試合での
全力投球であるため、
ブルペンなどでの投球練習は
含まれておらず、高校生では、
公式戦に関しては該当しますが、
練習試合に関しましては
考慮されていないようなので、
練習試合も含めて考えておかないと
形骸化しまうおそれがあります。

子供たちは、今この時に全力を注いでいる
気持ちもわかります。

ただ、一人でも多くのお子さんが長く、
そして楽しく野球を続けていくためには、
球数制限、投球フォームの見直し、
積極的な休息、身体のケアなどを
一緒になって考え、話し合っていくことこそが最大の予防対策になるのではないかと
思います。

野球肘をはじめとした肘のケガや痛みは、
シンプルな肘な問題だけでなく、
肘関節の上下にあります
肩関節、手関節の問題や
股関節を中心とした下半身と上半身の
連動性の破断などが要因となることも
考えられますので、
痛みを痛みだけと思わず、
もっと大きな視点で物事を
捉えていくことが大事になるのでは
ないかと思います。