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#158 東洋医学の五臓の豆知識 心編

私は鍼灸師の資格保有しており、
施術も行っておりますが、
以前よりも東洋医学への注目度が
上がってきているかなと思います。

テレビなどのメディアで取り上げられたり、
漢方薬や鍼、お灸に対して
理解のあるお医者さんが
増えてきていることも
一因ではないかと思います。

コロナ禍を経まして、
世間一般の健康に対する関心は
より一層高まったのではないかと感じます。

健康に関しましては様々な
考え方が存在しますが、
東洋医学における健康とは、
季節やストレス及び生活環境に対しまして
自己治癒力でバランスが取れている、
保たれている状態をいい、
このバランスが崩れた状態を
「未病」といいます。

今回は、東洋医学の人体の考え方の中から
五臓の肝・心・脾・肺・腎を順々に
綴っていきたいと思います。

なお、鍼灸師の勉強で使用しておりました
東洋医学概論の教科書を
参考にしております。

【心】

①心が蔵する神が安定しているときは、
状況に応じた的確な行動が可能であり、
生体機能も健全に維持されます。

神は、知覚・記憶・思考・意識・判断など、すべての精神活動を支配して、
その中心となっております。

神は、五臓六腑が調和を保って
活動することを担っています。

これによって、
動作・言語・表情などの意識的活動や
心拍動・呼吸・消化吸収・排泄などの
無意識的活動が適切に
行われることになります。

内因・過労・内外の熱などによって、
神が不安定になってしまいますと、
上記の意識的・無意識的活動に
不適切、不調和が生じてしまいます。

②心は、脈を介して血を全身に
くまなく運行させ、臓腑や皮肉筋骨など
身体諸器官の活動を支えています。

心がしっかりしておりましたら、
脈拍も規律正しく、力強く働き、
血のめぐりも滑らかになっていきます。

心の機能が損なわれてしまいますと、
脈拍に異常が現れ、血の巡りも
悪くなってしまいます。

③顔面の色艶は、血液の運行状態を
反映していますので、
心気が充実しておりましたら
顔の血色が良く、艶があります。

心気が不足してしまいますと、
顔は白っぽく、艶がなくなってしまいます。

④心は舌の運動を支配し、
舌には味覚の働きがあります。

心に蔵されている神が、
思ったこと、考えたことを
外に向かって表し出すときは、
言語によって表現することになります。

言語表現には、
舌の運動が不可欠であります。

心の機能が衰えてしまいますと、
味覚異常が現れたり、言語障害が
起こってしまうこともあります。

⑤心の働きがしっかりしておりますと、
暑いときや、運動、労働をしたとき
などにほどよく汗が出ます。

心の働きが不健全になってしまうと、
出るべきときに汗が出なかったり(無汗)、
反対にむやみに汗が出てしまうように
なってしまいます(自汗)。

中医学では、「心」といえば、
西洋医学でいう心臓と全く同一の意味では
ありません。

五臓における心は、循環機能だけでなく
意識や精神も司る器官となります。

不眠や不安は心の失調によって
生じる場合があり、心の働きが弱っても
高ぶりすぎても、不調が出てしまいます。

心は、喜びの感情と関わっておりますので、過剰な喜びは神志を緩ませて、
精神を不安定にします。

現代医学的に考えますと、心臓が精神を
コントロール?と思われがちですが、
一般的社会でも、精神や心(こころ)の
ことをハートとか、♡マークで表したり、
左胸を指したり手を当てたりします
ことを考えますと、心は、
精神的な面をコントロールする大元だ
という東洋医学の考え方は
あながち間違いではないのではないかと
感じております。