職場の女性に関する神話と現実
2023年10月に、LeanInがマッキンゼーと共同発表した、「Women in the Workplace(職場の女性に関する調査)」は興味深い内容でした。
LeanInは、メタ(旧Facebook)の元COOであるシェリル・サンドバーグが立ち上げた団体で、女性の働き方に関する調査や、女性がビジネスリーダーになるためのスキルトレーニングを提供する等、女性のキャリアを支援する活動を行っています。団体名のLean Inは、彼女の大ベストセラー『Lean In』から取られています。
「Women in the Workplace」のレポートでは、「Myth(神話)」と「Reality(現実)」を対比させる形でマクロ的な女性の働くことにおける価値観を説明しており、次の4つが挙げられていました。
MythとReality①
Myth:女性の野心は薄れてきている
Reality:女性はパンデミック前よりも野心的になっており、柔軟性がその野心を加速させている
MythとReality②
Myth:女性活躍の最大の障壁は「ガラスの天井」
Reality:「broken rung*」は女性が上級リーダーへの道で直面する最大の障害である
*女性が勤務先で昇進の階段を上ろうとしても、女性用のはしごが壊れているので、上へ登れない状況。)
MythとReality③
Myth:マイクロアグレッション(自覚なき差別)は、女性に多少の影響を与える
Reality:マイクロアグレッションは、女性に大きく永続的な影響を与える
MythとReality④
Myth:柔軟な働き方を望んでおり、その恩恵を受けているのは主に女性
Reality:男性も女性も、柔軟性は従業員にとってのトップ3に入るベネフィットであり、会社の成功にとって不可欠
皆さまはこれらを見て、どの様に感じましたか?
そもそものMythについては様々意見があるかと思いますが、Realityについては共感される方も多いのではないでしょうか。
こうしたRealityが調査結果として浮かび上がった大きな要因としては、私たちは次の2つに整理できるかと捉えています。
背景1:コロナによるワークスタイルの多様化
コロナによるリモートワークは、従来の働き方に対して疑問を投げかける機会となったことは間違いないでしょう。
コロナによってリモートワークが普及し、在宅でも従来の仕事ができることが分かった
リモートワークによって通勤等の時間を削減でき、家事や育児と仕事が両立できるようになった
多様なワークスタイルが浸透し、より柔軟な会社との付き合い方ができると思うようになった
背景2:Z世代を中心とした若年世代の価値観の社会での浸透
以下は統計的にも明らかになっているのですが、そもそものZ世代が持つ価値観が社会に浸透し始めていることも背景にあるかと考えられます。
多様な価値観を持っており、働き方も柔軟で多様な形を望んでいる
行動を起こす際に正当性や納得性を確かめようとする傾向が強い
「Women in the Workplace」のレポートは、米国の調査結果を基に作成されています。日本と比べれば男女の職場における格差が少ないといわれるアメリカでも、女性の働き方に対する間違った認識が多いことが分かって頂けたかと思います。
キャリアにおける男女平等を実現するためには、職場の女性がキャリアに求めていることを正しく理解し、それを実現するために必要な環境の整備や偏見の排除が必要となることがレポートを通して明らかになったのではないでしょうか。
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参照レポート:Women in the Workplace