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PHASE.4「1度目の6月」

梅雨が明けるのと同じくして、200人もの同期で行う全体研修も
終わりを迎えようとしていた。

陰鬱とした6月が終わりを迎え、暑い夏が今年も僕たちを刺激し始めた
ところである。


この頃より僕は、入社前から仲良かったグループを離れ研修グループの人達と
接する機会が増えていった。
それこそ終業後にはボルダリングや休日にはドライブへ行ったりしていた。

この話は僕に限ったことではなく、JY やK もそれぞれのグループを
作り仲良くしいたようだ。そしてRI も例外ではなかった。

ーー この関係の変化が指す意味を僕はまだ気づいていなかった。


6月28日、とうとう全体研修最終日である。明日からはそれぞれ別の場所で活躍していく。職場に配属される者、さらに高度な研修を受け配属に備える者、全国拠点なので地方に配属される者もいる。

この日は、久しぶりに入社前からの仲良しグループでの飲み会だ。このメンツでの
飲み会はやはり楽しいものである。お酒の進みも早い。
飲み屋を後にする頃には酔いもいい感じに回っており、ちょっと過激な
お遊びもしていたのを覚えている。

RI は元々男子とはかなり距離の近い子で、身体を触らせたり(触らせるはよくない
言い方かな。触られてもそれをネタにする笑いをとっているって表現がピッタリかも。)、そして下ネタにも抵抗なく乗れるタイプである。

そういう背景もあって、本人も「もう〜、ちょっとやめてよ〜」ぐらいのノリで
楽しんでいた?かは分からないが、あしらっていた様子だった。
今思い出すと、ここでスッと止めに入っていても良かったのかなと思っている。
周りからすれば、「なに本気にしてんだよ」なんて思うかもだし本人的にも「そういうキャラでやってるのになんで?」って思うかもしれなかっただろう。

ただ”それでも”、女の子の体なんだから大事にしてほしいなと思ってしまう。
僕は古い人間だから、男の子はぶつかって傷つきながら成長してけばいいと思うし、女の子は「自分」ってものを何よりも大事にして欲しいと考えてしまうからね。

2次会はカラオケで、これも大いに盛り上がり楽しいひとときを僕たちは過ごした。

一緒に花見をしたパイセンは名古屋配属のため、頻繁に顔を合わせるのは
これがおそらく最後になるだろう。
別れ際に僕たちは、新宿駅南口はバスタ側の改札前で年甲斐もなくパイセンを
胴上げした。
それを見て彼女は笑っていた。


そしてこの飲み会を機に彼女が僕たちに最後まで付き合ってくれることは
なくなった。

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