映画レビュー:聖闘士星矢 The biginning ★★☆☆☆
・丁寧で真面目なつくり
・マッケンユーの筋肉よし!
・出てくる聖闘士は実質「2人」
ごきげんいかがでしょうか、お嬢様修行中の私です。
今回は地元のシアターで映画「聖闘士星矢 The biginning」を観ましたわ。
結論から申し上げますと、5点満点中、2点。原作を知らずに観れば、B級アクションの佳作。しかし原作愛の強い人が観れば、コレジャナイ感にあふれる残念作でございましょう。私は前者でしたので、今レビューでは原作との比較は行いません。
巷で酷評の嵐であり、ふと地元のシネマコンプレックスの上映表を見てみたらば、上映開始が4/28なのにもかかわらず、わずか2週間かそこらで(観に行ったのは5/14)
・1スクリーン
・1日1回上映(しかもレイトショー)
という、速やかに絶滅危惧種レッドリスト入りを果たしてしまっているので、逆に怖いもの見たさで観てみたくなりました。
■あらすじ
地下闘技場で八百長まがいの勝負に明け暮れている青年、星矢。ふとしたきっかけで特殊な力“小宇宙”を発現させ、謎の武装組織に強襲される星矢を救出した男、アルマン・キドにより、人間界にシエナという女性として転生した女神アテナと、そのアテナを守る騎士、星座の名を関した〈聖闘士〉の存在を知らされることとなる。
初めは絵空事と一笑に付した星矢だったが、アテナの力の暴走を目の当たりにし、何者かに連れ去られて行方不明になった姉の捜索を条件に提示されたこともあって、聖闘士としての本格的な修行を始める。謎の武装組織の目的とは。星矢は一人前の聖闘士となることができるのか。
(※ここからはネタバレを含みます。ネタバレが嫌な方はブラウザバックでお戻りください。)
■良かった点
・つくりが真面目で丁寧
この映画はこれに尽きると思いますわ。なぜ、主人公が非合法?な地下闘技場で賭け試合をしているのか。なぜ、いきなり神話の話を持ち出されて納得できるのか。なぜ、会ったばかりの自称アテナを守るために戦う決意をするのか。それらに対して、かなり合理的・論理的な理由付けをしています。
これは、個人的には好感が持てますわ。ご都合主義・後付設定を嫌う私からすれば、実に気持ちよく鑑賞することができました。漫画、それも勢いだけで突っ走る系の少年漫画によくぞここまで整合性を持たせたと思います。
・味方のハゲが強い
なんなら主人公よりも強いでしょう。立ち位置は使用人頭?執事?ということになるのでしょうか。調べてみると原作では「辰巳 徳丸」という名前のキャラクターであり、忠誠心はあるもののそこまで強い設定ではないようですけれども、監督の推しキャラなのかとてつもない強さを発揮します。どれくらい強いかというと、修行前の星矢が苦戦する敵組織のサイボーグ兵士を複数相手取ってボコボコにするほど。腹心の部下なら、私もこのレベルの男を持ちたいものですわ〜。特殊弾の味はどうだ?
・真剣佑の筋肉
この映画を観て及第点を与えた最大の理由。めっちゃめちゃバキバキに鍛え上げておりますわ!(。♡‿♡。)
日本人の俳優でここまで鍛え上げた方を私は他に存じ上げません。やはり筋肉……男性は筋肉量が評価に直結いたします!(個人的見解)
この筋肉から繰り出されるアクションはキレッキレ、修行シーンも熱が入ります。
・マリンさんが怖い
星矢に修行をつけてくれるシルバーナイト、マリンさん。仮面で顔を覆った女性聖闘士で、声は意外と幼い感じなのがギャップで良いのですけど、その仮面がモロに彫刻みたいないわゆるギリシャ鼻(目と目の間にくぼみが無く、額から直接鼻筋が通っている鼻の形)で、何を考えているのか本気でわかりません。怖い。それが変に媚びてなくて良いです。あとマリンさんと修行をしている謎空間がなにげに好みですわ。
■気になった点
・聖闘士呼びではない
まあ、これはしかたがありませんわね。英語でSaintと言ったら「聖人」「聖者」ですから。作中では一貫して騎士呼びですわ。
・聖衣がダサい
聖衣のデザインには原作の車田正美先生が関わっていると聞き及んでおりますけども、ほんとうにこれでゴーサインを出したのでしょうか?あまり詳しくない私でも、聖闘士星矢の聖衣というものは知っています。秋葉原のフィギュア展示スペースとかで見たこともありますし。
原作の面影はかけらもなく、超絶ダサい西洋の全身鎧みたいなのを着込んでガチャガチャしている、そんな感じですわ。ここにきてようやく、なぜ原作の聖衣のヘッドピースがサークレット型あるいはヘッドギア型なのかを思い知りました。当たり前ですけども、人間の頭にフルフェイスヘルメット型のヘッドピースをかぶせると、頭が大きく見えるのです。これがダサく見える最大の要因だと、私は思いますの。なぜ天馬星座も鳳凰星座も、あんなスタイリッシュバケツみたいなデザインにしてしまったのか……
・アテナがあまりにも……
コスプレ外人感しかありません。人間の体に神が憑依していて、徐々に侵食されつつあることのアイコンとして、髪の毛の色がだんだん変わってくるのはよいとしましょう。しかし最終的に紫のロングヘアになるのは、いかにも原作に寄せているようでいて、その実、作り物のコスプレ感しかございませんわ。そのアテナが力を制御できずに人類に滅亡をもたらすというのも???なポイント。聖闘士の総力を挙げてお帰りいただくべきでしょう。地球の重力に引っ張られすぎな頬肉もマイナスポイント。
・つくりが真面目で丁寧
ハイ、そうですね。良かった点で推したところがそのまま、まずい点にもなっています。おそらく聖闘士星矢のファンは、真面目で丁寧なつくりなど欲していないのです。『うろたえるな小僧ども!』と叫んで両腕を振り上げたら問答無用で数人まとめて聖衣を砕かれながらフッ飛んでゆく、そんな勢いと意味不明なスピード感こそを欲しているのだと思います。(画像を調べていたら出てきました。なんのシーンだかわかりませんけど)
おそらくこれが、原作ファンの不興を買っているいちばんの理由だと思いますの。こんな小綺麗でじっくり観るものが「聖闘士星矢」のはずがない、と。
作り手の姿勢からは、たしかに原作へのリスペクトを感じます。しかしリスペクトするがゆえに真面目で丁寧なつくりになり、結果、原作ファンの欲しているものとはまるで違う結果になってしまった……と見るべきではないでしょうか。
・音楽(劇伴)が薄い
まるで存在感がありませんでした。アニメのオープニングテーマ「ペガサス幻想」もアレンジしてどこかで流れていたそうですけども、原作を観ていない世代ゆえか、それにも気づかず。(ペガサス幻想もソルジャードリームも一応知識としては知っています)
■総評
原作を知らない人にとっては、B級アクションの佳作。原作ファンにとっては、なんじゃコリャの駄作。個人的には、聖衣のダサさと劇伴の弱さが目立ちました。特に、ダサさ120%のフルフェイスヘルメットでマッケンの顔が隠れてしまっていたのが痛かったと思います。原作通りのサークレット型なら顔も見えますし。
反面、荒唐無稽な設定にも理由や整合性を求める私のようなタイプの人間にはあまりストレスなく観られますし、筋肉・ハゲ好きなら彼らの活躍に心奪われることと思います。ハゲ──マイロック(原作の辰巳に相当)を演じていらっしゃる方はマーク・ダカスコスという役者さんで、日本、アメリカ、中国、スペイン、フィリピンにルーツを持つエキゾチックな風貌の持ち主。ダカスコスという姓はギリシャ由来だそうで、ギリシャ神話に関わりの深い聖闘士星矢の映画でうってつけだったのではないでしょうか。
聖闘士星矢って、たしか88星座の聖闘士がいるんですよね。今回出てきたのは5人。そのうち2人は冒頭にしか出てこなかったゴールドナイトですし、ひとりはシルバーナイトのマリンさん。つまり!主人公たちの属するブロンズナイトは、主人公のペガサスと、敵役のフェニックスの二人だけ。これだけで聖闘士星矢ムービーを名乗るのはさびしい気がいたします。これ、続編出ますでしょうか〜?
というわけで星ふたつ!ですわ!(◡ ω ◡)
見どころはマッケンユーの筋肉!アクション!謎の推しで超絶パワーアップを果たした辰巳のバトルアクション!最後、シエナのことをそのまんま『Sienna!』と呼んでいたのをちゃんと『お嬢様!』に直した字幕は良い仕事をいたしました。ペガサス流星拳って、マシンガンのように連打するものだと思っておりましたけど、ショットガンのように一斉射するものなのですね!
映画評価基準……
★★★★★:何度でも観たい
★★★★☆:ぜひ観たい
★★★☆☆:観ても損なし
★★☆☆☆:一度観ればいい
★☆☆☆☆:観なくてもいい
☆☆☆☆☆:お金を捨てたいなら
前回のレビュー
これまでのレビュー
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、ごきげんよう。