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詩と朗読

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自作の詩をまとめています。 #詩 #現代詩 #自作詩 #朗読
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2022年12月の記事一覧

おかさんと土

おかさんと土

こんこんと眠るおかさんを見て
死んでしまったのじゃないかと
おびえてた頃

雨上がりの工事現場の
大きな穴に
柔らかいチョコレートみたいな
土がたまっているのを見つけて
思わず飛び込んだ

靴下まですっぽりはまって
そのまま裸足になり
夢中で 土の香りと
なめらかな粘りのある
その肌触りを楽しむ
足指の間 ひんやりと
抜け目のない土が
隙間にすべり込んでくる

周りは土の壁
誰か通りかかると思って

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カーネーション

カーネーション

京都の横断歩道で雨に降られていた
人並みに押されて歩き出したとき
一本の赤いカーネーションが落ちているのを見かけた
「かわいそう」とうつむく私に
お姉ちゃんは怒ったように
「仕方がないの。行くわよ」と言った

きっとお姉ちゃんもそう思ってたのに
立ち止まろうとする私を
かばったのだ

私はカーネーションを拾わなかった
すぐにしゃがんで拾えば
お姉ちゃんは怒らずに済んだのに

カーネーションは雨にぬ

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雨のいきさつ(5W1Hのつぶやき)

雨のいきさつ(5W1Hのつぶやき)

冷水を浴びせかけられ
びしょびしょのグー
小指から開くと 小さな傘があった

「何故」と問うには細心の勇気が必要だ
「どうして」に至ってはよく咬んで生殺しにする

「誰」かの「何時」かと重なる事を求めたり
傘をすぼめて首をねじったり

「如何」に生きるか迷走する私の中心で
水を恐れる傘が くるくる回る

賢治が願った人のようにはなれないと
傘をたたむたび
自分に「だれ」っと寄りかかる

雨粒が激し

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始まりの詩

始まりの詩

自己紹介がわりの短い詩です。

おずおずと詩を書いている
おめおめではもうない
頼りなく力足らずで
それでも ただ書いている
息がすぐ切れてしまう
飛ぼうとして着地を失敗してばかりいる
そんな詩を書いている
私らしい詩

朗読はこちら
https://stand.fm/episodes/60f62bd950854f000694cbeb