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毒親になりたくないあなたへ【光のとこにいてね】一穂ミチ著

「これをすると毒親になるのか」
読み進めているうちに感じた感想です。

著者のインタビューや他の人の感想を見聞きすると、2人の主人公結珠(ゆず)と果遠(かのん)の関係について、触れてる人が大半でした。

確かに著者はBL作家出身なので
2人の主人公の関係性について、
注目が行ってもおかしくないと思います。

しかし、私は結珠と果遠の関係性以上に
2人のそれぞれの母親との関係性が
強く印象に残りました。


・親ガチャを否定できない

2021年の流行語大賞で話題になった言葉。
「人様や世間のせいにするなんてみっともない。私は努力して切り開いてきたんだ」と批判する人もいるでしょう。

しかし、私はこの言葉を否定できません。
「何くそ」と言って努力できた人は、
生まれはともかく生きてきた過程で
当たりくじを引いた可能性があります。

そもそも、自尊心を傷つけられなかった、
またはそれを克服して生きていけた人は
運が良かったのではないのかと
思うことがあります。

特に結珠を見てると、自分の人生を生きる力まで
奪われているように見えました。
救いだったのは高校生の時に家庭教師できた
兄の後輩の存在でしょう。
その後、結珠の夫になりますが、
彼がいなければ、生きていけなかったのではないかと思いました。

・収入よりもっと大事なもの

結珠も果遠もどちらの母親も毒親です。

果遠の母も娘に向かって
「バカだから」と頻繁に言ったり、
自然派嗜好を押し付けたり、
毒親の一端を垣間見ました。

しかし、結珠の母親の方が、
それ以上によりたちが悪いと感じました。

「育児放棄をしたわけじゃないし、
いい学校にもやって、
いい生活させてやってるのに、
何が不満だというの」

そうとしか思っていなさそう。

一般的に言われるネグレクトとは違います。
教育虐待の気配もそこまで強くありません。
「なぜ結珠の母親を見て「典型的な毒親じゃん」と思ったのか」と考えてみました。

結珠と母親の関係についての描写を見ると
「結珠の存在を疎ましく思っている」が
一番しっくり来ました。

「あなたがそこにいるだけでうっとうしい」と
苛ついているのが伝わってきました。
「私に面倒をかけさせないで」と
意志表示する気力まで
奪っているように感じました。

いくらお金持ちの家に生まれても、
「そこにいるだけで疎ましいと思われては、何の意味もない」と感じずにいられません。

・感想

あくまでも2人の女性の四半世紀の人生話です。
しかし視点を変えれば、「毒親に育てられた人のその後の人生」のように見えました。

実際に結珠は学校の先生になってからも
精神的に不調をきたして休職しました。
果遠は果遠で、過酷な生活を送っていました。

結珠が大人になってから母親は癌で闘病中でした。
母親と対峙するシーンがありましたが、
「歳をとっても、重い病気にかかろうと
毒親は毒親のまま。
親に変わってもらうのは死んでも無理」と
感想を持ちました。

いっそのこと絶縁して、自分の人生を送った方が
幸せになれるのではないかとすら思えました。

実際に私の周りでも、
親や他の家族と縁を切って
幸せに暮らしてる人がたくさんいます。

「自分は息子たちにこんな態度を取ってないか」
振り返るきっかけになりました。

以上、ちえでした。
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