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最新の科学技術で、死んだ人を蘇らせることはできるのか?【本心】平野啓一郎著

「最新の科学技術で死んだ人を蘇らせられるのか?」そんな問いを突きつけられる作品です。

ChaTGPTが出たのは2023年、
こちらの本が発売されたのは2021年です。
著者が、先見の明を持っていることがよくわかります。

2040年代が舞台なので、SF小説としても読めます。

エンタメとしても楽しめる一方、
哲学書を読んでいる気分になりました。


・「母を作ってほしいんです」

主人公石川朔也は、母親と2人暮らしでした。
母親は生前「自由死」を希望していました。
しかし、実際は事故死してしまいました。

「なぜ母は自由死を望んだのか」
その理由を知りたくて、母親のVF(バーチャルフィギュア)の作成を依頼しました。

・AIは人の心を再現できるのか

VF作成時、本人と会話しているように感じても
"心"はないと念を押されていました。
生前の日記帳、手紙など
手掛かりになるものを作成会社に提出しました。
それを元にVFに学習させます。

統計論的に分析して最適な検討をするだけですが、それでも心が通じ合ってるかのように見えました。

・VF が仕事をする

母のVFは、途中から仕事をするようになりました。
介護施設にいる元大学教授の話し相手をするようになりました。
母は読書家だったので、話が合いました。

この世にいない人のVFが話し相手の仕事をして、
対価を得るという行為に不思議さを感じました。

「話し相手が必ずしも人間である必要があるのか」と問いが出てきました。
ChatGPTの使い方の一つに、
人に話しにくい悩み相談ができると
専門家が言っていたことを思い出しました。

・感想 

「AIで死んだ人を蘇らせられるのか」

この本を読了した後も、結論を出せません。
確かに、簡単な雑談程度なら再現できるかもしれません。
しかし、朔也が望んだことのように
「なぜ自由死を希望したのか?」いう
デリケートな問いに対する回答を
再現するのは難しいのではないかと感じました。

以上、ちえでした。
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