1人では生きていけない【夜に星を放つ】窪美澄著
「いろんな家族がいる」
「人は1人きりで生きていけない」
5つの短編を読んで実感しました。
コロナ禍で婚活アプリを利用した30代の女性、
夏休みに祖母の家に行く男子高校生、
母親が交通事故で亡くなったため父と娘2人の家族、
配偶者が浮気して離婚、娘を連れてアメリカに旅立たれてしまった男性、
親が離婚と再婚したため、
一緒に住んでない母親に
「会いたい」と言い出せない小学生の男の子。
様々な家族構成があるんだなぁと感じました。
著者インタビューにあった
「国が言うような正しい家族ではなかった」が
印象に残っています。
余談ですが、著者も1人親の家庭に育ち、
自身もシングルマザーになったとのことです。
著者自身が経験したからこそ、今回の話が生まれたのではないかと感じました。
最近『日本の右傾化※』という本を読みました。
国として前提にしてるのは
男女2人の夫婦と子どもが2人いる家族。
※後日投稿予定。
そこには片親の人、同性のカップルなど、
型にはまらない人は存在しないかのように
家族のあり方まで介入してるのを実感します。
「そもそも正しい家族である必要があるのか」と
考えてしまいました。
・お気に入りの短編
・真夜中のアボカド
一番感情移入ができたのはこちらです。
主人公綾は32才。コロナの自粛期間中に
テレワークをしてます。
始めた1週間は「満員電車から解放される」と
喜んでいたものの、今では幽閉されてる気分です。
婚活アプリで出会った麻生さん。
彼はフリーでプログラマーをしてます。
付き合い始めたものの、
電車で赤ちゃんを抱っこした女性と
一緒にいるのを見かけて、既婚者と判明。
自分は婚活アプリ使ったことがないけど、
「ありそうな話だなぁ」とリアルに感じました。
私は当時、次男が産まれたばかりで
「通院するのも厳重で面倒」
「体はしんどいけど、長男もいるから好きな時間に休めない」
寂しさよりも体力的に辛い方が上回りました。
一方で、大学に入って
一人暮らしを始めたばかりのいとこは
誰とも会えず、会話もできないので
孤独を感じたそうです。
大学もテレワークだったので、
自分の実家に帰ってきました。
「1人暮らしの人は他人との接点がないから
孤独だろうなぁ」
1人ぼっちで生きていくのは不可能と
改めて感じました。
・星の隨に(まにまに)
主人公は10歳の少年の想。
両親が離婚し、父親は別の女性と再婚。
その人との間に弟が生まれました。
血の繋がったお母さんに会いたいけど、
「会いたい」と言い出せません。
継母は、初めての育児で情緒不安定。
学校から帰ってきても家に入れないことがあり、
同じアパートに住んでるおばあさんの家にいました。
自分たちは、パートナーと折り合いがつかなければ
離婚したり、再婚したりすれば
問題は解決します。
しかし、子どもの目線からみたら
どちらも肉親だし、
そんな単純に割り切れないと改めて感じました。
「こういう時、子どもの心は
置き去りにされてしまいがちだ」と
考えさせられました。
・感想
どの短編も、家族や周りの人のつながりを
感じさせる話でした。
「自分1人では生きていけない」と
当たり前のことを考えさせられました。
家族の話が多いですが
近所の人も出てきました。
苦痛なら無理して付き合う必要はないけど、
完全にシャットアウトしてしまうのはどうなのかと考えさせられました。
以上、ちえでした。
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