記憶の断片から物語へ:認知症初期における脳の変化とは?
友人から海外の即席めんをいただきましたが、この年になっても知らない味があるんだなあと実感している、老人保健施設で働く看護師綾子です。
さて、本日も認知症についてお話ししたいと思います。
認知症の初期症状
たぶん40歳を過ぎたころに、よく聞くフレーズ
「名前が思い出せないことが多くなってきたんだよなあ」
なんて言っている職場の先輩いませんか?
そう、認知症のはじめの症状が「物忘れ」なのです。
それは、脳の電気信号にトラブルが生じていることで起こります。
脳には、ものすごい膨大なネットワークがあり
「あの芸能人の名前なんだっけ?」と考えると
カミナリよりも速い電気信号が
シュバババババッバババババババー!!!!
とネットワークが活動し
「あ。反町隆史だ」
と思い出すことができるのです。
認知症の初期症状と脳内ストーリーの喪失
もう少しその電気信号についてみてみましょう。
あの芸能人の名前誰だっけ?
確か、高校生の時イケメンドラマや教師の役やってたよなあ。
確か、松嶋菜々子と結婚したんじゃなかったっけ?
確か、最近相棒にもずーと出てたよなあ。
岡村隆史じゃなくって。
反町隆史だ!!!
このように、「反町隆史」と名前を思い出す過程まで、脳内ではカミナリのように瞬時に電気信号というネットワークが働きます。
昨日食べたカレーを思い出すときも
スーパーで鶏肉安かったから、買ったよなあ
玉ねぎは冷蔵庫に入っていると思ったけれど1玉しかなかったなあ。
子供たちはニンジンが嫌いだけど、おろして入れたからバレなかったな。
昨日の夕食はカレーだ!!
というように思い出すことができるのです。
何を言いたいのかというと。
思い出すためには、ストーリーがあるということなのです。
だからストーリーがない事には、なかなか思い出すことができないのです。
ちょうど1年前は何をしていましたか?
20日前は何を食べましたか?
去年の同じ日は仕事でしたか?休みでしたか
など、なかなか上記の質問ではストーリができず、思い出せないのです。
学びが家族を守る:認知症初期症状がわかれば少し不安解消
ただ、認知症の初期の症状として「物忘れ」と言いましたが、
そのストーリーさえ作れなくなってきていることが、認知症の始まりであると思うのです。
でも、逆に考えると、このような状態が自分の家族に出てきてるな。
もしかして認知症の始まりかな?
注意して観察しよう
と不安にならず、認知症の判断材料にもなり、友人や同僚、医療機関などに相談できるということなのです。
物語で覚える:新人の名前から日用品まで
最期にストーリーを作ると、短期記憶に強くなります。
たとえば、
じょうぎ、ハサミ、鉛筆、スプーン、時計を10秒見て
すべて箱の中に入れられました。
「箱の中には何が入ってましたか?」
と言われたら、5つすべて答える自信はありますか。
私だったら
「①定規と②鉛筆を使って③はさみと④時計の絵を書き、その時計の針は⑤スプーンの形をしていました」
と10秒でストーリーを作ることができれば、5つ思い出す確率は上がるのではないでしょうか。
新人さんの名前などストーリで覚えるのもテクニックかもしれません。
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